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【疑問を持つということが大学生になる準備】社会科が「選択科目」でいいわけがない 【上越 塾 個別指導 大学受験】 

ご無沙汰しております、講師の町です。

今日は2本立てです。

まず、1本目は個人的な話ですが、ちょうど1ヶ月前の5月15日に司法試験予備試験を受験してきました。2016、2017、ブランクあって2021年とこれまで3度受験しましたが、今年は昨年に続き通算4度目の受験。予備試験は短答式→論文式→口述式という3ステップの試験で、途中で不合格になると翌年はまた1次の短答式からの受験となりますが、私はいずれの年度も短答式試験の時点で思うような結果が残せず、論文式試験に進めていないという現状です。

講師として武田塾で働き始めて4年目になりますが、正しい勉強法を教えながら私も実践しているところです。

しかし、なかなかうまくいきません。最初の2年(2016,2017年)は勉強法すらも正しくなかったことは今となっては何をやっていたんだという2年でした(まだ武田塾の講師でもありませんでした)が、2020年4月に受験勉強に戻ってきた当初も、まだまだ自分に何が足りないのかがよくわかっていませんでした。

ところが、昨年の短答式試験を受験して、合格ラインに到達するには論文式試験の勉強をどれだけできているか、という点が課題であることがわかり、この1年は年明け1月まで論文式試験の過去問の答練をしたりしていました。

しかし、個々の論点についての論述がまだまだ甘いな、どうすればいいかな、というモヤモヤがありました。

そして、今年の短答式試験を受けて、この個々の論点をきっちりマスターすることが短答式試験合格への最後の自分の課題なんだと分析しました。

司法試験予備試験は、「予備」と言いながら本試験よりも難しい試験と言われています。

短答式すなわち選択式の試験ではありますが、3つの肢を全て理解していないと点数に結び付かなかったり、科目によってはなかなか点に結びつかない試験です。

合格ラインは270点満点で160点前後(一般教養科目というのも60点分含まれます)ですが、

法律7科目は各30点満点で、

民事科目(民法商法民訴法)は90分の試験時間で2点問題が15問ずつ計45問。

公法科目(憲法行政法)は60分の試験時間で3点問題(1ミスの部分点は憲法が1点、行政法が2点)が12問ずつ計24問。

刑事科目(刑法刑訴法)は60分の試験時間で多様な形式、13問ずつで計26問。

各科目とも、単純な条文知識や判例、事例問題、見解問題などさまざまな出題形式があります。今年健闘したのは憲法民法刑訴法でした。悔しかったのは刑法、足を引っ張ったのは商法行政法民訴法でした。

とはいえ、科目ごとの難易度は年によって変動しますので、この点はあまり気にする必要はなく、全体的に基本的な知識を深く正確に押さえているかが勝負の試験です。

なので、それぞれの科目の出題形式に応じた戦略を練ることはもちろん、中身も深く正確な理解が求められます。

そうでないと、仮に短答式を突破できたとして、次の論文式を突破することはできません。上述の通り、予備試験は短答式→論文式→口述式という3ステップの試験で、途中で不合格になっても翌年はまた短答式からの受験となります。

今年の試験もダメだったことがわかった今、これからは来年の最終合格に向けて準備していこうというマインドになるわけですが(幸い来年は試験時期が2ヶ月後ろ倒しになるので例年より多く対策が練れる)、ではどのように過ごせばいいのか?

今年の私の得点はおそらく130点前後。なんだ、30点も足りねーんじゃん!という印象を受けますが、最後の1つの選択肢で点を落とした問題がかなりあったのです。これは単純に惜しいということではなく、正確な知識がないとここで切られる仕組みになっていると理解しています

なので、もう一度、各科目の各論点だったり、条文を丁寧に理解し暗記する、公法は判例の理解を深め、刑事は事例問題を確実に解けるように、マイナー分野も最低限は取れるように

こうして課題をあぶり出した後は対策を練り実践するのみです。

私は、各論点につき短い論文を書く訓練が必要だと判断したので、答練をやっていますその集積が過去問の深い理解にもつながります。今までは過去問やってればそのうち各論点も書けるようになるかなと思っていましたが、甘かったですね。ようやく向き合うことができた、そんな気持ちです(まあ答練講座などもお金がかかるもんで、その辺の折り合いもつけることができました。やはり必要だなと。)

