- 古文 逆転の勉強法 方法編
- 古文 逆転の勉強法 実践編 1
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- 武田塾犬山校からのお知らせ
古文 逆転の勉強法 方法編
A)古文の基本的な勉強法は、古文を日本語として考えるのではなく、古文を英語と同じような、一種の外国語として考え、
- ①古文単語の理解
- ②古文法の修得
- ③長文読解
の3つに分けて、英語と同じように勉強していくことです。
英語と同様に、①②③の順で勉強の難易度が増していくので、英語のように①から始めようと考えますが、それでは古文は、いつまでたっても上達しません。古文の面白さは、いにしえの人々の文章を読んで、その考え方に触れるところにあります。その面白さを味わい、勉強を自主的に円滑に進めていくために、古文の勉強は、英語と違って、③→②→①あるいは、③→①→②の順で勉強します。
B)それともう一つの逆転があります。皆さんは、どうしても①簡単な古文の理解から、②難しい古文の理解へと進みます。
- 簡単な古文の理解
- 難しい古文の理解
普通は、①→②の順番で、易しいものから勉強していきます。しかし、簡単な古文は、いにしえの人々の面白い考え方まで伝えてくれない場合が多いのです。無味乾燥な勉強になってしまって、自主的な勉強が進まなくなる可能性が高いのです。
私が目指す 古文 逆転の勉強の第一の目標は、まず古文学習の面白さ、楽しさに触れて、自主的に勉強するようになること、古文を好きになることなので、②→①の順番で勉強していきます。もちろん、面白い文章であれば、易しい古文を先に勉強しても構いません。要は、古文の勉強が面白くなることを最優先することです。NHKの大河ドラマにある通り、源氏物語が一番面白いんです、一番難しいんですけれども。
C)さらに、せっかく長文を学んで理解して、古文の面白さを味わったら、そこで勉強を止めてしまうのではなく、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきます。これが、大事なことの二つ目です。ただし、ひとつひとつの文章で、そんなに多くの単語を修得しようとあせることはありません。受験に出るのは、キーポイントだけですから。勉強した例題から、大事だと思われる単語と文法を纏めていきましょう。小さな大学ノートを使うと、あいうえお順で詰まってしまいます。大きくて分厚い大学ノートを準備し、左側のページを見出し(古文単語)に使い、右側を、今回、勉強した現代語での意味や解説や例文や文法を書いていきます。最初は、間隔が空き過ぎのつもりで十分です。
- 自分自身の独自の古文単語帳を作る。(本物みたいに例文付きが望ましい。勉強した例題の文章を使えば良い。)
- 古文文法も自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)の中に含めていって良い。(本物みたいに例文付きが望ましい。勉強した例題の文章を使えば良い。)
D)受験日の一年前になったら、受験校の過去問を手に入れて、5年分ぐらいを繰り返し解いてみましょう。一回目から時間は、受験時間と同じにして、自分で作ってきた自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)は、見ても構わないルールで、時間を測ってやりましょう。答え合わせは、自分でやって良いし、点数も自分で出し、わからなかった単語や文法は、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に加えていきましょう。
E)過去5年分の出題の出典に当たって、図書館などで、その続きの部分を読んでみましょう。出題者が同じであれば、同じ文章の続きを出題してくる可能性は高いです。
F)受験日の数日前になったら、自分自身で作り、書き加えてきた自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)をもう一度、復習しましょう。これは、自分のお宝勉強帳です。これで、古文に関する準備は、OKです。直前の数日は体調管理に気をつけて、良く寝ましょう。
古文 逆転の勉強法 実践編 1
- それでは、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作る方法を見ていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
(ペブルビーチゴルフリンクス )
- 【問題1】は、パー4ちょっとトリッキーなアウトの1番です。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がゴルフでいうパーで、合格です。)
【問題1】
公忠の弁をば、おほかたの世にとりても、やむごとなきものに思し召したりし中にも、鷹のかたざまには、いみじう(イ)興ぜさせ給ひしなり。日々に政を勤め給ひて、馬をいづこにぞや立て給うて、こと果つるままにこそ、中山へは(ロ)いませしか。(1)官のつかさの弁の曹司の壁には、その殿の鷹のものはいまだ付きてはべらむ。
みそかに二所の鳥をつくりまぜて、しるしをつけて、人の(2)まゐりたりければ、いささかとり違えず、「これは久世の、これは交野のなり」とこそ、(3)まゐり知りたりけれ。かかれば、「(4)ひたぶるの鷹飼にてさぶらふ者の、殿上にさぶらふこそ見ぐるしけれ」と、延喜に奏し申す人のおはしければ、「公事をおろそかにし、狩をのみせばこそは罪はあらめ。一度政をもかかで、公事をよろづ勤めて後に、ともかくもあらむは、(5)なんでふことかあらむ」とこそ(ハ)仰せられけれ。(大鏡)
【日本語訳】
延喜の帝(醍醐天皇)は、公忠の弁(源公忠)を、政治の方面についても、大切な者と思っていらっしゃいましたが、その中でも、鷹狩りの方面では、たいそうごひいきでいらっしゃいました。
(公忠の弁は)日々、政務をお勤めになって、(その間は)、馬をどこかにつないでおかれて、お勤めが終わるとすぐに、中山(狩場)へお行きになりました。太政官の公忠の弁の部屋の壁には、その殿の鷹の糞が、今でも付いているでしょう。
こっそり、両所(久世と交野)の鳥をまぜて調理し、目印をつけて、ある人が差し上げたところ、(公忠は)少しも間違えず、「これは久世の、これは交野のです」と(味の違いを)食べ分けられたのでした。
このようでしたので、「鷹飼いの専門家である者が、殿上にお仕えする(政務にたずさわる)のは、みっともないことです」と、延喜の帝(醍醐天皇)に奏し申した人がいらっしゃいましたが、(天皇は)「(公忠が)公務をおろそかにして、鷹狩ばかりをしているのであれば罪ではあろう。(しかし)一度も政務を欠かさず、政務を万端にわたって勤めて、その後で、何やかやするということは、なんのことがあろうか(本人の自由だ)」とおっしゃったのでした。
- 下線(イ)(ロ)(ハ)の部分の主語を示せ。
- 下線(1)の部分の叙述は、結局、どういうことを強調することになるのか。
- 下線(2)と(3)の「まゐる」の用法・意味の違いについて記せ。
- 下線(4)と(5)を、口語訳せよ。
【解答例】
【問1】(イ)延喜の帝(ロ)公忠の弁(ハ)延喜の帝
【問2】(1)公忠の弁が、鷹の飼育に徹していたこと。
【問3】(2)「差し上げる」という意味の謙譲語
(3)「召し上がる」という意味の尊敬語
【問4】(4)専門の鷹狩りでございますようなものが、殿上にお仕えしているのは、本当にみっともないことだ。
(5)何の不都合があろうか、いやそんなことはない。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を見ると、最重要単語の一つである「まゐる」については、詳細な下記のような説明があるのが、通常ですが、今回の勉強で「まゐる」のすべての意味を、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に纏めていく必要はありません。例題で問われた斜線部だけを纏めていけば良いのです。すべての意味を覚えようとすると結局何も覚えられなくなります。
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章で、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
【まゐ・る】
[一]自動詞ラ行四段活用
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①参上する。うかがう。お仕えする。▽「行く」の謙譲語。
出典枕草子 宮にはじめてまゐりたるころ
「宮に初めてまゐりたるころ」
[訳] 中宮様の御殿にはじめてお仕えしたころ。
②(神社・寺院などに)お参りに行く。お参りする。参詣(さんけい)する。▽「行く」の謙譲語。
出典更級日記 春秋のさだめ
「霜月(しもつき)の二十余日、石山にまゐる」
[訳] 十一月の二十日過ぎに、石山寺にお参りに行く。
③(天皇・皇太子の妃(きさき)として)おそばに上る。入内(じゆだい)する。▽「行く」の謙譲語。
出典源氏物語 桐壺
「人より先にまゐり給(たま)ひて、やむごとなき御思ひなべてならず」
[訳] (この妃は)ほかの妃よりも先に入内なさって、帝(みかど)がお心をおかけになることはひととおりでなくて。
④参ります。▽「行く」「来(く)」の丁寧語。
出典更級日記 物語
「今、まゐりつる道に、紅葉(もみぢ)のいとおもしろきところのありつる」
[訳] 今、通って参りました道に、紅葉のたいへん美しい所がありましたよ。
[二]他動詞ラ行四段活用
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①差し上げる。献上する。奉る。▽「与ふ」の謙譲語。
出典伊勢物語 八二
「親王(みこ)に、馬の頭(かみ)、大御酒(おほみき)まゐる」
[訳] 親王に、右馬寮(うめりよう)の長官がお酒を差し上げる。
②してさしあげる。奉仕する。▽「す」「仕ふ」の謙譲語。
出典源氏物語 若紫
「加持(かぢ)などまゐるほどに、日高くさし上りぬ」
[訳] 加持などをしてさしあげるうちに、太陽が高くのぼった。
③召し上がる。お食べになる。お飲みになる。▽「食ふ」「飲む」の尊敬語。
出典大和物語 一二五
「ほかにて酒などまゐり、酔(ゑ)ひて」
[訳] よそで酒などをお飲みになり、酔っぱらって。
④なさる。おやりになる。▽「す」の尊敬語。
出典源氏物語 若紫
「今宵(こよひ)はなほ静かに加持(かぢ)などまゐりて」
[訳] 今晩はやはり静かに加持などをなさって。
- このように辞書をみると、「まゐる」という単語は、重要単語で何回も出てきますから、今回の例題で全部覚えよう、全部、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に纏めていこうとするのではなく、今回の例題でわからなかったところだけにするのが、ポイントです。1つの例題で、2つか3つで十分です。
- この例題から、もう一つ学ぶとしたら、「なんでふことかあらむ」という最後の方の一文でしょう。下記の斜線部の用法になります。反語ですから、「何の不都合があろうか、いやそんなことはない。」と、きちんと最後まで訳しましょう。「何の不都合があろうか。」で意味はわかっているんですけれど、古文の試験では減点となります。
【か】
係助詞
《接続》種々の語に付く。「か」が文末に用いられる場合、活用語には連体形(上代には已然形にも)に付く。
(一)文中にある場合。(受ける文末の活用語は連体形で結ぶ。)
①〔疑問〕…か。
出典竹取物語 ふじの山
「いづれの山か天に近き」
[訳] どこの山が天に近いか。
②〔反語〕…か、いや…ではない。
出典古今集 仮名序
「生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける」
[訳] この世に生を受けているものすべて、どれが歌を詠まなかったか、いや詠まないものはなかった。
(二)文末にある場合。
①〔疑問〕…か。
出典 源氏物語 若紫
「童(わらは)べと腹立ち給(たま)へるか」
[訳] 子供たちとけんかしなさったのか。
②〔反語〕…か、いや…ではない。▽多く「かは」「かも」「ものか」の形で。
出典徒然草 五六
「隔てなく慣れぬる人も、程経て見るは恥づかしからぬかは」
[訳] うちとけて慣れ親しんだ人も、しばらくぶりで会うのは、気づまりでないか、いや気づまりだ。
古文 逆転の勉強法 実践編 2
- それでは、また具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作る方法を学んでいきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないこと、やった例題から、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作ることが重要です。あとで空欄がおおく残っても良いので、分厚い大学ノートを準備しましょう。見開きにして、あいうえお順で十分にスペースを空けながら作るのが良いと思います。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題2】は、パー3難しい2番ホールです。ここで難しいと感じるようなら、基本的な学校の教科書を再読することから始めるべきです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。12点がボギー、10点がダブルボギー、8点がトリプルボギーです。)
【問題2】
風すごく吹き出でたる夕暮れに、前栽見給ふとて、脇息に寄りゐ給へるを、院(源氏が)渡りて見奉り給ひて、
「今日は、いとよく起きゐ給ふめるは。この御前にては、こよなく御心もはればれしげなめりかし。」
と聞こえ給ふ。
かばかりの隙あるをもいとうれしと思ひきこえ給へる御気色を見給ふも、心苦しく、つひにいかに思し騒がむと思ふに、あはれなれば、
Aおくと見るほどぞはかなきともすれば 風に乱るる萩の上露
げにぞ、折れかへりとまるべうもあらぬ、よそへられたる、折さへ忍びがたきを、見出し給ひても、
Bややもせば消えあらそふ露の世に 後れ先だつほど経たずもがな
とて、御涙を払ひあへ給はず。宮、
C秋風にしばしとまらぬ露の世を たれか草葉の上とのみ見む
と聞こえ交はし給ふ御容貌どもあらまほしく、見るかひあるけにつけても、かくて千年を過ぐすわざもがな、と思さるれど、心にかなはぬことなれば、かけとめむ方なきぞ悲しかりける。
「今は渡らせ給ひね。乱り心地いと苦しくなり侍りぬ。言ふかひなくなりにけるほどと言ひながら、いとなめげに侍りや。」
