こんにちは、講師の町です。
先週は台風が過ぎてひとときの秋を先取り、そんな2日間があったと思いきや、また汗ばむ陽気の日々が続くなど、なかなか体が気候についていけない日々が続いております。
暑がりの私としてはこのまま深めの秋に突入していただけると助かるのですが・・・。
さて、また期間が空いてしまいましたがもう9月も下旬です。
ということは受験シーズンも確実に近づいている・・・!!!
模試の結果がそろそろ現実味を帯びてくる時期。
夏も過ぎて現実を突きつけられて落ち込んだり焦ったりする人もいることでしょう。
そういう時に、成績アップのきっかけになるのが社会系科目。
理解してしまえば、覚えることができる。覚えることができれば得点につながる!
1科目成績が安定すれば少しだけ安心感がある。
結果、他の科目の勉強にも集中できる。相乗効果なんですね。
とはいえ、社会系の科目、成績が安定しない人が少なくありません。
社会系科目が好きな人はいいんですが、好きであっても成績が安定しない人もいます。
なぜなのか。
テキスト読んで、歴史なら時代の流れを理解し、公民なら仕組みを理解し、それぞれ一問一答で知識をつけていく。これだけでできる人もいます。
でも大抵の人は、わかってるんだか分かってないんだか、曖昧なまま受験期に突入してしまいます。
しかも他に数学や英語、1番厄介なのが現代文ですね、そうした科目の成績安定のために時間を割かなければいけない、そうするとどうしても理科系の科目や社会系の科目は手薄になってしまう。
どうすればいいのか。今回は歴史系科目である日本史を題材にお話ししますが、公民系科目でも言えることなので参考にしてみてください。
1.まずは1日最低でも2時間は社会系科目のための時間を作る。
2.そして、「行間」を埋めてください。
え、行間て、なんですか?
近頃は教科書よりもわかりやすく解説してくれる参考書がたくさん出版されています(いいですね〜泣 私らの頃は・・・略)
日本史で言えば東進ブックスの『金谷の日本史「なぜ」と流れがわかる本』シリーズ。
そもそも教科書ってなんなのか。教科書は事実(学説にとどまるものもある)を解説する本。
でも書いているのは研究者であって、教師ではない。
山川出版の『詳説日本史』は11名の著作者がいますが、いずれも「教授」の肩書きを持つ偉い先生方。編集協力者に中等教育または高等学校の教員が2名、名を連ねていますが、極端な話、「わかりやすさ」に主眼を置いて書かれたものではないのです。
教科書というのはそもそも、その当時の研究成果のうち多数説を取るものが掲載されている書物なわけで、研究成果なんです。
したがって教科書は文体も硬いので、読んでいてつまらない、眠いと感じる生徒が多い。
そんな中、上記の金谷本のようにわかりやすく噛み砕いた本は、流れの理解には最適です。これと一問一答シリーズを組み合わせた勉強法は私も10年以上前に実践して、日本史を得意科目にしていました。(もっとも私、もともと日本史は嫌いではなかったですが、得意ではなかったんですよ)
ところが、金谷本は流れの理解に全力を注いだ本です。なので、突っ込んだところまでは書かれていません。その部分は自力でというか、別の方法で補わなければいけません。
例えば山川出版の『詳説日本史研究』ではより深いところまで突っ込んだ記述がなされています。
しかし、この本を読んで試験の得点が上がる人は、基礎的な部分ができている人に限られるでしょう。
記述がより詳細な分、大枠の時代の流れを押さえかつ基礎的な重要事項を理解記憶していないと逆に混乱が深まり脳内の知識が混沌とすることでしょう。これに手を出せる受験生はなかなか多くはないと思います。気になった方はチラ見してみてもいいかもしれませんが。
とは言え、流れを理解した後、武田塾のルートにもある「時代と流れで覚える日本史B用語」や金谷先生の一問一答を回してみて、誰もが理解納得記憶できるかというと、残念ながらなかなかうまくいきません。
なぜか?
要するに、流れの理解と、知識の定着との間の「橋渡し」が必要なんです。
その橋渡しができて、知識が定着すると、次は試験問題を解くための応用力という「橋渡し」が必要になってきます。後者の、応用力の意味の「橋渡し」はそれまでに得た知識をどうやって使いこなすかの問題なので、今回は深く突っ込みません。むしろ前者の、流れの理解と、知識の定着との間の「橋渡し」の方が重要なんです。
大変重要です!!
ここができないから流れの理解と一問一答で覚えた知識がつながってこないんです。
逆にいっぱい知識を詰め込んだ分、もっと頭の中が混乱して、似たような名前を間違えて覚えてしまったり、頭の中がぐちゃぐちゃになって自滅・崩壊していきます。
では前者の、すなわち、流れの理解と知識の定着との間の「橋渡し」とはなんなのか。
これが「行間」を埋めるということなんです。
私、最近生徒から質問を受けました。私の指導では1週間の間に持った疑問を特訓中に全て吐き出せと言ってます。
質問は「開拓使官有物払下げが問題となり」の意味がわからないとのこと。何が問題なのか、どういうことなのか。こういう質問をしていただけると私も説明のしがいがあって楽しいんです。
開拓使は北海道の官庁のこと、官有物ってのは要するに国が持っているもの、払い下げというのは民間に売り渡すということ。
これは数年前にも政治・社会問題になった事件があったので最初に聞きました。
「森友学園って聞いたことないですか?」
ただ、なんだかんだあの事件も5年以上前の話、今の高校生がまだ中学生になったばかりの頃の話。
その生徒は知りませんでした(悲)
2年前はこれで通用したんだけどなあ〜泣
要するに、開拓し官有物払下げとは、国の財産を特定の民間人に安く売るということ、すなわち国民の財産を減少させるということ。
そして大抵そういう場合、便宜を受けた側の民間人は役人に賄賂を払っていることが多い。
今もほら、東京五輪関係の贈収賄疑惑が次々と贈収賄「事件」として、関係者が逮捕されていたりしますよね?