これは資格試験にも大学受験にも言えることですが

「今の自分に何が足りていないのか、ではその足りていないものを埋めるためにこれから何をすればいいか」

これを常に意識して学習に取り組むことが最も大切だと私は考えていますし、私の指導の指針にもなっています。

というかこれは武田塾の指導法そのものですよね。笑

これからも、生徒の皆さんの合格に向けた指導・サポートをさせていただきながら、自分の勉強にも取り組んでいきたいと思います。

 

さて、2本立ての2本目。「社会科が選択科目でいいわけがない

上述のように、私は法律の勉強をしています。

受験生時代は日本史が選択科目だったのですが、講師としては政治経済の指導をすることも増えてきました。ちなみに私は大学受験生時代、志望校に必要な英語と国語と日本史以外は真面目にやっていませんでしたので、政治経済も法律の勉強をしていなければチンプンカンプンだったことでしょう。

政治経済の政治分野では民主政治や権力分立、各国の政治体制をやったら、日本国憲法や日本の政治機構などをやりますね。ここで法律の勉強をしていることの利点が出てきました。テキストの記述だけだとやや理解できないようなところを、なんとか噛み砕いて説明するということが、これはおそらく受験科目だった日本史よりもできているような気がします(日本史は金谷先生のテキストをベースにやってるもんですから、あれが1番わかりやすいんですよね)。

で、これはみなさんの学習(私の学習にも共通する)のヒントにもなることで、理解しているかどうかは、

あなたが勉強したことを全くそれを知らない第三者に説明できるかということが、一つの指標になってきます。

印象的だったのは、昨年秋に駆け込みで入塾してくれた現役の3年生。共通テストも差し迫った時期に突貫工事で政治経済の得点を上げなければいけない、そんな中、その生徒さんは毎週ガツガツ勉強して、特訓中の質問の質も上がってきているのがわかりました。そしてある日、こんな質問を受けました。

「審査基準が緩やか、ってどういう意味ですか?」

これは裁判所の違憲審査の話です。何かの模試を持ってきて質問してくれたのですが、「政治経済でこんな問題も出るのか・・・」と驚きました。自分が25歳とかでやり始めてようやく理解できるようになったことが、高校生にも問われているのかと。確かにわかりにくいんですここ。私も苦労しました。

なので、まず、権利の種類から説明し→憲法の本質は権力を縛るものであること→ならば憲法で保障された国民の権利のうち、より重要な権利というのは、法律等によって制約を受けるべきではないという方向性に傾くと。

例えば、表現の自由に対する制約って権力批判を封じ込めるために使われてきたわけだけど、そんな制約が簡単にされたら憲法で保障した意味が薄くなるよね?あとは信教の自由とか、思想・良心の自由なども同様に。

だからこうした権利に対する制約が憲法に適合しているものかどうかは慎重に判断されなければいけない、これが厳格な審査というわけです。

一方、経済的自由に対する制約は表現の自由などの精神的自由に比べると、権利の重要性としては少し劣る、だからここに対する制約が憲法に適合するかどうかは比較的緩やかに審査される、これが緩やかな審査というわけです。

例えば、職業選択の自由は精神的自由の側面もあるけど経済的自由の側面も強い、職業選択の自由から導き出される営業の自由も同様である。

お酒を売りたいんだけど、酒類販売免許がおりなくてやりたい仕事ができない、この制限を設けている法律は営業の自由への侵害だ!憲法に違反している!」みたいな話があるとしよう。

この制約は租税(酒税)の確実な徴収という国の財政目的のための職業の許可制による規制は立法府の判断に委ねられる(立法裁量)べきで、著しく不合理でない場合以外は裁判所は判断しません(つまり違憲ではない、合憲)とした。

その時に具体例は何を用いたかは忘れましたが、こんな感じの説明をしました。

すると「そういうことか!」と一定の理解をしていただけたようで嬉しく思いました。

僭越ながら、この解説ができるのは法学部生の講師か司法試験等の勉強をしていないと難しいよなあなんて思いました。自分のやっていることが仕事でもつながってきたことに喜びを感じました。

その生徒さんは無事合格されて春から大学生になられました。めでたしめでたし・・・。

では終わりません。

 

立法裁量ってどういうことか。つまり、国会で作られる法律次第で決まる、ということです。

例えばですが、派遣法というのがあります。聞き慣れないですよね?

