こんにちは、 武田塾医進館広島校です。
広島県唯一の医学科、広島大学医学部医学科生の6年間を紹介します
以下の記事は医進館広島校の講師たちに書いてもらいました
1年生
広島大学の1年生では主に教養教育科目を学びます。
1年を通して英語,ドイツ語もしくはフランス語といった語学,
理系科目,文系科目,大学での過ごし方などをバランスよく学んでいきます。
授業は講義形式で行われ, 成績は毎週の小テストや小レポートなどの課題で定められるもの,
中間,期末試験で定められるものなど 教科によって様々です。
また,英語に関してはTOEICで 規定の点数を満たせば単位認定を受けることも可能です。
さらに,週に1回専門科目の授業があります。
そこでは医学生に必要なコミュニケーションを学んだり,
各教授や世界で活躍される方々の貴重なお話を聞いたりすることができます。
1年生は専門科目の試験がほとんどなく, 夏休みや春休みも長期間確保されているので,
勉強だけでなく,部活やバイトなどに精を出したり,
新たな環境の中で友人の輪を広げたりするチャンスになると思います。
2年生
広島大学の2年生では専門科目の基礎医学を中心に学びます。
1年生で面倒だった履修登録も 平和科目(広島大学の教養教育)の一つだけになります。
前期は解剖実習がメインとなり、3人または4人の班でグループを作り、
4月の半ばから週4回で3か月かけて解剖を行っていきます。
この実習は常に午後から行い、午前は別の専門科目の座学(講義形式の授業)が行われます。
特に曜日ごとに科目が指定されているのではなく、 ばらばらでいろいろな科目の授業が行われます。
後期も似たような感じで、午前は専門科目の座学、 午後は生理学や生化学の実習が行われます。
テストは前期の終わりにまとめて行うわけではなく、
中間試験があるものや数回の座学のみでテストが行われるものもあるので、
1週間ずっとテストがあるといった大変なことにはなりません。
試験勉強は過去問中心の勉強となり、
Mediteriaというサイトに学年ごとの過去問がまとめられているので、
そこで探して解いていく形になります。
先輩が作ってくださった「まるちゃんノート」(先輩が用意してくれた講義ノート) がある科目は非常に勉強しやすいです。
先輩方に、過去問通りでる試験と過去問通りではない試験を聞いておき、
過去問通りではない授業は必ず参加するという感じでした。
1年生と比べて、試験問題が難しく、量もはるかに多く、
追試にかかる人も多くいたため、 勉強する習慣がないと苦労するように感じました。
中間と期末で分かれている科目は両方合わせて6割あれば合格なのですが、
追試になった場合は中間と期末の試験範囲がすべて追試に詰め込まれるので大変です。
3年生
広島大学の3年生では各診療科について 座学(講義形式の授業で行われる学習)で1年間かけて学びます。
基本的に前期では消化器、循環器、呼吸器といったメジャー科と呼ばれる科を、
後期では眼科、耳鼻科、皮膚科といったマイナー科と呼ばれる科や
産婦人科、小児科などを学んでいきます。
授業はそれぞれの診療科の臨床医の方が講義をしてくださり、
解剖学的知識から各疾患の病態、検査、治療など幅広い知識を学びます。
一般的な学部と違って1週間ごとの科目は決まっておらず、
1日に複数の科を学んでいく形となります。
試験はほぼ毎週月曜日か火曜日に実施され、
マークシート形式のことが多いです。
試験勉強は配布された資料や先輩からいただいた過去問を中心に行います。
どの科も2年生の試験と比べると平均点が高く 追試にかかる人も少ないように思いました。
ほぼ毎週試験なのでコンスタントに勉強するのが辛いこともありますが、
2年生に比べて一つ一つの試験が重くはないので 個人的にはそこまで苦労はしていないです。
3年生は4年生のCBTや6年生の卒業試験、 国家試験に繋がっていく大事な時期と思います!