とて、(1)御几帳引き寄せて臥し給へるさまの、常よりもいと頼もしげなく見え給へば、
「いかに思さるるにか。」
とて、宮は御手をとらへ奉りて泣く泣く見奉り給ふに、まことに消えゆく露の心地して限りに見え給へば、(2)御誦経の使ひども数も知らずたち騒ぎたり。
先々もかくて生き出で給ふ折にならひ給ひて、御物の怪と疑ひ給ひて夜一夜さまざまのことをし尽くさせ給へど、かひもなく、明け果つるほどに消え果て給ひぬ。(源氏物語)
【問1】次の文の空欄中に、下の語の中から、適切なものを選んで入れよ。符号で答えよ。
a にかばかりの隙あるをも、いと嬉しと、思い聞こえ給へるb の御気色を、見給うも、c は心苦しく、つひにd をいかにe はおぼし騒がむと思ふに、あはれなれば、
イ 源氏 ロ 紫の上 ハ 我が死 二 病
【問2】A B Cの和歌を、それぞれの作者を明らかにしつつ、現代語訳せよ。
【問3】紫の上は、なぜ(1)御几帳引き寄せなさったのだろうか。その理由を説明せよ。
【問4】(2)御誦経の使ひどもとは、何か。具体的に説明せよ。
【日本語訳】
風がもの寂しく吹き出した夕暮れに、(紫の上が)庭先の植え込みをご覧になるということで、脇息に寄りかかって座っていらっしゃるのを、院(=光源氏)がおいでになって、見なさって
「今日は、本当によく起きて座っていらっしゃるようですね。この中宮の御前では、この上なくご気分も晴れ晴れなさるようですね。」
と申しあげなさる。
このくらいの小康状態があるのもたいそううれしいとお思い申しあげていらっしゃる(光源氏の)ご様子を(紫の上は)ご覧になるのもおつらく、最期の時(=自分が死ぬことになった時)は(光源氏が)どんなにか心配して騒ぎ立てなさるだろうと思うと、しみじみと悲しいので、
こうして起きていると見えますのも、あと僅かな間のことで、ややもすれば吹く風に乱れ散る萩の上露のようなはかない私の命でございます。
本当に、(萩の葉は吹く風に)折れかえり萩の葉に留まっていられそうもない(露に)、(紫の上の命が)たとえられている、折までも耐えがたいものと、(庭先を)ご覧になさるにつけても、
どうかすると先を争うように消えていく露、その露のようなはかない世なら、(せめて)後れ残ったり先立ったりすることなく一緒に死にたいものです。
と言って、(光源氏は)涙を払いきれないでいらっしゃる。中宮は、
秋風にしばらくもとまらず散ってしまう露のようなこの世の命を、誰が草葉の上のこととだけ思いましょうか。(わが身もおなじことでございます)。
と歌を詠み交わしなさる(紫の上と中宮の)お顔だちなど理想的で、見る価値があるにつけても、このままで千年も過ごすすべがあったらなぁ、と(光源氏は)お思いになられるけれど、思うとおりにならないことなので、(命を)引きとめる方法がないことが悲しいのだった。
(紫の上は中宮に)「もう(あちらへ)お行きください。気分がたいへん悪くなってきました。どうにもならなくなってしまった様子とは言いながらも、(中宮の前で横になるのは)たいそう失礼でございますよ。」
と言って、御几帳を引き寄せて横になられる様子が、普段よりとても頼りなくお見えになるので、
「どんな様子でいらっしゃいますか。」
とおっしゃって、中宮は(紫の上の)お手をお取り申しあげて泣きながら拝見なさると、本当に消えゆく露のような感じで臨終にお見えになるので、病気平癒、延命の加持祈禱を僧侶に頼むため、寺々へ送る使者が大勢大騒ぎをしている。
以前もこのようにして(臨終と見えながら)息を吹き返しなさった場合におならいなさって、物の怪(のしわざ)と疑いなさって一晩中さまざまなことを全てさせなさったが、そのかいもなく、夜が明けきる頃には息が絶えなさった。
【解答例】
【問1】
a 二 b イ c ロ d ハ e イ
【問2】A B Cの和歌を、それぞれの作者を明らかにしつつ、現代語訳せよ。
A (紫の上)私が起きていると見る間も、あてにはなりません。ともすれば、風に散る萩の花の上の露のように無常の風に散る私の命ですよ。
B (源氏)どうかすると先を争うように消えていく露、その露のようなはかない世なら、(せめて)後れ残ったり先立ったりすることなく一緒に死にたいものです。
C (中宮)秋風にしばらくもとまらず散ってしまう露のようなこの世の命を、誰が草葉の上のこととだけ思いましょうか。(わが身もおなじことでございます)。
【問3】容体が急に悪くなって横になった様子を明石中宮に見せるのは無礼であり、たしなみもないから。
【問4】あちこちのお寺に病気恢復ご祈祷をしてもらう僧を迎えに行く使いの者
- 古語辞典や詳細な古文単語集を見ると、良いものでも一つの例文から説明していますが、本当は、このぐらいの文章から、きっちりと古文単語の意味を覚えていくのが良いのです。
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章で、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べながら、例文などを追加しても良いです。
- 古文初学者をも対象に解説していきますので、下記は多少多くなりますが、もう勉強が進んでいる方は、わかる単語は飛ばしてください。分からない単語や文法だけを、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。
- 古語辞典を脇に置いて、チェックしながら書き加えていきましょう。
- 古文の力を早急につけたい人、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)の作り方がよくわからない人、は、是非特訓を受けに来てください。
【解説】
風すごく吹き出でたる夕暮れに、前栽見給ふとて、
すごく=ク活用の形容詞「すごし」の連用形。もの寂しい、おそろしい。恐ろしいぐらい
たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形
前栽(せんざい)=名詞、庭の植え込み
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の終止形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
風がもの寂しく吹き出した夕暮れに、(紫の上が)庭の植え込みを御覧になろうとして、
脇息に寄りゐ給へるを、院渡りて見奉り給ひて、
脇息(きょうそく)=名詞、ひじ掛け
寄りゐ=ワ行上一段動詞「寄り居る」の連用形
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形
給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
脇息(=ひじ掛け)に寄りかかっていらっしゃるのを、院(=光源氏)がお渡りになって(紫の上の様子を)見なさって、
「今日は、いとよく起きゐ給ふめるは。
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の終止形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。院(=光源氏)からの敬意。
める=婉曲の助動詞「めり」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。婉曲とは遠回しな表現。「~のような」と言った感じで訳す。
は=強調の係助詞
(院(=光源氏)は、)「今日は、たいそうよく起きていらっしゃるようだね。
この御前にては、こよなく御心もはればれしげなめりかし。」と聞こえ給ふ。
こよなく=ク活用の形容詞「こよなし」の連用形、(優劣にかかわらず)違いがはなはだしいこと、格別だ。この上なく。
はればれしげな=ナリ活用の形容動詞「晴れ晴れしげなり」の連体形が音便化して無表記化されたもの。「~なるめり」→「~なんめり(音便化)」→「~なめり(無表記化)」。
めり=推定の助動詞「めり」の終止形、接続は終止形(ラ変は連体形)。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。
かし=念押しの終助詞
聞こえ=ヤ行下二段動詞「聞こゆ」の連用形、「言ふ」の謙譲語。動作の対象である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の終止形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
この中宮(=明石の姫君)の御前では、この上なくご気分も晴れ晴れなさるようだね。」と申し上げなさる。
かばかりの隙あるをも、いとうれしと思ひ聞こえ給へる御気色を見給ふも、心苦しく、
かばかり=副詞、これだけ、これほど、このくらい
隙・暇(ひま)=名詞、すきま、油断。物と物との間。余暇。ここでは病気の合い間にある小康状態(=少し回復して落ち着いた状態)を指している。
聞こえ=補助動詞ヤ行下二「聞こゆ」の連用形、謙譲語。動作の対象である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形
気色(けしき)=名詞、様子、状態。ありさま、態度、そぶり。
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の終止形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
この程度の小康状態(=病気の合い間の少し回復して落ち着いた状態)があるのをも、たいそう嬉しいと思い申し上げていらっしゃる(光源氏の)ご様子を(紫の上は)御覧になるのも、心苦しく、
「つひにいかに思し騒がむ。」と思ふに、あはれなれば、
つひ=名詞、終わり、最後。最期、臨終。
いかに=副詞、どんなに、どう。「いかに」の中には係助詞「か」が含まれていて係り結びが起こる。
思し騒が=サ行四段動詞「思し騒ぐ(おぼしさわぐ)」の未然形、「思ひ騒ぐ」の尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。紫の上からの敬意。
む=推量の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。推量・意志・勧誘・仮定・婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「推量・意志・勧誘」のどれかである。この場合は,推量。
あはれなれ=ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の已然形。「あはれ」はもともと感動したときに口に出す感動詞であり、心が動かされるという意味を持つ。しみじみと思う、しみじみとした趣があると訳す。
ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。
(紫の上は、)「(私の命の)最期の時には、(光源氏は)どんなにお嘆き騒ぎになるだろう。」と思うと、しみじみと悲しいので、
おくと見るほどぞはかなき ともすれば 風に乱るる萩の上露
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
はかなき=ク活用の形容詞「はかなし」の連体形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。頼りない、むなしい。取るに足りない、つまらない。ちょっとした。
ともすれば=副詞、どうかすると、ややもすると。
乱るる=ラ行下二段動詞「乱る」の連体形
起きていると見える間もわずかな時間のことです。(葉の上に置いたと見るや)どうかすると風に吹き乱れ(飛ばされ)る萩の上露のような(はかない私の)命です。
げにぞ、折れかへりとまるべうもあらぬ、
げに(実に)=副詞、なるほど、実に、まことに。本当に。
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
べう=可能の助動詞「べし」の連用形が音便化したもの、接続は終止形(ラ変なら連体形)。「べし」は、推量、意志、可能、当然、命令、適当の六つの意味がある。
あら=ラ変動詞「あり」の未然形
ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形
本当に、風に折れ返り葉にとどまっていられそうもない(露に紫の上自身の命が)、
よそへられたる折さへ忍びがたきを、見出だし給ひても、
よそへ=ハ行下二段動詞「寄そふ・比そふ(よそふ)」の未然形、なぞらえる、比べる。関係づける、かこつける。
られ=受身の助動詞「らる」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。
たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形
折(おり)=名詞、時、場合、機会、季節
さへ=副助詞、添加(~までも)。類推(~さえ)。
忍びがたき=ク活用の形容詞「忍び難し(しのびがたし)」の連体形、我慢できそうもない、耐え難い
忍ぶ(しのぶ=バ行四段動詞、人目を忍ぶ、目立たない姿になる。我慢する、こらえる。
給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
たとえられているのまでも(悲しくて)耐えられそうにないので、(光源氏は庭先を)ご覧になって、
ややもせば消えをあらそふ露の世に 後れ先だつほど経ずもがな
ややもせば=副詞、どうかすると、ともすると
経(へ)=ハ行下二段動詞「経(ふ)」の未然形
ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形
もがな=願望の終助詞、「~があればなあ、~であってほしいものだ」
どうかすると、先に消えるのを争う露のようにはかない人の世に、後れて先立つ間もないようにしたいものだ。
とて、御涙を払ひあへ給はず。宮、
払ひあへ=ハ行下二段動詞「払ひ敢ふ」の連用形、十分に払う、払いきる
敢ふ(あふ)=補助動詞ハ行下二、完全に~しきる、十分に~する、最後まで~する
給は=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の未然形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形
と言って、お涙を拭いきれなさらない。中宮は、
秋風にしばしとまらぬ露の世をたれか草葉の上とのみ見む
ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形
たれ=代名詞、誰