派遣会社を介して仕事を紹介され業務につく、今やすっかりお馴染みのシステムですが、これ本当はここまで広がるものではなかったのです。最初は限られた業種にのみ特別に認められた制度でした。

それが今やどうでしょう?

あらゆる業種に人材派遣業者が蔓延っています

そもそも労働者と企業が直接雇用契約を結べば人材派遣業者なんていらないのではないでしょうか?

なのになぜ両者の間に業者を噛ませる必要があるのか。

会社としては幅広い人材の目に触れ優秀な人材を採用したいという思いもあるでしょう。

労働者側としても、いろんな情報を画面ひとつで見ることができ、精査しやすい、マッチしやすいなどの利点があります。

しかし、人材派遣はあくまでビジネスです。その間にお金が発生しています。そのお金が目当てでこうした会社が乱立したのです。

すなわち、企業が採用活動をするにあたり、予算を決めますよね。その予算の中から人材派遣会社に払う手数料があります、それを差し引いた額が労働者に支払われる、単純にいえばこういう構図になります。そうすると?

わかりやすく説明するために単純化しましょう。

例えば時給1200円で1名雇いたいとして、会社が直接雇えばそのまま1200円で雇えます

でも間に業者が入って手数料が掛かれば例えば200円引かれたとして、労働者は時給1000円で雇われるということになります。例えば求人情報のI○deedってありますよね?あの求人情報をよくみてください。

直接お店の名前が書かれている場合やお店や事業所を運営している会社の名前が書かれていれば問題ありませんが、ときどき株式会社フ○○○○トと書かれているものがあります。人材派遣会社です。そこに書かれている給与額より本来は高い給与が支払われるはずなのに、その会社を挟むことで、労働者に手に入る給与は何割か低いものになっています。

人を紹介しただけで手数料をせしめることができる、いい商売ですよね。その最たる業者がパ○ナといいます。まあここから先は危険な話になるのでご興味おありの方はご自分で調べてみてください。日本社会の闇が凝縮されています。

もっとも、こうしたものが蔓延る原因を作ったのは我々国民なのです。

我々が選挙で投票した結果生まれた国会議員により作られた法律によって、今の世の中が出来上がっているのです。

我々が選挙で投票した結果と言いましたが、正確には「我々が投票しなかった結果」、ともいえます。

約半分の国民が選挙の投票に行かない国です。一部の人の利益のために政治が動かされています。

人材派遣の例でいえば、企業は安く労働者を使いたい、だから正社員は雇いたくない、そうだ派遣社員にしよう!

みたいなマインドです。

もう一つ、政治経済の例で言えば、消費税というものがあります。私を含め、みなさんも生まれた時から存在していた消費税。これが導入されたのは1989年と、まだ30年程度の歴史しかないんです。

税の原則・役割って覚えてますか?

税の原則はあるところから取れ、ないところから取るなすなわち累進性です。

そして、税の役割景気を安定させる点にあるのではなかったですか?

すなわち景気が良いときには加熱しすぎないように貨幣の流通を抑える役割(増税)、景気が冷え込んだときには貨幣の流通を喚起するための役割(減税)、こうした役割を自動的に果たす制度をカタカナ12文字でなんと言いますか?

 

ビルトインスタビライザー

でしたよね?

 

では消費税は1989年以降、どうなりましたか?

当初3%だったものが、1997年に5%に、2014年に8%2019年に10%になりました。

この間、日本の景気はよかったでしたっけ?

実は1997年以降、ずっと不況です。多少の上下はあれど長期的に見れば経済成長率は下降を続けています。

そして実質賃金も下がり続けています。所得の中央値(「平均値」は所得の極端に高いもしくは低い人に引っ張られてしまいますが、中央値はいろんな稼ぎの人の真ん中にいる人の所得になるのでよりリアルな数字)、はこの20年で100万円以上、下がっています。現在は399万円ですが、27年前の1995年は545万円でした。150万近く下がってるんですね。

で、この不況の中、あげられ続けているのが消費税です。現政権は次の選挙に勝てば19%まで消費増税を考えていることは公言されています。

20年以上続くデフレ、コロナ、戦争・・・。

真っ当に政治経済や現代社会を学んでいる皆さんからすると、「!?!?」と思うかもしれません。

こういう時こそ減税または廃止にして、貨幣の流通・消費を喚起しなければいけない。基本中の基本の知識ですよね?

