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【町講師の政治経済講義】2022年共通テストで事件!!政治経済と現代社会で支持学説が異なっていた 【上越 大学受験 個別指導 塾】

ご無沙汰しております、上越校講師の町でございますけれども(YOUTUBERか)

 

共通テスト本番まで半年を切り、受験校によっては私大入試まであと半年を切ろうとしている時期ですが、受験生の皆さんいかがお過ごしでしょうか?

去る2022年7月は、安倍晋三元首相が殺害されてからというもの、旧統一教会と政権与党との関係が連日メディアを賑わせておりますが、政治経済でも勉強する「政教分離原則」についてはまた別の記事でお話しすることとして、今回は受験生にとってはより深刻な歴史的事件についてお話ししたいと思います

 

実はその事件は今年の1月に起きていました。1月15日(土)、そう共通テストの試験日1日目でしたね。

その共通テストで事件は起こったのです・・・!

なんと、ある学説についての、科目間で共通しているべき「支持学説」が異なって出題されていたのです。

早速問題を見ていきましょう。

1つは現代社会の問題です。

 

<現代社会 第3問 問3>

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いわゆる信用創造の問題ですね。

この問題は現代社会を勉強している皆さんなら解けたのではないでしょうか?

まあ国語の問題とも言える問題ですが、要するに、

銀行のお金とは私たち国民が銀行に預けた預金の一部を日銀に納入して残額を貸し出すという、「預金又貸し論」の理解で作られている問題です。

まあぶっちゃけてしまえば、この預金又貸し論を理解していなくてもこの問題は正確な日本語力と図の分析力があれば解けました。

図を見ながらついてきてくださいね!

預金1000万円のうち準備金が300万円と言うことは、準備率が30%になりますよね?

アは30です。B銀行はまた30%を準備金に回すので、700万円の30%である210万円を準備金に、残りの490万円を融資に回しますイは490です。ウは預金準備率が40%の場合の話で、Aは400万を準備金とし、600万を融資に回すBは600万のうち240万を準備金にし、360万を融資に回す

すると、3つの銀行が受け入れた預金の増加額は1000万+600万+360万で1960万となる。ウは1960万、すなわち1番が正解となるわけです。

ウについては預金準備率が30%の場合、1000万+700万+490万=2190万と、40%の場合と比べて額が大きいですよね。

これは本文の「預金準備率が低いほど信用創造の効果は大きくなる」ということの現れと言えるでしょう。

 

ここまでは皆さんも教科書で勉強した内容ではないでしょうか?

実はその教科書で学習する内容が真実に合致しているかという問題が近年の経済理論論争では激しくぶつかり合っているのですが、ここで、物議を醸した政治経済の問題を見ていきましょう。

<政治経済 第2問 問5>

 

 

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まあぶっちゃけこの問題も、現場思考で取り組めば対して難しい問題ではないんですが、真面目に勉強してきた受験生の皆さんの多くは面食らったことだと思います。

 

図1貸出前のバランスシートから図2貸出後のバランスシートへの変化はどうなっているか。

先程の現代社会の出題の理解だと、すでにある預金から預金準備金を差し引いた額を融資に回すと言うことでした。

ところが、本問の図2において奇妙なワードが出てきています。

「新規の貸出20」「新規の預金20」です。

すでにある預金から預金準備金を差し引いた額を融資に回すという、現代社会での出題の説明と矛盾していませんか?

これは教科書には載っていないものの、実は実際の銀行で行われている事実なのです。

要するに、市中にある銀行は他の預金者がいなくても別の顧客(仮にXとしましょう)にお金を貸す場合そのXに返済能力の信用があれば、銀行の預金残高の数字をコンピューターで書き換えるだけでXに対して融資したことになっているのです。

ただ、今話した話は、実はこの問題を解くに当たってはあまり関係ありません。(なんだよ!)

では選択肢を吟味していきましょうか。

1番は「市中銀行はすでにある預金を個人や一般企業に貸し出すため、銀行貸出は市中銀行の資産を増加させ負債を減少させる。」とありますが、図1と図2を比較した場合、資産も負債・純資産も増えてますよね?なのでバツ。

2番は「市中銀行はすでにある預金を個人や一般企業に貸し出すため、銀行貸出は市中銀行の資産を減少させ負債を増加させる。」バツ。

3番は「市中銀行は新規の預金を創り出すことによって個人や一般企業に貸し出すので、銀行貸出は市中銀行の資産と負債を減少させる。」だからどちらも増えていますよね?バツ。

4番は「市中銀行は新規の預金を創り出すことによって個人や一般企業に貸し出すので、銀行貸出は市中銀行の資産と負債を増加させる。」これが正解となるわけです。ちゃんと読めば解けない問題ではないことがわかりましたよね?単なる図の読み取り問題です。

ただ、やはり教科書の記載通りに記憶・理解していると新規の預金を創り出すことによって個人や一般企業に貸し出す」という部分に引っかかってしまいそうです。特に真面目に、一生懸命勉強してきた人ほど、得意な人ほどこの記述には引っかかってしまったかもしれません。

 

見たことないよ・・・

 

実際この問題では合否の差は出なかったように思います。

しかし、残念ながら一度出てしまった。ということは今後もこの見解をもとにした出題がありうるわけです。

では今後、どちらの見解をベースに勉強をすればいいのか?という疑問が出てきますよね?