か=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
む=推量の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。推量・意志・勧誘・仮定・婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると推量・意志・勧誘のどれかである。
秋風にしばらくもとどまらない露のようなこの世を、誰が草葉の上のこととだけ思うだろうか。
と聞こえ交はし給ふ 御容貌ども、あらまほしく、見るかひあるにつけても、
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である紫の上と中宮(=明石の姫君)を敬っている。作者からの敬意。
容貌(かたち)=名詞、名詞、姿、容貌、外形、顔つき
あらまほしく=シク活用の形容詞「あらまほし」の連用形、そうありたい、望ましい。理想的である、申し分ない。
かひ(甲斐・効)=名詞、効果、効き目。
と詠み交わしなさる(紫の上と中宮の)お姿などは、理想的で、見る価値があるにつけても、
かくて千年を過ぐすわざもがなと思さるれど、
かくて=副詞、このようにして、こうして
過ぐす=サ行四段動詞「過ぐす」の連体形
わざ=名詞、こと、事の次第。おこなひ、動作、しわざ、仕事。仏事、法事、法会
もがな=願望の終助詞、「~があればなあ、~であってほしいものだ」
こうして千年を過ごす方法があればなあと(光源氏は)お思いにならずにはいられないけれど、
心にかなはぬことなれば、
かなは=ハ行四段動詞「叶ふ・適ふ(かなふ)」の未然形。思い通りになる。
ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形
なれ=断定の助動詞「なり」の已然形、接続は体言・連体形
ば=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。
思い通りにならないことであるので、
かけとめむ方なきぞ悲しかりける。
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
悲しかり=シク活用の形容詞「悲し」の連用形
ける=詠嘆の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。
(紫の上の命を)引きとめる方法がないことが悲しいのだった。
「今は渡らせ給ひね。乱り心地いと苦しくなり侍りぬ。
ね=強意の助動詞「ぬ」の命令形、接続は連用形。
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形
(紫の上は、)「もうお帰りください。(病気のせいで)気分がたいそう苦しくなってきました。
言ふかひなくなりにけるほどと言ひながら、
言ふかひなく=ク活用の形容詞「言ふかひなし」の連用形、(幼く)わきまえがない、聞き分けがない。言っても仕方がない、言っても何にもならない、どうしようもない。
どうしようもなくなってしまったほどの状態とは言うものの、
いとなめげに 侍りや。」とて、
なめげに=ナリ活用の形容動詞「無礼げなり(なめげなり)」の連用形、無礼だ、失礼だ。
(皆の前で横になるのは、)大変失礼でございますよ。」と言って、
御几帳引き寄せて臥し給へるさまの、常よりもいと頼もしげなく見え給へば、
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
御几帳を引き寄せて横になられている様子が、いつもよりとても頼りなさそうにお見えなので、
「いかに思さるるにか。」とて、
いかに=副詞、どんなに、どう。「いかに」の中には係助詞「か」が含まれていて係り結びが起こる。
思さ=サ行四段動詞「思す(おぼす)」の未然形、「思ふ」の尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。中宮(=明石の姫君)からの敬意。
「お体の具合はどうでございますか。」とおっしゃって、
宮は、御手をとらへ奉りて、泣く泣く見奉り給ふに、
奉り=補助動詞ラ行四段「奉る(たてまつる)」の連用形、謙譲語。動作の対象である紫の上を敬っている。作者からの敬意。もう一つの「奉り」も同じ。
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である中宮(=明石の姫君)を敬っている。作者からの敬意。
中宮は、(紫の上の)お手をお取りして、泣きながら拝見なさると、
まことに消えゆく露の心地して限りに見え給へば、(2)御誦経の使ひども数も知らずたち騒ぎたり。
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
ば=接続助詞、直前が已然形であり、原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。
ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形。
本当に消えゆく露のような感じがして、命の終わりのように見えなさるので、御誦経の使者たちが、大勢立ち騷いでいる。
先々もかくて生き出で給ふ折にならひ給ひて、
かくて=副詞、このようにして、こうして
給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
折(おり)=名詞、時、場合、機会、季節
給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
以前も(物の怪のしわざで死ぬ間際に)、このようにして生き返りなさった時に(光源氏は)ならいなさって、
御物の怪と疑ひ給ひて夜一夜さまざまのことをし尽くさせ給へど、
給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
夜一夜(よひとよ)=名詞、一晩中。対義語「日一日(ひひとひ)」。副詞ではあるが「夜(よ)もすがら」=「一晩中」というのもある。「夜もすがら」⇔「日もすがら」
し尽くさ=サ行四段動詞「し尽くす(しつくす)」の未然形
せ=使役の助動詞「す」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」は直後に尊敬語がくると「尊敬」の意味になることが多いが、今回のように「使役」の意味になることもある。
給へ=補助動詞四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である院(=光源氏)を敬っている。作者からの敬意。
ど=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。
御物の怪のしわざかと疑いなさって、一晩中さまざまなこと(=加持祈祷など)をさせ尽くしなさったけれど、
かひもなく、明け果つるほどに消え果て給ひぬ。
かひ(甲斐・効)=名詞、効果、効き目。
なく=ク活用の形容詞「無し」の連用形
給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形
そのかいもなく、夜が明けきる頃にお亡くなりになった。
古文 逆転の勉強法 実践編 3
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題3】は、パー5の比較的やさしい3番ホールです。この問題は、16点は欲しいです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。)
【問題3】
延喜の御時に古今抄せられしをり、貫之は(1)さらなり、忠岑や躬恒などは、御書所に召されて候ひけるほどに、四月二日なりしかば、まだ忍び音のころにて、いみじく(2)けうじおはします。貫之召し出でて、歌仕うまつらしめ給へり。
(3)
それをだに(4)けやけきことに思し給へしに、同じ御時、お遊びありし夜、御前の御橋のもとに躬恒を召して、「月を弓張といふ心は何の心ぞ。これがよし (5)つかうまつれ。」と仰せ言ありしかば、
照る月を弓張としもいふことは山辺をさしていればなりけり
と申したるを、いみじう感ぜさせ給ひて、大うちぎ賜ひて、肩にうち掛くるままに、
白雲のこのかたに(6)しもおりゐるは天つ風こそ吹きてきぬらしいみじかり(7)しものかな。
(8)さばかりの者に、近う召し寄せて(9)勅禄たまはすべきことならねど、そしり申す人のなきも、君の重くおはしまし、また躬恒が和歌の道に許されたるとこそ、思い給えしか。(大鏡)
【現代語訳】
醍醐天皇の御代に、古今集をお選びになった時、貫之はもちろんのこと、忠岑や躬恒などは、御書所に召されて(そこに)詰めていましたころ、(お庭でほととぎすが鳴きましたが、その日は)四月の二日でしたので、まだ忍び音に鳴くころで、(帝は)非常に興をお催しになっていらっしゃいました。(そこで)貫之をお呼び出しになって、歌をお詠ませになりました。(その歌は、)
こと夏は・・・これまでの夏には、どのように鳴いたのであろうか、ほととぎすよ。(はっきり覚えてはいないが、とにかく)今夜ほど、あやしいまでに心をひかれたことはない。
そのことをさえ異例なことであると存じておりましたところ、同じ御代に、管絃の御遊びのありました夜、(帝の)御前の御階段の下に、躬恒をお召しになって、「月を弓張りというのはどういう意味か。そのわけを歌に詠め。」と仰せがありましたので、
照る月を・・・空に照る月を弓張と申しますのは、(それが)山辺をさして入る(射る)からであります。と申しあげたのを、(帝は)たいそうおほめになって、(ほうびとして)大袿を御下賜になりましたが、(躬恒は、それを)肩にかけるとすぐに(次のやうに詠みました、)
白雲の・・・白雲がこちらの方に下りたなびいているのは、空から吹きおろす風が吹きつけて来たものらしゅうございます。白い大袿が、私の肩にかかっておりますのはありがたい帝のおめぐみによるものであります。]実にすばらしいことでしたよ。
躬恒ほどの低い身分の者を、お側近くお呼び寄せになって、御ほうびをおくだしになるなどということはなさってはならない事ですが、(その事を、誰も)非難し申しあげる人がいないのも、(一つには)帝が重々しくいらっしゃる(からであり、)また(一つには)躬恒が和歌の道において大家として世人から認められていた(からである)と、存じたことでした。
- なぜ(1)さらなり、なのか。その事情を簡単に説明せよ。
- 文中の(3)には、イ~ホ のうち一首が入る。どれが適当か。記号で示せ。
イ 山高み見つつわがこしさくら花風はこころにまかすべらなり
ロ こと夏はいかがなきけむほととぎすこのよひばかりあやしきぞなき
ハ 袖ひぢてむすびし水のこほれるを春たつけふの風やとくらむ
二 逢うことは雲居はるかになる神の音にききつつ恋ひわたるかな
ホ 初鴈のなきこそ渡れ世の中の人の心のあきしうければ
- 文中の(6)と(7)を文法的に説明せよ。
- 【問2】の下線部を現代語訳せよ。
- (2)けうじとは誰の表情をさしているか。
- (4)けやけきとは、どういう状態を言うか。
- (5)つかうまつれはどういう内容をさすか。
- (8)さばかりの者は誰をさすか。
- (9)勅禄とは、この分では何をさすか。
【解答例】
- 紀貫之は古今和歌集の有力な編者であり歌の実力は公認のものであるから
- ロ
- (6) 副助詞で強意 (7) 回想の助動詞「き」の連体形
- 袖を濡らしてすくった水
- 君
- 賞賛している
- 趣意を説明した歌を天皇に献ずる
- 凡河内 躬恒
- 大うちぎ
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になった個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくていいです。
古文 逆転の勉強法 実践編 4
- それでは、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作る方法を見ていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題4】は、パー4比較的やさしい4番ホールです。この問題は、16点は欲しいです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。)
【問題4】
十八日に、清水へまうづる人に、又しのびてまじりたり。初夜(そや)はててまかづれば、時は子(ね)許(ばかり)なり。(イ)もろともなる人のところにかへりて、ものなどものするほどに、あるものども
「この乾のかたに火なん見ゆるを、いでてみよ」
などいふなれば、(1)「もろこしぞ」
などいふなり。ここちには、なほくるしきわたりなどおもふほどに、
人々「督の殿なりけり」
といふに、いとあさましういみじ。わが家も築土(ついひぢ)許へだてたれば、さわがしう、(ロ)わかき人をもまどはしやしつらん、(2)いかでわたらんとまどふにしも、車のすだれはかけられけるものかは。からうじてのりて来(こ)しほどに、(3)みなはてにけり。
わが方はのこり、(ハ)あなたの人もこなたにつどひたり。ここには大夫ありければ、(二)いかに、土にや走らすらんとおもひつる人も車にのせ、門つようなどものしたりければ、らうがはしきこともなかりけり。あはれ、をのことてようおこなひたりけるよと、見きくもかなし。(蜻蛉日記)
【現代語訳】
18日に、清水寺にお参りする人に、また、ひそかに同行した。初夜の勤行が終わって寺を退出すると、時刻は、真夜中の子(午前0時、あるいは、±2時間)の時頃であった。いっしょに行った人の家に帰って、食事等をしている時に、従者達が「この西北の方角に火事が見えるので、外に出て見よ」などと言うと、「唐土だよ」など言っているようなのが聞こえる。心中では、(遠いといっても)気になる辺りだと思っているうちに、人々が「(火事は)長官殿でした」と言うので、大変びっくりして驚いてしまった。私の家も(その家とは)土塀ぐらいで隔てているだけだから、大騒ぎをして、若い人(道綱や養女)をと惑わせているのではなかろうか、何とか早く帰りたいと、慌てふためいて、車の簾を掛ける間さえなかった。やっと車に乗って帰って来た時には、すっかりおさまっていた。私の家は焼けていず、長官殿の人もこちらに集まって来る。この家は大夫(道綱)がいたおかげで、どうだろうか、裸足で逃げ惑わせているのではと心配していた娘も、車に乗せ、門をしっかり閉じたりなどしていたので、乱暴な騒ぎなどもなかった。ああ、この子も男として、よく取り仕切ってくれたことだよと、様子を見聞きするにつけても、胸が熱くなる。
- 下線(イ)(ロ)(ハ)(二)の人は、それぞれ作者とどういう関係にある人か。