でもそれがなされない。なぜか?

まず、税は財源だと思っているからです。

上述のように、税はビルトインスタビライザーにすぎず、財源ではないんです。

で、30年近く政府はお金がないお金がないと言いながら、消費増税をする一方で下げている税金があるんです。

ご存知ですか?そう、法人税です。法人とは会社のことです。国民個人も所得税を納めますが、会社も実績に応じて納税します。この法人税が大企業を中心に大きく減税されています。じゃあその穴埋めどうしてんの?

その穴埋めに使われているのが消費税、そういうカラクリなんです。

消費増税の時には、国民に対して理由説明がなされました。「増税した分は社会保障に使う」と。

確かに使われているので100%嘘ではないんですが、2割そこそこしか使われていません。

残りの7割程度つまり大部分は法人税減税の穴埋めに使われています。

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で、何が言いたいかというと、これって大人でも関心がある人が少ないんですよ。知らない。

そもそも日本では、政治はなんかあんまり大きな声で話してはいけないもの、って風潮が蔓延っていますよね。

なので日常的にそもそもそんな話はしません。

で、日々の生活に追われ、休日はリフレッシュで遊んだり出かけたり。

でも、この事実をほとんどの大人が知っていたらどうでしょう?

もっと会社を儲けさせて、私たちは企業のために貧しくなろう!って思いますかね?

いやこれで良いわけねーじゃん!って思う人は少なくないはず、つまり世の中が健全な方向にいくとは考えられないでしょうか?

で、こうした世の中はどうやって生まれたのか。上述の通り、選挙で選んだ議員によって法律が作られてできたんですよ。

選挙でどういう人を選べば良いのか、そのヒントが社会科の学習内容に詰まっているんです。

ストレートには政治経済や現代社会ですね。政治分野で、政治制度の歴史、統治機構について、憲法について、選挙制度について学び、経済分野で経済思想の歴史、財政の仕組み、税制などを学びます。その国際比較も学びます。

日本史は日本の歴史について政治史を柱に通史を学びます。歴史からヒントを得て候補者に投票できます。

でも学校の授業では古代や中世をやたら詳しく扱う割に、近現代は割と適当だったり最後の戦後史まであえて行かなかったりするんですよね。これは教える側が扱いにくいと考えているからという側面も否定できません。

特に公立高校では教師の中立性が求められますから、戦後史や政治経済特に政治分野については扱いにくいんです(私立学校や塾だとそんなことは関係ありませんが)

そして、社会科目はなぜか選択科目なんです。

私立理系の受験生は社会科を学ばないんです。これは私立文系が数学や理科をやらないことよりもマズいことだと個人的に思っています

で、全受験生の必修科目はなんですか?

英語ですよね?なぜか国語ではなく。

こうした点からも日本の教育が連合国軍の戦後占領期から抜け出せていないことがよくわかります(日本史より)。

日本は今もアメリカの属国なんです。

その証拠に、自分の国の歴史のことを「日本史」と呼ぶことに違和感がありませんか?「国史」ではないんですよ?

そして世界史と日本史を分けている点も非常に疑問です。日本史の中でも世界の情勢はからみますし、世界史を勉強している人は日本の歴史をあまり知らないことになります。

国史として、日本の歴史と日本に絡む世界の歴史を一体化して教えるべきだと思いませんか?

自分の国の歴史と政治経済を把握しないで健全な民主主義など発展しようがないんです。

その意味では、日本はまだまだ民主主義ではないんでしょう、なにせ半分の国民が選挙で投票に行かないのですから。投票に行かない自由が保障されないとするのはダメですが、

国民の半分以上が投票に行かない国、正直言って狂ってますよ。

今こそ社会科を、国史と政治経済を必修にすべきだと、私は思います。

英語は必修のままでいいですが、現代文特に論理的思考力の習得も必修にすべきです。ディベートなどね。

日本の未来を案じる、一講師として強く望みます・・・。

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