そもそも経済学は学問なわけですが、学問にはそれぞれ学説というものがあります。皆さんが勉強している物理や化学、日本史や世界史、数学や古文、英語も全て学問であり、それぞれの学問の学説のうちいわゆる主流とされているものが教科書に記載され、皆さんが学ぶという流れになっているわけです。

私の受験した科目で言えば、例えば日本史なんかは10年も経てばそれなりに変わってきている部分があります。鎌倉時代はいつから始まったか、という問題提起に対し、私が受験生の頃は鎌倉幕府が成立した1192年とされていました。いい国作ろう!という語呂はあまりにも有名でした。しかし、現在は1185年の壇の浦の戦いで平氏が滅亡したことを以て鎌倉時代が実質的に始まったとされています。別の例では、十七条の憲法を制定した人物をかつては聖徳太子としていましたが、現在は厩戸王で統一されています。時代の変遷とともに、支持される学説が変わってくることは往々にしてあるのです。

私が学んでいる法律科目においても新しい判例(最高裁判所の判決)が出て、従来の見解が覆されることは最近ありましたし、刑法などはかつてと現在とで主流とされる学説が変わってきていることもあります。

司法試験や予備試験の場合は、結局論文を書くので、対立しているどちらの学説を選んだとしても最終的に結論が妥当であればなんとかなる、そういう試験です。しかし、大学入試はそういうわけにはいきません。小論文の試験は別ですが、一般的な英数国理社科目においては主流学説に基づく知識の習熟度が試されています。

ではどっちの学説で勉強すればいいの?

結論としては、「どちらも頭に入れておく」です。

1番めんどくさいですね。笑

今回の政治経済における出題で言えば、図を正確に読み取って、選択肢を一つずつ消していく、消去法で選ぶのが正しい解き方だったように思います。

そもそも学説を十分に理解していなくても正解を選べる問題でした。

今後出るにしても、文章理解系の問題になるのではないでしょうか、なのであまり振り回されないように気をつけましょう!

 

もっとも、今回のこの「事件」は実は興味深い話があってですね

 

共通テストを作成しているテストセンターは文部科学省の下部組織です。

そして、上記の現代社会の学説・預金又貸し論を根拠に日本の財政政策を進めているのが財務省なわけです。

文部科学省と財務省とでは、ランクが圧倒的に財務省の方が上になります。

省庁間にも力関係というのは明確に存在していて、財務省などは政党や政権にまで影響力を及ぼすほどです。

この、文部科学省と財務省の力関係を前提に考慮すれば、今回の一件は文部科学省が財務省に反旗を翻したとも解釈できるわけです。

財務省といえば、前回話した「税は財源ではない」という話で、「税は財源である」と解釈する団体です(この理論だと特に人口減少著しい日本においては確実に破滅します)。

この「税は財源である」、というのは現代社会で出題された又貸し論と親和性が高い。つまり今まで習ってきた内容なんです。物理的に有限なところからしかお金を回せない、という発想です。

他方、「税は財源ではない」、は政治経済で出題された信用創造と親和性が高い。

なお、私個人としてはもちろん後者の信用創造が正しいと考えています。

税は財源ではない国は無からお金を作ることができるのだから。

日本は自分の国で円を作っています。ヨーロッパみたいにユーロではないし、実質的にアメリカの属国とはいえ、日本国内で流通しているのはドルではなく円ですよね?

積極財政派の間では、財務省は財政規律(政府の赤字は0=国民の赤字はヨシ!とする考え)で国民を苦しめている諸悪の根源、悪の権化というわけです。

面白いのは、候補者の時には財政出動ヨシとしていた人たちが軒並み政権寄りになると「財政規律は守る」なんてことを言い出す

財務省に首根っこでもつかまれているんでしょうかね

 

 

ちなみに、先日お亡くなりになった安倍晋三元首相はそもそも積極財政派の議員でしたが、そんな彼の在任中でも、「税は財源である」として増税が繰り返されましたし(8%の時は民主党政権の決断ですが)、コロナの特別給付金が1度きりしか給付されなかったのは財務省の圧力とも言われています

現に、コロナ給付金の一律10万円、配られた当初は「なんだよ、10万しか配らんのかよ!」などとケチくさい政府を批判する声が大きかったですが、実際あの後政権が菅氏、そして現政権の岸田氏になっても追加の給付金は配られていません

あの当時よりも今の方が明らかに経済的困窮者は増えているにもかかわらず、配る気配もありませんし、参議院議員選挙も終わりいよいよ増税の声が出始めそうな雰囲気でもあります。

安倍氏の死亡についてはさまざまな意見があり、生前の数々の疑惑の追及もまだこれからというところ。

感情的に安倍氏を悼む声が多く聞かれる中、実害として、安倍氏の死亡により積極財政派の勢力が弱まってしまうというのが最大の損失とも言われています。

今思えばあの安倍政権では10万円の一律給付をしたという事実があります

しょっぱい額ではありましたが、今の岸田政権よりよほどマシだったのではないかとさえ思えてなりません。

 

この点においてだけは。。。。

 

 

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