- 下線(a)(b)の「ものす」は、それぞれ、何をすることなのか。
- 下線(1)は、どういう意味で言ったのか、説明せよ。
下線(2)を、わかりやすい口語で解釈せよ。
下線(3)は、どういうことを言っているのか。具体的に言え。
【解答例】
【問1】(イ)作者と一緒に清水参りをした人
(ロ)作者の一子、道綱と養女
(ハ)隣の督の殿の人々
(二)養女
【問2】(a)食べること。
(b) 錠をおろしてかためること。
【問3】(1)火事がずっと遠方だという意味
(2)なんとかして早く家に帰ろうとあわてるので、車のすだれなど をかけられたものであろうか、そんなこと(用意)もできなかった。
(3)隣の家がすっかり焼けてしまった
- 古語辞典や詳細な古文単語集を見ると、最重要単語の一つである「ものす」については、詳細な説明があるのが、通常ですが、今回の勉強で「ものす」のすべての意味を、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に纏めていく必要はありません。例題で問われた部分だけを纏めていけば良いのです。
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章で、わからなかった古文単語について、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 5
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題5】は、パー4の比較的やさしい5番ホールです。この問題は、16点は欲しいです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。パーは、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題5】
「すべて歌の姿は、心得にくきことにこそ、古き(イ)口伝・髄脳などにも、難きことばを、手を取りて教ふるばかりも釈したれど、姿にいたりては、たしかに見えることなし。いはんや、幽玄の体、まづ名を聞くよりまどひぬべし。みづからも心得ぬことなれば、さだかに申すべしとも思えはべらねど、よく(ロ)境に入れる人びとの申されしおもむきは、詮は、ただ、ことばにあらはれぬ余情、姿に見えぬ気色なるべし。(ハ)心にもことわり深く、ことばにも艶きはまりぬれば、ただ徳はおのづから備はるにこそ。たとへば、秋の夕暮の空の景色は、色もなく、声もなし。いづくにいかなる趣あるべしとも思えねど、すずろに涙のこぼるるがごとし。これを、心なき者は、さらにいみじと思はず、ただ眼に見ゆる花・紅葉をぞめではべる。」(無明抄)
【現代語訳】
一般に歌の姿は、理解しにくいことである。昔の秘伝書なんかにも、難しいことを手を取って教えるように説明しているけれど、姿の問題になると、しっかりとした論述がない。まして、幽玄の体ということになると、幽玄という名称を聞いただけで、もう頭がごちゃごちゃしてしまうにちがいない。私自身もよくわからないので、はっきりお話しできそうもありませんけれど、歌の深い境地に到達していられる人たちのおっしゃった要旨は、結局のところ、ただ、ことばの表面にあらわれない余情であり、姿に見えない様子だと言えよう。構想もしっかり行き届き、ことばにも優雅な美しさが完成すると、おのずから幽玄というすぐれた性質が生まれてくるのである。たとえば、秋の夕暮れの空の模様は、色もなく声もない。どこにどういうわけがあるだろうとも思われないのだが、何ということなしに深く感動させられるようなものである。こういう味わいを低級な連中はいっこうすばらしいとは思わず、ただ花や紅葉の目に見える美に感じ入っています。
- 上記は、鴨長明「無名抄」のある条の一部であるが、何について説明したものか。簡潔に答えよ。
- また、それは、どういうものであると筆者は言っているか、最も適当な部分を文中より抜き出して記せ。
- 上記の文章には、文法上から見て、省略されている語が二つある。その部分の四字を記し、かつ省略語を適宣補え。
- 下線(イ)とは、和歌についての、奥義、秘伝、法則等を書き記したものである。その代表的なものを一つあげよ。
- (ロ)とは、どういう人か。
- (ハ)を解釈するために、どうしても使わなくてはならない語(名詞)がある。それは(ハ)の中には記されていないが、いかなる語か。助詞の部分もあわせて記せ。(2~3字)
- (ハ)の中に徳とあるが、何のことか。
- 上記の文章内容にもっとも関連の深い歌人を一人あげよ。
【解答例】
- 和歌における幽玄体の説明
- ことばにあらはれぬ余情、姿に見えぬ気色なるべし。
- 事にこそ→あれ(侍れ) るにこそ→あれ(侍れ)
- 後鳥羽院口伝(新鮮髄脳、俊頼髄脳)
- 修業を積み、歌の深い境地に入った人
- (和)歌の
- 幽玄の性格
- 藤原俊成
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になった個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくていいです。
古文 逆転の勉強法 実践編 6
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題6】は、パー3ですが、難しい6番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。)
【問題6】
「 心には、そこぞと苦しきこともなければ、たちまちにかうも思ひたまへざりしほどに、月日も経で弱りはべりにければ、今は(1)うつし心も(イ)失せたるやうに(ロ)なむ。
惜しげなき身を、さまざまにひき留めらるる祈り、願などの力にや、さすがに(2)かかづらふも、(3)なかなか苦しうはべれば、心もてなむ、急ぎ立つ心地しはべる。
(4)さるは、この世の別れ、避りがたきことは、いと多く、大方の嘆きをば、さるものにて、(5)また心の内に思ひたまへ乱るることのはべるを、かかる今はのきざみにて、 何かはもらすべきと思ひはべれど、なほしのびがたきことを、誰にかは(ハ)うれへ侍らむ。
六条の院にいささかなる、事のたがひめありて、月ごろ、心の内にかしこまり申すこと(ニ)なむはべりしを、いと世の中心細う思ひなりて、病づきぬと(ホ)おぼえはべしに、召しありて、参りしに、なほ許されぬ御心ばへあるを(6)見たてまつりはべりて、いとど世にながらへむことも憚り多うおぼえなりはべりて、 あぢきなう思ひたまへしに、心の騷ぎそめて、かく静まらずなり侍りぬるになむ。
これなむ、この世の憂へにて残り侍りければ、後の世の妨げにもやと思ひたまふるを、ことのついで侍らば、御耳とどめて、よろしう明らめ申させたまへ。」など宣ふ。(源氏物語)
- 柏木は夕霧に何を語ろうとしたのか。その要旨を八十字以内で記せ。
- 下線(1)~(6)を現代語訳せよ。
- 下線(ロ)(ニ)の「なむ」の結びについて、くわしく説明せよ。
- 下線(イ)の語の連体形を、(ハ)の已然形を、(ホ)の終止形を、それぞれ示せ。
【現代語訳】
「わたし自身には、どこといって苦しいこともありませんで、急にこのようになろうとは思ってもおりませんでしたうちに、月日を経ずに衰弱してしまいましたので、今では正気も失せたような有様で。
惜しくもない身を、いろいろとこの世に引き止められる祈祷や、願などの力でしょうか、そうはいっても生き永らえるのも、かえって苦しいものですから、自分から進んで、早く死出の道へ旅立ちたく思っています。
そうは言うものの、この世の別れに、捨て難いことが数多くあります。なおさら大したこともない恨みを残すような世間一般の嘆きは、それはそれとして。
また、心中に思い悩んでおりますことがございますが、このような臨終の時になって、どうして口に出そうかと思っておりましたが、やはり堪えきれないことを、あなたの他に誰に訴えられましょう。
六条院にちょっとした不都合なことがありまして、ここ幾月、心中密かに恐縮申していることがございましたが、まことに不本意なことで、世の中に生きて行くのも心細くなって、病気になったと思われたのですが、お招きがあって、院に参上して、ご機嫌を伺いましたところ、やはりお許しなさらないお気持ちの様子を拝見しまして、ますますこの世に生き永らえることも憚り多く思われまして、どうにもならなく存じられましたが、魂がうろうろ離れ出しまして、このように鎮まらなくなってしまいました。
このことが、この世の恨みとして残りましょうから、きっと来世への往生の妨げになろうかと存じますので、何かの機会がございましたら、お耳に止めて下さって、よろしく申し開きなさって下さい。
- せっかくですから、今回の例題で勉強した文章で、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になった個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくていいです。現代語訳は、なるべく丁寧に減点されないよう完全に覚えましょう。
(16点以上がパーで、合格です。パーは、3点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【解答例】
- 私は源氏に対する不始末を内心わびているが許されない。このまま世を去れば、これが往生の妨げになるので、折をみてぜひとりなしてほしいということ。
- (1)正気(2)死なずにいること。生きながらえていること。(3)かえって(4)そのくせ(5)その上、心のうちに思い乱れます事がございますが、それを(6)拝見いたしまして、見申し上げまして、
- (ロ)思ひ給へ侍る、おぼえ侍るの結びの省略 (ニ)係助詞「なん」を受けた結びは、接続助詞「を」に続いたため流れた。
- (イ)失する(ハ)うれふれ(ホ)おぼゆ
古文 逆転の勉強法 実践編 7
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 私は、ゴルフが好きですが、古文の勉強をゴルフの18ホールに例えて、ゴルフの各ホールと同じように各問題のいろんな景色を堪能しながら、ゴルフのラウンドするような感覚で、勉強を進めていくとちょっと挑戦的で古文に親しみやすく楽しみやすいかと思います。
- 【問題7】は、パー4で多少難易度の高い難しい7番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パーは、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題7】
大納言殿参りたまひて、(イ)文のことなど奏したまふに、例の、夜いたく更けぬれば、御前なる人々、(ロ)一二人づつ失せて、御屏風・御几帳の後ろなどに、皆隠れ臥しぬれば、ただ一人になりて、眠たきを念じて候ふに、(ハ)「丑四つ。」と奏すなり。(1)「明けはべりぬなり。」と独りごつを、大納言殿、「いまさらにな大殿籠りおはしましそ。」とて、(ニ)寝べきものとも思いたら(a)ぬを、(2)うたて、何しにさ申しつらむと思へども、また人のあらばこそは紛れもせめ。上の御前の、柱に寄りかからせたまひて、少し眠らせたまふを、「かれ、見たてまつらせたまへ。今は明けぬるに、かう大殿籠るべきかは。」と申させたまへば、「げに。」など、宮の御前にも笑ひきこえさせたまふも(3)知らせたまはぬほどに、長女が童の、鶏を捕らへ持て来て、「朝に里へ持て行かむ。」と言ひて隠しおきたりけるが、いかがしけむ、犬見つけて追ひければ、廊の間木に逃げ入りて、恐ろしう鳴きののしるに、皆人起きなどし(b)ぬなり。上もうち(ホ)おどろかせたまひて、「いかでありつる鶏ぞ。」など尋ねさせたまふに、大納言殿の、「声明王の眠りをおどろかす。」といふ言を、高ううち出たしたまへる、(4)めでたうをかしきに、ただ人の眠たかりつる目もいと大きになり(c)ぬ。「いみじき折のことかな。」と、上も宮も興ぜさせたまふ。なほ、かかることこそめでたけれ。(枕草子)
【現代語訳】
大納言殿(伊周)が参上なさって、漢詩文ことなどを帝に申し上げなさるうちに、いつものように、夜がたいそう更けてしまったので、御前に控える女房たちが、一人二人といなくなって、御扉風や御几帳の後ろなどに、みんな隠れて寝てしまったので、私はたった一人、眠たいのを我慢してお仕えしていると、「丑四つ。」と、時刻を帝に申し上げるのが聞こえる。「夜があけてしまったようです。」と独り言を言うと、大納言殿が、私に「いまさらお休みなさいますな。」と言って、私を当然寝るものとお思いになっていないので、嫌だわ、私はどうしてそのように申し上げたのだろうかと思うけれども、別の女房がいるならばそれに紛れて寝てしまおう、しかし起きているのが私一人なのでそれもできない。帝が、柱に寄りかかりなさって、少しお眠りになっているのを、「あれを、拝見なさいませ。今はもう、夜が明けてしまうのに、このようにお休みになってよいのでしょうか。」と大納言殿が中宮様に申し上げなさると、「本当に。」などと、中宮様もお笑い申し上げなさるのも、帝はお分かりにならないでいるうちに、長女が使う童女が、鶏を捕まえて持って来て、「明日の朝に実家へ持って行こう。」と言って隠して置いたのを、どうしたのだろうか、犬が見つけて追いかけたので、廊の長押の上の棚に逃げ込んで、恐ろしく鳴き騒ぐので、寝ていたほかの女房たちが起きなどしてしまったようだ。帝もお目覚めになって、「どうして鶏がいたのか。」などとお尋ねになると、大納言殿が、「声明王の眠りを覚まさせる。」という漢詩を、大きな声で吟唱なさったのが、すばらしく趣深いので、わたしのような普通の人の眠たかった目もたいそう大きくなった。「すばらしく状況に適った言葉だなあ。」と、帝も中宮様もおもしろがりなさる。やはり、このようなことはすばらしい。
【問1】(イ)(ハ)(ホ)の語の意味を、ここで使われている意味で記せ。
【問2】(ロ)(ニ)の語の読み方を記せ。
【問3】(1)を口語訳せよ。
【問4】(2)で、そのように思ったのはどうしてなのかについて説明せよ。
【問5】(3)の部分の主語を記せ。
【問6】(4)のように感じ入った根拠として根拠として考えられるものは何か。文中の叙述を抜き出して示せ。
【問7】(a)(b)(c)の「ぬ」を文法的に説明せよ。
【解答例】
【問1】(イ)学問(漢詩漢文)(ハ)午前二時半から三時の間(ホ)はっと目をさます
【問2】(ロ)ひとりふたり(ニ)ぬ
【問3】(1)夜があけてしまったようです
【問4】(2)「夜があけてしまったようです」という何の気なしに言った言葉で、天皇の眠くてたまらないお立場を、いよいよ不利にしてしまったから。
【問5】(3)上の御前(天皇)
【問6】(4)いみじき折のことかな