そして、国民は騒ぐ。
当時は国民が騒いでいるのを抑えるために国会開設の勅諭を出して10年後に開くよと約束する(そして本当に9年後に第一回帝国議会が開かれました)。
この時に大阪会議での漸次立憲政体樹立の詔との違いを頭に入れておくと記憶の定着にもつながってきます。大阪会議の時は期限が決まってなかったんですね。
で、国会開設の勅諭では10年という期限を設けた。藩閥による政治が、民権派のいうことを聞くわけです。歩み寄り。
これで事態を収集しようとして成功します。今の政権与党ももう少し野党に歩み寄ることをすればいいと思うのですが、いかんせん議席数で圧倒していますから、完全に野党はナメられています。その意味では今より当時の方が健全だったのかもしれません。
野党議員や民衆が考えて行動しているために、その連中を黙らせるために政権は労力を割かなくてはいけないんですから。
まあもっとも、事態を大きくした大隈は政府から大蔵卿クビを宣告されたわけですが(明治十四年の政変)。しかしその結果、大隈は立憲改進党を作るとともに、まともな政治家を育てなくてはいけない、ということで東京専門学校(現在の早稲田大学)を作ったわけで、やはりつながってくるんですよね。なんで首相経験者が早稲田を作ったのか、ヒストリーがあるんです。
この辺りを体系的に理解記憶できると日本史が面白くなってきませんか?
人の動きとして自然ではないですか?歴史は人間が作り上げてきたもの。感情的なところから出発しているんです。
また、自由民権運動で板垣退助が作った愛国公党、立志社、愛国社の違いについても質問をいただきました。
愛国公党は1874年1月に東京で設立されました。征韓論で下野(明治六年の政変)した板垣退助や副島種臣たちが、議会を作れー!ということで、民選議院設立建白書を政府に提出しましたが、その後自然消滅しました。
立志社は1874年4月に高知で設立されました。帰郷した板垣退助が地元で立ち上げた団体です。
そして愛国社は1875年2月に旧愛国公党の同志を集めて大阪で、また板垣退助が設立しました。
しかし1875年2月は大阪会議がありました。大阪会議ってなんでしたっけ?征韓論や台湾出兵に反対した政治家たちが次々と政治家を辞めて、要人がいなくなったんでしたよね。そこで、「ちょっと戻ってきてくんない!」と、大久保利通が板垣退助や木戸孝允に歩み寄ったわけです。結果、板垣さんは政府に戻っていきました。なので、愛国社も自然消滅しました。
そして、秩禄奉還や廃刀令で不平を持った士族が次々に反乱を起こした時期があり、これも西南戦争で終結(政府により鎮圧された)。そこで武力でダメなら言論だ、と民権運動が盛んになり、消滅しなかった立志社を中心に愛国社が復活し、国会期成同盟に名前を変えます。でもこの当初は政府はいうことを聞いてくれませんでした。大阪会議の時みたいに困ってなかったからです。民党・民権派に歩み寄る必要がなかった。
ですが、さきに触れた開拓使官有物払下げ事件がおき、結果として国会開設の流れになった、ということです。
面白くないですか???(私だけ?)
また、第1回総選挙で民党が大勝したのに山縣はなぜ総理なのか、という質問。これも非常にいい質問でした。
この時は今のように、下院の多数派政党の党首が首相になるという制度は取られていませんでした。明治天皇が任命していました(おそらく)。そしてのちには元老と呼ばれる人たち(元首相とか)が口出しをしていた。
最後に、インフレの発生→定額地租のため政府歳入の実質的減少、がよくわからないとの質問。
こちらも政治経済の分野とも絡んでくるのですが、インフレは物価が上がりお金の価値が下がることですよね?
物価が上がっても土地にかかる税金(地租)は上がりません。すなわち相対的に政府の歳入が下がったということ。
いかがですか?
行間を埋めればあっさり理解できませんか?
しかし、この行間は一人では埋められないことも少なくないでしょう。
そこで、塾の教室にいる講師、に質問しまくってください。
特訓以外でも捕まえて!
あるいは学校の先生に質問しまくる。
せっかく塾に学校に通っているわけですから、どんどん質問しましょう!質問力も学力アップの秘訣です。
自分は何を理解していて何を理解できなかったのか、これを言語化することができる時点で一歩リードです。
あと3〜4ヶ月しかないです。
残された時間で、わからないことや疑問を全て無くしてから試験本番を迎えましょう。
〜追伸〜
私もあなたも受験生。仕事をしながらか専業かの違いだけ。
専業だから楽勝というわけでもありません。精神的に塞ぎ込んでしまう時期もある。
特に浪人生は世間と隔絶した環境で1年を過ごすわけですから。私も司法浪人専業は2年が限界でした。
今はこうして働きながら、コロナが騒がれ始めた2020年4月に司法試験の勉強を再開したわけですが、専業時代と比べたら遠回りに見えるかもしれません。
しかし、これでやってやるという決意をした。自分が継続できそうだと思う環境を整備した。急がば回れ。
心を整え、戦略を立て、必要な勉強をする。
体調を整え、頭を整え、時間を見つけて時間を作って、やるべきことをやる。
これは私もあなたも同じ。
私個人は司法試験予備試験受験生ですが、11月は昨年から行政書士試験を受験しています。司法試験と重複する科目が多いので択一式のペースメーカーにしようと、そしてしっかり今年は行政書士試験に合格して来年の予備試験の自信に繋げたいと。
そんな戦略を立てています。
一緒に頑張っていきましょう!