Guten Tag! Ich heiße Kazutaka Matsui, der Lehrer von Joyo Zweigschule.
受験生の諸君、学習は捗っているだろうか。勉強は量も大切だが質も大切である。1日に何時間勉強したかよりもどれだけのことが身につけられたかへの顧慮を忘れてはならない。野球の打撃フォームであれ、ピアノの指捌きであれ、受験勉強であれ、就寝中に脳内で情報が整理されることで定着する。
Have a good sleep!
さて、本日は武田塾チャンネルでもお馴染みの企画、「どっちの参考書でSHOW!!」を、城陽校からお送りする。
本家チャンネルでは『システム英単語』と『速読英単語 必修編』を特集していた。この2冊の特徴をお知りになりたい場合は、以下を参照してくださると幸いである。
さて、今回は、表題にある通り、以下の2冊を比較する。
では始めよう。
どっちの参考書でSHOW!!
§0.おことわり
書籍同士のこういった比較は、実際に各書の頁をお見せしながら俯瞰していただくのが最も手っ取り早い。しかし、刊行物の頁を複写して不特定多数に発信する行為は、正当な理由がない限り著作権侵害に該当する可能性が高い。文章での比較とならざるを得ないことをご容赦願う。
本家チャンネルで実際に頁を開きながら参考書を紹介していないのも同様の理由による。
§1. 類似点
『システム英単語』と『ターゲット1900』の主要な類似点は2つ。
①重要度順の配列
②見出し語のリスト式掲載
①について。『システム英単語』『ターゲット1900』いずれも、出現頻度の高い順に単語が収録されている。これにより、全ての単語を習得せずとも、2/3程度習得した段階で平易な英文を用いた解釈、読解練習に移行できる。残りの単語は解釈、読解と並行で仕上げていけばよい。
②について。武田塾における英単語学習の第一歩は「一語一訳一秒」である。「一つの見出し語の、一番重要な訳を、一秒で言える能力」を錬磨する。詳しい方法、手順は下の動画を参照のこと。リスト式に見出し語が収録されているとこの訓練を行いやすい嬉しさがある。
§2.相違点
『システム英単語』『ターゲット1900』の相違点は、ずばり用例である。『システム英単語』の用例は、ミニマルフレーズと呼称される、文に満たないフレーズである。『ターゲット1900』の用例は、それなりに複雑な構造の完結した一文である。
habitat (生息地)を例に採ろう。
『システム英単語』⇒ the natural habitat of bears
(クマの自然生息地)
『ターゲット1900』⇒ We have destroyed the natural habitat of animals for human development.
(私たちは人間による開発のために動物の自然生息地を破壊してきた。)
§3.一語一訳一秒の先
武田塾の英語学習第一歩が「一語一訳一秒」にあることは先述の通りである。
では、それができるようになった後は?派生語?他の意味?
一語一訳一秒のを終えた後は、「読解型暗記」を行う必要がある。これは、読んで字のごとく「読解に適した英単語暗記」である。一問一答形式の一語一訳一秒での暗記で得た英単語の知識を、英文の中で適切に運用できるようにするのだ。
§4.ミニマルフレーズvs完結した例文
「読解型暗記」を行うために用いるのが、用例である。用例を通してその単語の使い方を習得するのだ。
では、「読解型暗記」に適した用例は「ミニマルフレーズ」「完結した例文」のいずれであろうか。
§2でのhabitatの例を参照すれば、ミニマルフレーズの方が覚えやすそうではないだろうか。理由は簡単で、「短く単純」であるからだ。
『ターゲット1900』の用例を見てみると、「We have destroyed...」という現在完了の形や「for human development」のような修飾語で文が複雑になっていることが分かるだろう。hbaitatの使い方を学ぶだけなのに、これらの要素は必要であろうか。さらに、destroyやdevelopmentの意味が分からなければ、用例となっている例文を覚えるのにhabitat以外の単語も覚えなくてはならないことになる。加えて、用例が長ければ、一つの単語の用例を覚えるのにも時間がかかることになる。
以上から、例文を使った読解型暗記は効率の良い方法ではない。英単語暗記の第2段階である「読解型暗記」では、『システム英単語』のミニマルフレーズの活用を奨励する。
※最新版の『ターゲット1900 6訂版』では、例文の一部に下線が引かれている。『システム英単語』のミニマルフレーズを見倣ったものであろう。『ターゲット1900』でもミニマルフレーズを活用した「読解型暗記」を行えるようになったのは嬉しい点である。
§5.『ターゲット1900』の例文が日の目を見る時
ここまで考えてくると、『ターゲット1900』の例文は、用例としては大変に無駄の多い駄作と感じられるかもしれないが、それは早慶、いや、早計というものである。
『ターゲット1900』に採用されている英文は、どれも英語としては簡潔で優れている。これを活用する時機は、英単語の暗記段階ではなく、英作文練習の段階である。日本語から英語に直す際の例文として活用するわけだ。
使用法の一例としては、『ターゲット1900』の日本語を見て、それを速やかに例文に倣った文型、語法で言えるように訓練するものがある。「一語一訳」ならぬ、「一和文一英訳」というわけだ。全見出し語について行う必要は必ずしもない。あくまで、英訳の練習であるから、網羅性にはこだわらなくてもよいのである。自分の英語表現力を増やす訓練と考えるのがよい。
§6.結論
いかがであっただろうか。
『システム英単語』『ターゲット1900』、いずれも一級の良書であることには疑問がないが、用例の形態に相違があった。『システム英単語』はミニマルフレーズ、『ターゲット1900』は完結した例文である。その相違によって、『システム英単語』は「読解型暗記」に、『ターゲット1900』は「英語表現力錬磨」に向いていること、お分かりいただけただろうか。
「一語一訳一秒」を仕上げたにもかかわらず、英語の読解において伸び悩みを感じている方があれば、『システム英単語』のミニマルフレーズを活用した「読解型暗記」を試されることを推奨する。
英作文力向上や、自らの英語表現の拡幅を望む方には、『ターゲット1900』の「一和文一英訳」奨励する。
● 参考文献
①霜 康司/刀祢雅彦 『システム英単語 5訂版』 駿台文庫 2019 5訂版
②ターゲット編集部 編 『英単語ターゲット1900 6訂版』 旺文社 2020
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