【問7】(a)打消しの助動詞「ず」の連体形
(b) 完了の助動詞「ぬ」の終止形
(c) 完了の助動詞「ぬ」の終止形
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になった個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 8
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題8】は、パー5で難易度の高い難しい8番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。ここで16点以上獲得できればたいしたものです。(16点以上がパーで、合格です。パーは、5点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題8】
(1)いと暑き日、東の釣殿に出でたまひて涼みたまふ。 中将の君もさぶらひたまふ。親しき殿上人あまたさぶらひて、 西川よりたてまつれる鮎、 近き川のいしぶしやうのもの、御前にて調じて(2)まゐらす。
例の大殿の君達、中将の御あたり尋ねて(3)まゐりたまへり。「 さうざうしくねぶたかりつる、折よくものしたまへるかな」とて、大御酒(4)まゐり、(5)氷水召して、水飯など、とりどりにさうどきつつ食ふ。
風はいとよく吹けども、日のどかに曇りなき空の、西日になるほど、 蝉の声などもいと苦しげに聞こゆれば、
「 水の上無徳なる今日の暑かはしさかな。無礼の罪は許されなむや」
とて、寄り臥したまへり。
「 (6)いとかかるころは、遊びなどもすさまじく、さすがに、暮らしがたきこそくるしけれ。宮仕へする若き人びと 堪へがたからむな。帯も解かぬほどよ。(7)ここにてだに、うち乱れ、このころ世にあらむことの、すこし珍しく、ねぶたさ覚めぬべからむ、語りて聞かせたまへ。(8)なにとなく、翁びたる心地して、世間のこともおぼつかなしや」
などのたまへど、珍しきこととて、うち出で聞こえむ物語もおぼえねば、かしこまりたるやうにて、皆いと涼しき高欄に、背中押しつつさぶらひたまふ。
(源氏物語)
【現代語訳】
たいそう暑い日、東の釣殿にお出になって涼みなさる。中将の君も伺候していらっしゃる。親しい殿上人も大勢伺候して、西川から献上した鮎、近い川のいしぶしのような魚、御前で調理して差し上げる。
いつもの大殿の公達、中将のおいでになる所を尋ねて参上なさった。
「物足りなく眠たかったところだが、ちょうどよい時にいらっしゃったな」
とおっしゃって、御酒を召し上がり、氷水をお取り寄せになって、水飯などを、それぞれにぎやかに召し上がる。
風はたいそう気持ちよく吹くが、日は長くて曇りない空が、西日になるころ、蝉の声などもたいそう苦しそうに聞こえるので、
「水のほとりも役に立たない今日の暑さだね。失礼は許していただけようか」
とおっしゃって、物に寄りかかって横におなりになった。
「とてもこんな暑い時は、管弦の遊びなどもおもしろくなく、とはいえ、何もしないのもつらいことだ。宮仕えしている若い人々にはつらいことだろうよ。帯も解かないではね。せめてここではくつろいで、最近世間に起こったことで、少し珍しく、眠気の覚めるようなことを、話してお聞かせください。何となく年寄じみた心地がして、世間のことも疎くなったのでね」
などとおっしゃるが、珍しい事と言って、ちょっと申し上げるような話も思いつかないので、恐縮しているようで、皆たいそう涼しい高欄に、背中を寄り掛けながら座っていらっしゃる。
【問1】(1)に省略されている主語を補え。
【問2】(2)(3)(4)の「まゐる」について、文法的に説明し、且つそこで使われている意味を言え。
【問3】(5)の「召し」と同じ意味に用いられているものを、次の中から選び、記号で答えよ。
(イ)召せば、御こたへして起きたれば、
いもがしらをともしからず(ロ)召しけるほどに、
院、笛をきこしめさんとて(ハ)召したりければ、
もろこしの判官に(二)召されて侍りける。
【問4】(6)について、
- 「いと」は、どの語にかかるか。
- 「遊び」は、どのような遊びか。
- 「さすがに」の意味を具体的にわかるように解釈せよ。
【問5】(7)の意味を具体的にわかるように解釈せよ。。
【問6】(8)の世間のこととはどのようなことか。本文中の句を抜き出して示せ。(過不足なく示せ。)
【問7】(8)といったのは、どんな心境からか。六十字以内で書け。(全文から判断せよ。)
【解答例】
【問1】(1)源氏
【問2】(2)サ行下二段(他動詞・補助)謙譲語 さしあげる・お勧めする
(3)ラ行四段(自動詞・補助)謙譲語 参上し
(4)ラ行四段(他動詞・本動)尊敬語 召し上がり
【問3】(ハ)
【問4】(6)について、
- くるしけれ
- 管弦の遊び・音楽の催し
- 管弦の遊びなど興ざめであってといっても一日中何もしないではやはり
【問5】(7)せめて内裏でない、ここ六条院だけでも
【問6】(8)「このころ世にあらむことの、すこし珍しく、ねぶたさ覚めぬべからむ」こと。
【問7】(8)やりきれない暑さ、その上何もしない単調な退屈さから老人のような口のきき方をし若者たちに気楽に世間話をさせようとする気持ちから。
- 今回の例題で勉強した文章でも、わからなかった語句については、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になった個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 9
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題9】は、パー4で難易度の高い難しい9番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。ここで16点以上獲得できればたいしたものです。(16点以上がパーで、合格です。パーは、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
- 9番ホールまで、やってみていかがでしたか。パーペース(16点以上平均)であれば、問題ありません。ボギーペース(12点以上平均)なら、伸びしろありです。ダブルボギーペース(10点以上平均)の場合、高校の教科書を即刻もう一度復習しましょう。
【問題9】
(1)かんだちめ、うへ人なども、あいなく目を側めつつ、「いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれ」と、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、楊貴妃の例も引き出でつべくなりゆくに、いと(2)はしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひたまふ。
父の大納言は亡くなりて、母北の方(3)なむいにしへの人のよしあるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方がたにもいたう劣らず、なにごとの儀式をももてなし給ひけれど、とりたててはかばかしき後見しなければ、事ある時は、なほ拠り所なく心細げなり。
先の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ。(4)いつしかと心もとながらせたまひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなる稚児の御容貌なり。
一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、A 重く、疑ひなきB の君と、世にもてかしづききこゆれど、この御(5)にほひには並びたまふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をば、(6)わたくしものに思ほしかしづきたまふこと限りなし。母君、初めより(7)おしなべてのうへ宮仕へしたまふべききはにはあらざりき。(源氏物語)
【現代語訳】
上達部や殿上人なども、不愉快に目をそらしつつ、「とても眩しいほどの御寵愛である。唐の国でも、このようなことが原因となって、国も乱れ、具合が悪くなったのだ」と、しだいに国中でも困ったことの、人々の悩みの種となって、楊貴妃の例までも引き合いに出されそうになってゆくので、たいそういたたまれない事が数多くなっていくが、もったいない御愛情の比類のないのを頼みとして、宮仕えをしていらっしゃる。
(桐壺更衣の)父親の大納言は亡くなって、母親の北の方が古い家柄の教養ある人なので、両親とも揃っていて、今現在の世間の評判が盛んな方々にもひけをとらず、どのような事柄の儀式にも対処していたが、これといったしっかりとした後見人がいないので、こと改まった儀式が行なわれるときには、やはり頼りとする人がなく心細い様子である。
前世でも御宿縁が深かったのであろうか、この世にまたとなく美しい玉のような男の御子までがお生まれになった。早くとじれったくおぼし召されて、急いで参内させて御覧あそばすと、たぐい稀な嬰児のお顔だちである。
第一皇子は、右大臣の娘の女御がお生みになった方なので、後見がしっかりしていて、正真正銘の皇太子になられる君だと、世間でも大切にお扱い申し上げるが、この御子の輝く美しさにはお並びになりようもなかったので、一通りの大切なお気持ちであって、この若君の方を、自分の思いのままにおかわいがりあそばされることはこの上ない。母君は、最初から女房並みの帝のお側用をお勤めなさらねばならない身分ではなかった。
【問1】(1)の「かんだちめ」を漢字三字で書き、その意味を漢字二字で記せ。また、「うへ人」の意味を漢字三字で記せ。
【問2】(2)のこの文中における意味を記せ。
【問3】(3)の「なむ」の結びを説明せよ。
【問4】(4)を、主語などを補ってわかりやすく口語訳せよ。また、その主語を補った理由を文法的に説明せよ。
【問5】(6)を口語訳せよ。
【問6】(7)のように判断できる根拠を本文中より抜き出して示せ。ただし、はじめとおわりの五文字ずつを記せ。また(イ)「おしなべて」は、どの語にかかるのか。(ロ)「おしなべてのうへ宮仕へしたまふべききは」は、普通どんな名称で呼ばれていたか、漢字二字で答えよ。
【問7】A B にひらがな二字または三字を入れて文を完成せよ。
【問8】(5)の「にほい」と同じ意味の用例は、次の(a)(b)(c)のどれか。(a)(b)(c)で答えよ。またその意味を三字以内で示せ。また、その他の二つの「にほい」は、それぞれどんな意味か、その用例の番号を記し、三字以内で意味を記せ。
(a)こち吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ
(b)なでしこの花みるごとに少女らがえまひ(笑顔)のにほひ思ほゆるかも
(c)せめて見れば花びらのはしにをかしきにほひこそ心もとなくつきためれ
【問9】仏教思想の影響があると思われる部分を本文中より抜き出して示せ。
【解答例】
【問1】上達部 公卿 殿上人
【問2】ぐあいのわるいこと
【問3】(3)結びの消去(流れ)で、「たまひける」となるところ、「ど」につくため、「たまひけれ」となってしまっている。
【問4】(4)口語訳=帝は早く皇子を見たいと待ち遠しくお思いになって
理由=「せたまひ」という二重敬語があるから
【問5】(6)秘蔵っ子として大切にお育てになられる
【問6】(7)父の大納言~給ひけれど (イ)きは (ロ)命婦
【問7】A よせ B まうけ
【問8】(b) 美しさ ( (a)香り (c)色 )
【問9】先の世にも御契りや深かりけむ
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 10
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題10】からは、折り返し、インコースに入ります。パー5で難易度の高い難しい10番ホールです。
- 各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。ここで16点以上獲得できればたいしたものです。(16点以上がパーで、合格です。パーは、パー5ですから、5点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題10】
「限りあらむ道にも、後れ先立たじと、(1)契らせたまひけるをさりとも、うち捨てては、え行きやらじ」
とのたまはするを、女もいと(2)いみじと、見たてまつりて、
「(3)限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり(4)いとかく思ひ(イ)給へしかば」
と、息も絶えつつ、聞こえまほしげなることはありげなれど、いと苦しげにたゆげなれば、かくながら、ともかくもならむを御覧じはてむと思し召すに、
「(5)けふはじむべき祈りども、さるべき人びとうけたまはれる、今宵より」と、(6)聞こえ急がせば、(7)わりなく思ほしながらまかでさせ(ロ)給ふ。(源氏物語)
【現代語訳】
「死出の旅路にも、お互いに先立ったりするまいと、お約束しましたものを。そうだとしても、おいてけぼりにしては、行ききれまい」
と仰せになるのを、女もたいそう悲しいと、お顔をご覧になって、
「人の命には限りがあるものと、今、別れ路に立ち、悲しい気持ちでいますが、わたしが行きたいと思う路は、生きている世界への路でございます。ほんとうにこのようにと存じておりましたならば」
と、息も絶えだえに、申し上げたそうなことはありそうな様子であるが、たいそう苦しげでだるそうなので、このままの状態で、最期となってしまうようなこともお見届けしたいと、お考えになるが、
「今日始める予定の祈祷などを、しかるべき僧たちの承っておりますのを、今夜から始めます。」
と言って、せき立て申し上げるので、やむを得なくお思いになりながら退出させなさる。
【問1】(1)は、主語のとり方によって二通りの解釈が成り立つ。(a)それぞれの場合を文法的にくわしく説明し、(b)二つの場合の解釈を示せ。
【問2】(2)この場合の「いみじ」の表わす内容を考え、口語訳せよ。
【問3】(3)の更衣の歌は、(a)帝の、どのおことばを受けて作られたのか。その(中心)主題ともいうべき、おことばを示せ。(b)そのおことばをどのような態度で、または、どのように受けて、どのような心持を言い表したものか。(c)更衣の言わんとする心持を表すのに、なんという語の機能(はたらき)を効果的に用いているのか。その語と、その機能を示せ。(d)「道」という語の連想から、なんという語が用いられているのか。(e)そういう関係にある語を何というか。
【問4】(4)を、余情として省略してあることばを補って口語訳せよ。
【問5】(5)の(a)文の構造は、どのようになっているか説明せよ。(b)(5)を口語訳せよ。
【問6】(6)について、自動詞・他動詞・補助動詞の三つに分けて、意味を言え。
【問7】(7)の表わす内容をよく考えて、口語訳せよ。。
【問8】(イ)(ロ)について、文法的に説明せよ。
【解答例】
【問1】(a)(イ)帝 せ・給ひ=自称尊敬
(ロ)更衣 会話文だから更衣に最高尊敬を使った
(b) (イ)私(帝)が約束した
(ロ)あなた(更衣)が私(帝)にお約束なさった
【問2】ひどく悲しい
【問3】(a) え行きやらじ
(b)「え行きやらじ」(いけないだろう)を受けて、「いかまほしき」(いいえ、いきたい)と相手の意表をついて、「それは命だ」と続けたために、かえって、「生きたい命」が強調された。
(c)は 強調限定
(d)いか
(e)縁語
【問4】(4)ほんとに、こんなふうになる(死ぬ)と思っていましたならば、申しあげておきたいこともたくさんございましたのに。
【問5】(5)(a)「けふ・・・祈りども」と「さるべき・・・うけたまはれる」が同格
(b) 今日はじめるはずになっている病気全快のご祈祷、それはれっきとした僧たちがお引きうけ申しているのだが、それを今夜から始めます。
【問6】自動詞 うわさされる(評判がたつ)、理解される(わかる)
他動詞 謙譲 申し上げる
補助動詞 謙譲 申し上げる
【問7】むしょうに悲しく
【問8】(イ)下二段 自分の動作につける丁寧(謙譲)の会話用語、「見・聞き・思ひ」につく補助動詞
(ロ)四段 尊敬の補助動詞
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 11
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題11】は、パー5で難易度の高い難しい11番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。ここで16点以上獲得できればたいしたものです。(16点以上がパーで、合格です。パーは、パー5ですから、5点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題11】
(1)人びと参りて、「(2)いといかめしう吹きぬべき風にはべり。艮の方より吹きはべれば、この御前はのどけきなり。馬場の御殿、南の釣殿などは、危ふげになむ」とて、とかくこと行なひののしる。
「中将は、いづこよりものしつるぞ」
「三条の宮にはべりつるを、『風いたく吹きぬべし』と、人びとの申しつれば、おぼつかなさに参りはべりつる。かしこには、まして心細く、風の音をも、今はかへりて、若き子のやうに懼ぢたまふめれば。心苦しさに、まかではべりなむ」と申したまへば、
「げに、はや、まうでたまひね。老いもていきて、また若うなること、世にあるまじきことなれど、げに、さのみこそあれ」
など、(3)あはれがりきこえたまひて、
「かく騒がしげにはべめるを、この朝臣さぶらへばと、思ひたまへ譲りてなむ」と、御消息聞こえたまふ。
道すがらいりもみする風なれど、うるはしくものし給ふ君にて、三条宮と六条院とに参りて、御覧ぜられたまはぬ日なし。内裏の御物忌などに、えさらず籠もりたまふべき日より外は、いそがしき公事、節会などの、暇いるべく、ことしげきにあはせても、まづこの院に参り、宮よりぞ出でたまひければ、(4)まして今日、かかる空のけしきにより、風のさきにあくがれありきたまふもあはれに見ゆ。
宮、いとうれしう、頼もしと待ち受けたまひて、
「ここらの齢に、まだかく騒がしき野分にこそあはざりつれ」と、ただわななきにわななきたまふ。
「大きなる木の枝などの折るる音も、いとうたてあり。御殿の瓦さへ残るまじく吹き散らすに、かくてものしたまへること」と、かつはのたまふ。
(源氏物語)
【現代語訳】
家司たちが参上して、「たいそうひどい勢いになりそうでございます。丑寅の方角から吹いて来ますので、こちらのお庭先は静かなのです。馬場殿や南の釣殿などは危なそうです」と申して、あれこれと作業に大わらわとなる。
「中将は、どこから参ったのか」
「三条宮におりましたが、『風が激しくなるだろう』と、人々が申しましたので、気がかりで参上いたしました。あちらでは、ここ以上に心細く、風の音も、今ではかえって幼い子供のように恐がっていらっしゃるようなので。おいたわしいので、失礼いたします」とご挨拶申し上げなさると、
「なるほど、早く、行って上げなさい。年をとるにつれて、再び子供のようになることは、まったく考えられないことだが、なるほど、老人はそうしたものだ」などと、ご同情申し上げなさって、「このように風が騒がしそうでございますが、この朝臣がお側におりましたらばと、存じまして代わらせました」と、お手紙をお託しになる。
道中、激しく吹き荒れる風だが、几帳面でいらっしゃる君なので、三条宮と六条院とに参上して、お目通りなさらない日はない。内裏の御物忌みなどで、どうしてもやむを得ず宿直しなければならない日以外は、忙しい公事や、節会などの、時間がかかり、用事が多い時に重なっても、真っ先にこの院に参上して、三条宮からご出仕なさったので、まして今日は、このような空模様によって、風より先に立ってあちこち動き回るのは、孝心深そうに見える。
大宮は、たいそう嬉しく頼もしくお待ち受けになって、
「この年になるまで、いまだこのように激しい野分には遭わなかった」と、ただ震えに震えてばかりいらっしゃる。
「大きな木の枝などが折れる音も、たいそう気味が悪い。御殿の瓦まで残らず吹き飛ばすので、よくぞおいで下さいましたこと」と、脅えながらも挨拶なさる。
【問1】(1)とあるが、何処へ何のために来たのか。
【問2】(2)の叙述は、(イ)この場面において台風が吹き始めなのか、最中なのか、終りに近いのか。(ロ)それは、この(2)のなかの、どの文節で明確になるのか。
【問3】(3)の「あはれがり」は、誰が誰をあわれがるのか。「きこえ」「たまひ」は、それぞれ誰の誰に対する敬語用法か。
【問4】源氏のところに来たばかりの夕霧はすぐに三条の宮に帰ると言っている理由はどういうわけか。次のうち最も適当なものを記号で示せ。(全文より判断せよ。)
(a)三条の宮はここよりも狭く、建物も小さいので、心細く、大宮は子供のように、むしょうにおそれなさるようだから。
(b)三条の宮では大宮が昔以上に気が弱く、風の音も年とった今は、年と反対に若い子のように怖じなさるようですから。
(c)三条の宮は昔以上に心細く、風の音などは昔は何とも思われなかったが、今は子供にかえって、おそれなさるようですから。
【問5】夕霧の性格を簡明に表現している部分を十三字で示せ。
【問6】(4)は、夕霧の性格から見て、どういう行動をいうのか、「まして」に注意して、全文から判断して七十五字以内で述べよ。
【解答例】
- 二条院へ 台風見舞いに
- (イ)吹きはじめ (ロ)吹きぬべき
- 「あはれがり」は、源氏が大宮を
「きこえ」作者→(源氏→)大宮 謙譲語
「たまひ」作者 → 源氏 尊敬語
- (b)
- うるわしくものし給ふ君にて
- 物忌みなど差支えがない限り、毎日、三条宮と六条院とに参って、祖母と父とに会っていた。まして、この台風だから安否を気づかって行き来している誠実なけなげな態度について、
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 12
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題12】は、パー3で、勉強してあれば比較的やさしい12番ホールです。配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。パーは、パー3ですから、3点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題12】
にっと朝日に迎ふよこ雲 浪化
青みたる松より花の咲きこぼれ 去來
初めに「すっぺりと花見の客をしまいけり」と付け(イ)侍る。付けながら先師のかほつきおかしからず。又前を乞ふて(1)此の句を付け直す。先師曰 、いかにおもひて付直し侍るや。去來曰く、「朝雲の長閑に機嫌よかりしを見て、初めに付け侍れど、能見るに此朝の雲のきれいなる気色いふばかりなし。此をのがしては詮なかるべしとおもひかへし、つけ直し(ロ)侍る。」先師曰く、「(2)やはり初めの句ならば三十棒なるべし。なほ陰高きを直すべし」と、(3)今の五文字に成けり。(去来抄)
【現代語訳】
この前句に対して最初は「すつぺりと花見の客をしまいけり」と付けたのだが、そのとき芭蕉の顔を見たら実に不機嫌。再度戻って「陰高き松より花の咲きこぼれ」と付け直したもの、此れをのがしては詮なかるべしとおもひかへし、つけ直し侍る:芭蕉が尋ねた「なぜ付け替えたのだ?」「はい、にっと朝日に迎う横雲」の機嫌よいに調子を合わせましたが、よく見ると横雲美しさが際立っていたのでこれを受けなくてならないと思い直しました、と答えた。芭蕉は、初めの付けでは「三十棒<さんじゅうぼう=禅宗で、師が修行者を警策で激しく打って、正しい道へ教え導くこと。また、そのような厳しい教導。痛棒だったね。「陰高き」も少し陰気だから「青みたる」にせよといって終わったという。
【問1】(1)の句を記せ。
【問2】(イ)(ロ)の「侍る」を文法的に説明する場合、その相違点について記せ。
【問3】(2)において「初めの句」の内容をわかりやすく解釈せよ。(イ)
かつ、なぜ「三十棒なるべし」であるのか、文中のことばを抜き出して、「いたから。」に続くように示せ。(ロ)
【問4】(3)とは何かを記し(イ)、それにはどういう表現上の良さがあるのか六十字以内で記せ(ロ)。
【問5】室町末期から元禄頃までの俳諧の流れは、大きく次のごとく図示される。A B に適当な漢字を入れよ。
松永貞徳(貞門)→A ( B )→松尾芭蕉(蕉風)
【解答例】
【問1】陰高き松より花の咲きこぼれ
【問2】(イ)読者に対する丁寧表現
(ロ)芭蕉(先師)に対する丁寧表現
【問3】(イ)昨日でさっぱりと花見の客を帰してしまい、今朝はひとり静かに朝日に対していることだ。
(ロ)此朝の雲のきれいなる気色いふばかりなし。此をのがしていたから。
【問4】(イ)青みたる
(ロ)「陰高き」
【問5】A 西山宗因 B 談林
- 今回の例題で勉強した文章は、俳諧にかかわるものです。そろそろ受験校の出題傾向を調べて、俳諧が出題されるような学校であれば、貞門、談林、、蕉風、それぞれ有名な三十句ぐらいは覚えてしまいましょう。
- また今までと同じく、古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 13
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 今回は、実力テストです。日本語訳をつけませんので、自力で解いてみてください。
- 【問題13】は、パー4で比較的やさしい13番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。16点以上が合格です。(16点以上がパーで、合格です。パーはパー4ですので、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題13】
芳宜園の月のまどゐは、年ごとのちぎりなれば、(1)こてふにも似ぬ夜のさまなれと、こよひも例の人々まうで来にけり。さるは降りくらしたる雨の名残、はれゆかむ空もおぼえず、ましてさやけき光まちいでむは、(2)いとど心もとなきを、更けゆかばかくのみにはあらじを、こよひは寝て明かしてましなど(3)いひつつ、伊豫簾むなしうかかげて、そらのみうちまもらるるも、いとわりなしや。
今宵は名におふ園生のはなも、(4)いたづらに夜の錦にて、浅茅がもとの松虫のみ、やうやうこゑ添はりゆくも、なほあかぬわざながら、(5)さすがにあはれは添へつべし。
A はれ間なき月をいかにといひいひてそらながめにや今宵あかさむ
B かきくらす雲間の影はうとくとも月まつ虫よせめてかたらへ
(琴後集)
【問1】上記の文章には、濁点の有無について誤りが二か所ある。その部分を分節で抜き出して訂正せよ。
【問2】下線部分について、それぞれ次の問いに答えよ。
(1)どういう夜だというのか。
(2)なぜ「いとど」という語を用いるのか。
(3)「いひつつ」の具体的部分を首尾各々四文字で示せ。
(4)なぜ、こう言うのか。
(5)この部分には、作者のどんな気持ちが表れているか。
【問3】(イ)Aの歌を解釈し、(ロ)その気持ちを端的に表わしている形容詞を、本文中から二語抜き出して終止形で示せ。。
【問4】上記の文章は、次のうちのどれに属するか。記号で答えよ。
(a)小説 (b)随筆 (c)書簡 (d)評論 (e)歌論
【解答例】
【問1】さまなれと→さまなれど 寝て→寝で
【問2】
(1)おいで下さいというような古今集にある名月の夜とは似ても似つかぬ曇りの夜
(2)雨の名残りがあって晴れそうもないのに、さらにさわやかな月の光を期待するのは、なおさらおぼつかないと思われたから。
(3)更けゆか~してまし
(4)せっかくの萩の花も月がなく見えないから
(5)現れぬ月に落胆しながらも、絶望せずに少しでも風流を感じたいという気持ち
【問3】(イ)雨の晴れ間もなく、出ぬ月のことを気にして話し続けて、むなしく空を眺めて物思いにふけっては、今夜は夜を明かすのであろうか。
(ロ)わりなし むなし
【問4】 (b)
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- また、和歌についても百人一首ぐらいは、原文と作者と現代語訳を暗記しましょう。その最中も、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作ることを忘れずにお願いします。
古文 逆転の勉強法 実践編 14
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題14】は、パー4で比較的やさしい14番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パーはパー4ですので、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題14】
A
此木戸や錠のさゝれて冬の月 其角
(1)猿蓑選の時此句を書きおくり、下を冬の月、霜の月に置きわずらひはべるよし(2)聞こゆ。先師曰く、角が冬、霜に煩ふべき句にもあらずとて、冬の月と入集せり。其後大津より先師の文に、柴戸にあらず、此木戸也。(3)かゝる秀逸は一句も大切なれば、たとへ出板に及ぶとも、いそぎ改むべしとなり。凡兆曰く、柴戸、此木戸させる勝劣なし。去來曰く 、此月を柴の戸に寄て見侍れば、(4)尋常の気色なり。是を城門にうつして見はべれば、其風情あはれに物すごくいふばかりなし。(5)角が冬、霜に煩ひけるもことはりなり。(去来抄)
B
「此木戸や」の句には、「この」という指示語を伴った木戸という形象の(6) と、(7)「錠のさされて」の措辞を媒介とした軍記物語的な凄愴荒涼たる場面の連想とが一つになって、いわゆる俳諧的な隠逸閑寂趣味を超えた大胆な独創性が光っている。(尾形仂)
C
其角の冬、霜に置きわづらいしは、霜といふときは、その木戸のきらきらしたる所にして、その霜は笠木、関貫に白く置ける暁がたの姿あれば、ただに冬といわんよりは、いま一等姿を見せんなるべし。(石河積翠)
【現代語訳】(Aのみ)
猿蓑の選を芭蕉・去来・凡兆で行なっていたときに、其角がこの句を投句してきたのだが、下五を「冬の月」としようか「霜の月」としようかと迷っているといってきた。
芭蕉は、上五を「柴の戸や」とするのなら、下五が「霜の月」でも「冬の月」でもどっちでも良いとして「冬の月」にして入集させた。
このような秀逸な句は、たとえすでに板木が起こされていようとも、訂正して刷り直せ。凡兆は、柴戸でも、此木戸でも優劣はないと言った。去來は言った、此月を柴の戸に寄て見侍れば、普通の景色である。是を城門にうつして見れば、城門にさす厳寒の月とするのでは大違いである。さすがに、其角が「冬の月」と「霜の月」で悩んだというのはもっともである。
【問1】(1)の「猿蓑」は、芭蕉七部集の一つであるが、芭蕉七部集を列挙せよ。
【問2】(2)の「聞こゆ」は、誰から誰への動作か。二説考えられるとして記せ。
【問3】(3)には、芭蕉のどんな態度、気持ちがうかがわれるか。
【問4】(4)は、具体的にはどういうことか。
【問5】(5)の理由をCの文に即して説明せよ。
【問6】(6)の下線部に入るべき適当な語句を、十字以内で答えよ。
【問7】(7)について
(イ)「軍記物語」とは、何を指しているか。
(ロ)「錠のさされて」が、「凄愴荒涼たる場面の連想」させるのはなぜか。
【問8】次の語の読みを記せ。
(a)出板
(b)風情
(c)気色
【解答例】
【問1】猿蓑(さるみの)続猿蓑 冬の日 春の日 曠野(あらの)ひさご 炭俵
【問2】去来から先師へ 其角から先師へ
【問3】芸術の完璧を期するには、経済性を度外視する厳しい態度。
【問4】隠者の住むようなわびしいささやかな庵に冬の日が照っている景色
【問5】霜の月とする方が、冬の暁の、きらきらした白さが鮮明に印象づけられて、ただ冬の月とするよりも一段と美的な形相を添えるから。
【問6】迫りくる重厚さ
【問7】(イ)平家物語 (ロ)冷たく人間を拒絶する感じがあるから
【問8】(a)しゅっぱん (b)ふぜい (c) けしき
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 志望校の過去問を研究して、俳諧や文学史がよく出題される大学を志望する場合は、俳諧や文学史に特化した参考書を探して、勉強しましょう。今日の問題が解けるような参考書にしましょう。
古文 逆転の勉強法 実践編 15
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題15】は、パー4で比較的やさしい15番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パーはパー4ですので、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題15】
親たちは、「いとあやしく、さまことにおはするこそ」と思しけれど、「思し取りたることぞあらむや。あやしきことそ。思ひて(1)聞こゆることは、深くさからひたまへば、「いとど(2)かしこきや」と、これをも、いと恥づかしと思したり。
「さはありとも、音聞きあやしや。人は、みめをかしきことをこそ好むなれ。『(3)むくつけげなる烏毛虫を興ずなる』と、世の人の聞かむもいとあやし」と聞こえたまへば、「苦しからず。よろづのことどもをたづねて、末を見ればこそ、ことは故あれ。いとをさなきことなり。烏毛虫の、蝶とはなるなり」そのさまのなり出づるを、取り出でて見せたまへり。
「きぬとて、人々の着るも、蚕のまだ羽つかぬにし出だし、蝶になりぬれば、いともそでにて、あだになりぬるをや」とのたまふに、言ひ返すべうもあらず、(4)あさまし。
さすがに、親たちにもさし向ひたまはず、「鬼と女とは、人に見えぬぞよき」と案じたまへり。「母屋の簾を少し巻き上げて、几帳いでたて、しかくさかしく言ひ出だしたまふなりけり。
これを、若き人々聞きて、「いみじく(5)さかしたまへど、いと心地こそ惑へ、この御遊びものは」「いかなる人、蝶めづる姫君につかまつらむ」とて、兵衛といふ人、
(a)いかでわれとかむかたなくいてしがな烏毛虫ながら(イ)見るわざはせし
と言へば、小大輔といふ人、笑ひて、
(b)うらやまし花や蝶やと言ふめれど烏毛虫くさきよをも(ロ)見るかな
など言ひて笑へば、「(6)からしや、眉はしも、烏毛虫だちためり」「さて、歯ぐきは、皮のむけたるにやあらむ」とて、左近といふ人、
(c)「冬くれば衣たのもし寒くとも烏毛虫多く見ゆるあたりは衣など着ずともあらなむかし」(堤中納言物語)
【現代語訳】
両親は、「本当に変わり者で困ったもんだ」と思っていましたが、「普通じゃないが、頭の回転は良い娘のことだから、きっと何か考えがあるのだろう。娘のため、と思って説教をしてもいちいち真剣に反論してくるのだから、手がつけられん」と、情けなく思っているのでした。
「そうはいっても、やはり見た目や印象と言うのは大事なのよ。世間の人は、見た目がよければいい印象を抱いてくれるのだから。『気持ち悪い虫にしか興味がない』なんて噂されるのは嫌でしょう」と説いてみても、「気にしないわよ。万物の事象を追求してその行く末を予測するからこそ、その理がわかるのよ。人の噂を気にして思考停止するなんて、低俗なこと。私は、毛虫が蝶になる過程に興味があるの。」と、羽化の様子を取り出して見せるのでした。
「みんなが着ている絹だって、蚕が幼虫のうちに取り出すでしょう? 羽化してしまってからじゃ、それこそ袖にもされないってわけよ。」と勢いよく述べるので、言い返すこともできず、呆れ果てる、という。
とはいえ、さすがに姫君も両親に面と向かって反論するのは気が引けるのか、「鬼と女は、人に姿を見せないから価値が上がっていいのよ」などといって、少し巻き上げたすだれと立てた几帳越しに、理路整然と理屈を並べるのでした。
こんな姫君の若い侍女たちは、「ホントにあの趣味は何とかならないかしら、おかしくなりそうよ。あのペットたちは…」「もっとおしゃれに興味のあるような姫君に仕えている人たちは、どんな風にしてるのかな」などと愚痴ばかりでした。
侍女の1人、兵衛が和歌を作って、
私だっていつかは姫様を説き伏せてみせるわよ。毛虫だって蝶になるのだから、姫様だっていつまでもあんなふうではいさせないんだから。
と言うと、小大輔という侍女が笑って、
うらやましいわよね。世間じゃ今年の香水は、とか言ってるのに、こっちは毎日虫の匂いの中で暮らしてるんだから。
という和歌を作ります。
他の侍女たちも、「いやだよね、姫様の眉毛も毛虫みたいだし。」「それでさ、歯は白くて皮の剥けた毛虫って感じ。」などと好き勝手なことを言っています。
左近という侍女も和歌を作って、
冬が来れば服だけは困らないかもね、ここには毛虫がいっぱいいるから。着ないでいらしても大丈夫よ、なんてね。
【問1】(1)の敬語表現を文意に即してより正確な敬語に書き改め、そう改めた理由の要点を文法的に一行で記せ。
【問2】(a)(b)(c)の和歌は、次のどれにあたるか。符号で答えよ。
- 初句切れ (ロ)二句切れ (ハ)三句切れ (ニ)四句切れ
(ホ)句切れなし
【問3】(2)(3)(4)(5)(6)のこの文中における意味を五字程度で記せ。
【問4】(イ)(ロ)は、どのような意味に用いられているか。それぞれ五字以内で記せ。
【問5】次の語の読みを記せ。
(イ)几帳 (ロ)立蔀 (ハ)按察使 (ニ)誦ず
【問6】上記の文中より伝聞推定の助動詞が用いられている文節を抜き出し、そう判断した理由を助動詞の接続の面から説明せよ。
【問7】上記の文中に「それを解さぬは」という意味を補うとよく文意が通じる箇所がある。その箇所を前後五字ずつ抜き出せ。
【問8】上記の文章は、平安末期までに成立した短編物語集の中の一つ「虫めづる姫君」の一節である。この物語集の書名と、その短編の数とを記せ。(いくつの短編よりなるのか)
【解答例】
【問1】聞こえ給う 親たちに対する尊敬語も必要だから
【問2】(a) ホ (b) イ (c) ロ
【問3】(2)恐れ入ることだ
(3)気味が悪い様子
(4)驚きあきれる
(5)上手に扱う
(6)手厳しい
【問4】(イ)世話をする (ロ)過ごす
【問5】(イ)きちょう(ロ)たてじとみ (ハ)あぜち (ニ)ずんず
【問6】興ずなると サ変の終止形に接続している「なり」だから
【問7】とは故あれ~いとをさな
【問8】堤中納言物語 十編
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を引き続き、作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 16
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題16】は、パー4で比較的やさしい16番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パーはパー4ですので、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題16】
俊恵(しゅんゑ)いはく、五条三位入道(ごでうのさんみのにふどふ)のもとにまうで(詣で)たりしついでに、『御詠(ごえい)の中には、いづれをか優れ(すぐれ)たりと思す(おぼす)。よその人さまざまに定めはべれど、それをば用ゐ侍るべからず。まさしく 承らんと思ふ。』と(1)聞こえしかば、
『夕されば野辺(のべ)の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草の里
これをなん、身にとりては面歌(おもてうた)と思ひ給ふる。』と言はれしを、俊恵、またいはく、『世にあまねく人の申し侍るは、
面影(おもかげ)に花の姿を先立てて幾重(いくへ)越え来(き)ぬ峰の白雲
これをすぐれたるやうに申し侍るはいかに。』と聞こゆれば、『(2)いさ。よそにはさもや定め侍るらん、知り給へず。なほみづからは、 先の歌には言ひくらぶべからず。』とぞ侍りし。」と語りて、これをうちうちに申ししは、「かの歌は『身にしみて』といふ腰(こし)の句のいみじう無念におぼゆるなり。これほどになりぬる歌は、景気を言ひ流して、ただそらに身にしみけんかしと思はせたるこそ、心にくくも優に侍れ。いみじう言ひもてゆきて、歌の詮とすべきふしを、さはと言ひあらはしたれば、むげにこと浅くなりぬる。」とて、そのついでに、「わが歌の中には、
み吉野(みよしの)の山かき曇り雪降れば麓の里はうち時雨つつ
これをなん、かのたぐひにせんと思う給ふる。もし世の末におぼつかなく言ふ人もあらば、『かくこそ言ひしか。』と語り給へ。」とぞ。(無名抄)
【現代語訳】
俊恵(しゅんえ)が言うことには、「五条三位入道のところに参上した機会に、『(あなたが)お詠みになったお歌のなかでは、どれが優れているかとお思いですか。他の人はさまざまに決めておりますが、それを(そのまま)採用するわけにはいきません。(あなた自身から)確かに お聞きしようと思う。』と申し上げたところ、
『夕されば野辺(のべ)の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草の里
(夕方になると、野原の秋風が身にしみて、うづらが鳴いているようだよ、この深草の里では。)
これを、自分にとっては代表的な歌と思っております。』とおっしゃったが、私・俊恵(しゅんえ)がまた言うことには、『世間で広く人々が申しておりますのは、』
面影(おもかげ)に花の姿を先立てて幾重(いくへ)越え来(き)ぬ峰の白雲
(桜の姿を先立てて(=?思い浮かべて? / 目の前に見て?)、)いくつ越えてきたのだろう、峰の白雲を。)
これを優れているように申しておりますが、どうですか。』と申し上げると、『さあ、どうだか。ほかでは、そのように決めているのでしょうが、私は存じません。やはり自分としては、先の和歌(=「夕されば・・・」の和歌)には比べて言うことはできません。』と、おっしゃいました。」と語って、これを内密に申したところ、「あの歌は、『身にしみて』という第三句がたいそう残念に思われるのだ。これほどになった歌は、気色や雰囲気(だけ)を詠み表して、ただ(聞き手に)想像の中で見にしみただろうなあと思わせるほうが、奥ゆかしくも優美でもあります。(『身にしみて』という句が)とても言い表しすぎていて、和歌の題目とすべきところを、はっきりと言い表してたので、ひどく(余韻が)浅くなってしまった。』と言って、そのついでに、「私の歌の中では、
み吉野(みよしの)の山かき曇り雪降れば麓の里はうち時雨つつ
これを、あの(代表作の)類いにしようと思っています。もし、後世に(代表作が)はっきりしないという人がいれば、『こう言っていた。』と語ってください。」と(言った)。
【問1】この文章は、『俊成自賛歌事』という題目であるが、それはどの箇所で十分に言い尽くしているか。その箇所を首尾六文字ずつで示せ。(「、」や「。」や括弧などは数えない。過不足なく抜き出せ。)
【問2】『俊成自賛歌事』について、誰が誰に批判を加えて語っているのか。その箇所を首尾六文字ずつで示せ。(「、」や「。」や括弧などは数えない。過不足なく抜き出せ。)
【問3】(1)の下線について、誰が誰に、どういう敬意表現をしているのか。敬語の種類で答えよ。
【問4】(2)の下線について、「いさ。」は、二通りの品詞に考えられる。その品詞名を挙げ、文法的に説明せよ。(語句の説明、解釈を求めているのではない。)
【問5】(3)の下線について、誰が誰に、どの歌を自分の代表歌にしようと語っているのか。歌は第一句を以って示せ。
【解答例】
【問1】いさよそには~ぶべからず
【問2】俊恵が 長明に かの歌は身に~浅くなりぬる
【問3】俊恵が 五条三位入道に 謙譲
【問4】(1)間投詞 「。」で切れているから
(2)副詞 いさ→知らず という陳述関係が考えられるから
【問5】俊恵が 長明に み吉野の
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて良いです。
古文 逆転の勉強法 実践編 17
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題17】は、パー4で比較的やさしい17番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パーはパー4ですので、4点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題17】
【A】
やすみしし 我が大君の きこしめす 天の下に
国はしも さはにあれども 山川の 清き河内と み心を
吉野の国の 花散らふ 秋津の野辺に 宮柱 太敷きませば
ももしきの 大宮人は
舟並めて 朝川渡る 舟競ひ 夕川渡る
この川の 絶ゆることなく この山の いや高知らす
水激る 瀧の宮処は 見れど飽かぬかも
(万葉集 柿本人麻呂)
【現代語訳】
わが天皇がお治めになっている国土に、国はたくさんあるけれど、山からの清らかな川が流れる平野、(天皇が)御心(を向けられる)吉野の国の(桜の)花が舞い散る秋津の野原に宮殿の柱をしっかりと立てられ(国をお治めになったことで)、宮中の殿上人たちは、朝には船を並べて川を渡り、夕には船を競わせ合って川を渡っている。
絶えることのないこの川の流れのように、(この吉野の地にそびえたつ雄大な)山々のように、よりいっそう立派に(国を)お治めになられるだろう。
水が激しく流れる滝の(ほとりに)ある(吉野の)宮殿は、(幾度)見ても飽きることはないことだろう。
【解説】
「やすみしし(八隅知し)」は”我が大君”に掛る枕詞(隅々までお治めになっているの意味)、「我が大君」は天皇、「きこしめす」はお治めになる、「さはに」はたくさん、「河内」は川の流域にある開けた平野、「秋津」はトンボ(「秋津のとなめ」といった表現があるように、ここでは丸くなった土地を指すものと思われます)、「宮柱」は宮殿の柱、「太敷き」はしっかりと立てる、「ももしき(百敷)」は宮中、「大宮人」は殿上人、「いや」はますます、いちだんと、「高知らす」は立派に(宮殿を)造り運営なされる、「水激る(みづはしる)」は水が激しく流れる、「飽かぬかも」は飽きることはないだろうなあ(詠嘆)、をそれぞれ意味します。
【B】
うらうらに照れる春日にひばり上がり 心悲しもひとりし思へば
(万葉集 大伴家持)
【現代語訳】
のどかに照る春の日差しの中を、ひばりが飛んでいく。そのさえずりを耳にしながら一人物思いにふけっていると、なんとなく物悲しくなっていくものよ。
【解説】
この歌は、大伴家持によって詠まれたものです。なんとなく、ふと寂しさを感じることがある。そのようなメランコリーな感じを表した歌です。楽しそうにさえずっている鳥と、作者の物寂しさが対比されています。また「心悲しもひとりし思へば」の部分は、「物寂しく感じるなあ。一人で物思いにふけっていると」と倒置表現になっています。
【問1】【A】の長歌について次の各問に答えよ。
(1)内容からして二つに切れるが、後半の最初の句を記せ。
(2)「み心を」は「吉野」にかかる枕詞とされるが、どうしてか。
(3)尊敬語の動詞、補助動詞、助動詞を含む句を抜き出して記せ。
(4)対句を抜き出し、→の記号を使って記せ。
(5)この長歌には、雄大な構想力があるといわれているが、どのような点をさしているのか。
【問2】【B】の歌は、大伴家持の作であるが、そう判断できる理由を説明せよ。
【問3】万葉集について次の各問に答えよ。
(1)「相聞歌」とは、どういう歌のことか。
(2)上限と下限とでは、ほぼ何年にわたっているか。
(3)賀茂真淵によれば、歌風の特色は何だと言っているか。
(4)集中、唯一と言ってよい思想的人生歌人はだれか。
【問4】古今集について次の各問に答えよ。
(5)選者を二名記せ。
(6)歌風に深い関連を持つ行事を何というか。
(7)万葉に代わって多用された修辞的技法を二つ記せ。
【問5】新古今集について次の各問に答えよ。
(8)成立に決定的な力を持った人はだれか。
(9)「本歌取り」の効果は何か。
(10)重視された歌風の特色を、藤原定家は何と言ったか。
【解答例】
【問1】【A】
(1)この川の
(2)「み心を」は、意味上で「寄す」を導き出すが、それが音上で掛詞的に「吉野」の「よし」に通ずるから。
(3)きこしめす 太敷きませば いや高知らす
(4)舟並めて → 舟競ひ 朝川渡る → 夕川渡る
この川の → この山の 絶ゆることな → いや高知らす
(5)山川という悠久不変の自然を素材として、ダイナミックに描き出し、、それを離宮の賛美にうたいあげている点。
【問2】のどかな情景を背景にしながら、それと対照的な悲しさ、感傷をうたう繊細な感受性があるから。
【問3】 (1)贈答歌の意味だが、多くは恋歌を指す
(2)450年
(3)ますらをぶり
(4)山上憶良
【問4】 (5)紀貫之 紀友則 凡河内躬恒 壬生忠岑
(6)歌合せ
(7)掛(懸)詞 縁語
【問5】 (8)後鳥羽院
(9)古歌のイメージを余情として感じさせる
(10)有心
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて 良いです。
- 和歌についても、有名なものは、作者を覚え、暗記していきましょう。
古文 逆転の勉強法 実践編 18
- それでは、引き続き、具体的に問題を解いていきながら、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。
- 難しいと感じたら、最初から日本語訳を見ても構いませんし、解答を見ても構いません。ただし、解答を理解して、次に出会ったら間違えないことが重要です。
- 【問題18】は、パー3でやさしい18番ホールです。各問の配点は20点満点で、小問の配点は、1点か2点か3点ですので、各自で配点を決めて採点してください。(16点以上がパーで、合格です。パー3ですので、パーは3点です。ゴルフは点数が少ない方が良いのです。)
【問題18】
【A】
(1)春の夜の夢の浮橋とだえして 峰にわかるる横雲の空
(2)思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを
(3)わが背子が 衣はるさめ 降るごとに野辺のみどりぞ 色まさりける
(4)昔思ふ草の庵の夜の雨に涙な添へそ山ほととぎす
(5)山深み春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水
【現代語訳】
【A】
- 春の夜に見た、はかない夢がとぎれてふと目を覚ますと、ちょうど横雲が峰から離れていこうとしているところでした。
- 思いながら眠りについたので、(あの人が)夢に現れたのだろうか。もし夢とわかっていたなら(夢から)覚めなかったろうに。
- 夫の衣を洗い張りをする春です。そして春雨がふるごとに野辺の緑が色濃くなってゆきます。
- 昔の優雅な暮らしを思い出して寂しくしているこの草庵に雨が降っている。山で鳴くほととぎすよ、悲しい鳴き声で、さらに私に涙の雨まで降らそうとさせないでおくれ。
- あまりにも山の奥深くなために、春になったとも気づかない、そんな侘び住まいの松の戸に、雪解けの水で玉のようなしずくが、とぎれとぎれに落ちてくる。
【B】
- 六歌仙のうちの女性の作であり、心中の思いを強く訴えるというのではなく、一歩退いてそれを反省しながら歌っている趣がある。 この歌の中の過去の助動詞をそのまま抜き出し、活用形を記せ。
- 広義の本歌取りの歌といえる。感傷的ながら本歌にないものを添えて、作者特有の「わび」がよく出ており、「幽玄」の趣がある。 この歌の本歌が載っている書名と著者を記せ。
- 物語的雰囲気も醸成され、艶とあはれが一つになった当時の代表作である。 物語的雰囲気を醸成している句を抜き出し、それと縁語になっている言葉を一つ記せ。
- 体言止めで余情があり、また対照的な色彩感もあって静かな叙景的な歌である。賀茂の齋院になったこともある。 倒置しているのは、何句と何句か。
- 女性に仮託した読みぶりが感じられ、助詞の末尾が掛詞になっているという修辞を持つ歌である。 掛詞を抜き出し、掛詞の意味が分かるように感じで記せ。
【C】
(6)年たけてまた越ゆべしと思ひきや命なりけり小夜の中山(西行)
(7)はちすはの にごりのしまぬ 心もて 何かは露を 玉と欺く(遍昭)
(8)寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ
(9)見渡せば花も紅葉もなかりけり
(10)心なき身にもあはれは知られけり
【現代語訳】
(6)年老いてから、この山をまた超えることができる(旅ができる)と思っただろうか、いや思いはしなかった。小夜の中山を越えることができるのは、命があるからこそだなあ。
(7)蓮の葉は、濁った水の中に生えていながら、濁りに染まらない清らかな心を持っている。なのに、葉に置く露を玉に見せかけて、人の目を欺くのはどうしてだろうか。
(8)寂しさは、特にその色だからといって感じるわけではないのだなあ。色ではなくて、槙が立つ山の秋の夕暮れだから寂しさを感じるのだ。
(9)見渡してみると、春の美しい花も秋の紅葉も(ここには)ないことよ。海辺の苫ぶきの粗末な小屋のあたりの秋の夕暮れよ。
(10)(俗世間から離れた私のような)趣を理解しない身であっても、しみじみとした趣は自然と感じられるものだなあ。鴫(しぎ)が飛び立つ沢の夕暮れよ。
【問1】【A】の(1)~(5)の歌に最も適する批評を、【B】の(イ)~(ホ)から選んで符号で記し、それぞれの作者と問に対する答えも記せ。
【問2】
- の歌は、どういう感慨を読んだものか。簡潔に記せ。
- の歌は、何の美しさをよんだものか。簡潔に記せ。
- の歌について、作者名を記せ。
- の歌について、作者名を記し、歌を完成させよ。
(10)の歌について、作者名を記し、歌を完成させよ。
【解答例】
1 ハ 藤原定家 夢の浮橋 とだえ
2 イ 小野小町 せ 未然形
3 ホ 紀貫之 はる 春 張る
4 ロ 藤原俊成 白氏文集 白居易(白楽天)
5 ニ 式子内親王 四句と五句
【問2】
(6)ふたたび越えることはあるまいと思っていたさよの中山に来て長生きしたものだという感慨。
(7)蓮の葉の上の露
(8)寂連
(9)藤原定家 浦の苫屋の秋の夕暮れ
(10)西行 あはれは知られけりしぎたつ沢の秋の夕暮れ
- 今回の例題で勉強した文章でも、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)を作っていきましょう。もちろん、辞書や参考書で調べた例文などを追加しても良いです。和歌についても、有名なものは、作者を覚え、暗記していきましょう。現代語訳も暗記しましょう。
- 古語辞典や詳細な古文単語集を自分で調べて、問題になっている個所を中心に自分のわからない箇所を調べて、自分自身の独自の古文単語帳(古文文法を含む)に書き加えていきましょう。分かっている個所、単語は書き加えなくて良いです。試験前日・当日にも復習できるあなた独自の古文単語帳の完成です。
(チェンバーズ・ベイ・ゴルフコース)
- 【問題1】~【問題18】までやってみていかがでしたか。何よりも古文が楽しくなったでしょうか?楽しくならないにしても、18ホールの様々な景色を堪能できたことと思います。
- パー80%以上、ボギー70%以上、ダブルボギー60%以上、トリプルボギー50%以上で計算していただいて、つまりパー4を80%以上とれたら4点と計算します。ボギー70%以上であれば5点、ダブルボギー60%以上であれば6点、トリプルボギー50%以上は7点と計算します。パー5は、80%以上とれたら5点と計算します。ボギー70%以上であれば6点、ダブルボギー60%以上であれば7点、トリプルボギー50%以上は8点と計算します。同様にパー3を80%以上とれたら3点と計算します。ボギー70%以上であれば4点、ダブルボギー60%以上であれば5点、トリプルボギー50%以上は6点と計算します。
- 合計して70台で回れた人は、即時に過去問研究に進んでください。過去問で、もう一度、自分で、私が作った18ホールみたいなシリーズを自分で作ってみてください。あなたは、古文が得意な人です。東京大学をはじめとした難関国公立大学に必ず合格できます。
- 80台で回れた人も、古文の才能が有ります。もう一度、自分で、先生の作った18ホールみたいなシリーズを自分で作ってみてください。それでもう一度、80台で回れたら、70台で回れた人と同様、過去問研究に進んでください。
- 90台の人は、まだまだ伸び代があります。教科書、参考書の再読から始めましょう。
- 100台以上スコアの方は、ゴルフでもコースにはまだ出ないでゴルフ練習場で練習しろと言われるレベルです。教科書、参考書、既存の販売されている古文単語集、古文文法参考書の再読と暗記が先決です。
使いましたゴルフ場の画像は、いずれも全米オープンが開催されたことがあるアメリ カの名門ゴルフ場です。日本人もいつの日か全米オープンで優勝できる日が来るといいですね。皆さんも大学院とかでアメリカ留学をする機会があったら、是非、画像のゴルフ場でプレーしてみてください。日本のゴルフ場と比べてとんでもなく難しいです。
(リビエラカントリークラブ)
- ゴルフの18ホールのような形で様々な練習問題を選んできましたが、真面目に取り組んでこられた方は、もう半分ぐらいは、自分自身の独自の古文単語帳も完成していることと思います。今後は自分でも同じように、自分で傾向の違う18問ずつを選んで自分で勉強していくと、自分の弱点がよくわかり、自分自身の独自の古文単語帳も完成に近づきます。また過去五年分ぐらいの志望校の問題を選択して、自分自身の独自の古文単語帳に加えて行っても、単語帳は完成に近づきます。GOOD LUCK!!!
古文が強くなって良いことは、数学と違って受験日当日の問題の相性とか出来不出来に左右されにくいことです。いくら数学の強い人でも入試本番で相性の悪い問題、思いつきにくい問題が出たりすると、とんでもなく低い点数を取ってしまったりするものです。古文はそれが出にくい、実力がそのまま出る科目です。だから、難関校では、もし数学で失敗してしまったとしても、古文で落ち着きを取り戻す、あるいは挽回する、古文は、そういう科目なのです。自分自身の古文単語帳が完成したら、試験前日まで、それをよく復習して活用してください。逆転合格は、まちがいなく君のものです!!!
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