4年生
4年生は春から夏にかけての3か月程度の研究室実習と
秋にCBT・OSCEという共用試験があります。
研究室実習では、まずどこの研究室に行きたいかの希望を決めます。
抽選が行われる前日まで変更できるので、
希望調査の結果表(ネット上)を見ながら
「自分が希望している研究室は倍率が高いから他のところに変えよう」 ということもできます。
抽選に外れても第二、三回がありますが、
望んでいない研究室に決まる可能性がかなり高いです。
決め方としては、 自分が本当に興味がある研究室を選んだり、 先輩から聞いて選んだりなど人それぞれです。
一から研究目標を立てて それを実行して発表までもっていくのに3か月ではまず不可能です。
なので、私は大学院生の研究のお手伝いという形で参加し、
研究医や大学院生はどういう生活をしているのかとか、
一つか二つ研究の手技(ウェスタンブロット法やPCR)を覚えようとしていました。
CBT・OSCEという共用試験は日本のすべての医学生が受験する共通の試験で
これに受からないとその先の病院での実習に参加することができません。
すなわち、留年が確定します。
CBTは、内容としては医師国家試験と同じ範囲ではありますが
問われる深さが浅いので、5年生の今となっては楽に思いますが、
受験当時は「落ちることが許されない7割合格の重たい試験」でした。
基本的に皆メディックメディアという予備校が出している
「QB(クエスチョンバンク)CBT」という CBTの一問一答集を解いて勉強するのですが、
問題数が約3,000問あり、さらに間違えた問題は何周も繰り返すシステムなので、
実質4,500問くらいを解かなければいけません。
いつから勉強し始めるか、他にも予備校や教材はありますので、
そもそもメディックメディアを選ぶかなど考えることが多いですが、
大学入試や大学3年生の試験週間での勉強で、
自分のスタイルが確立していれば、 よほどのことがない限り落ちることはないでしょう。
(CBTの結果は何かと今後に影響してくるので、 高順位をとっておくに越したことはありません。)
OSCEでは、手術着の着方や、視診・触診・打診などの仕方、 一次救急の手順などを試されます。
かつてはCBTほど難易度は高くなかったのですが、
制度が変わって合格は難しくなりました。
CBTとOSCEに合格すると、 4年生の1月からは、ポリクリ(病院での臨床実習)が始まります。
1週間で一つの診療科を回り、実習期間中にすべての診療科を見て回ります。
その特性を理解しつつ医師国家試験の勉強の糧にするというものです。
5年生
5年生は、4年の1月から始まった 臨床実習Ⅰ(ポリクリ)の続きを主に行います。
また、夏休みなどの長期休暇を用いて、
病院見学や自分の興味ある研究室で手伝いをしたりなど 様々な活動をしている人もいます。
ポリクリでは基本的に一週間で一つの科を回ることで、 その科の特徴を知ることができます。
例えば、救急科では実際に救急病棟の中で患者さんの様子や先生の手技を見学したり、
講義室や実習室で先生からの指導を受けたりしました。
また当直する医師に付き添うことで、 夜間救急の現場をじかに見学させていただくこともできます。
ポリクリに対する熱意は人それぞれで、
色んな経験をさせてもらうべく 貪欲に先生とコミュニケーションをとる人もいます。
臨床実習Ⅱ(アドバンス。5年生の1月から行う実習)で 自分の行きたい科を見学できるチャンスがあるので、
私はそこで頑張りたいと思います。
病院見学では、その病院の特徴的な科はどこなのか、 研修医の雰囲気はどんな感じかなどを掴むことを目的とします。
病院によって様々ですが、 研修医が来年の研修医の採用を決めるシステムがあるところもあり、
部活の先輩がいる病院だと印象づくりなどの面で 大きなアドバンテージが生まれることもあります(ほんとに一部ですが)。
行きたい病院に狙いを定め複数回見学に行く人もいますが、
5年生の時点では、広島に残るか地元に帰るかは決まってはいるが 行きたい病院まで決まってはいないという人が多いという印象です。
県外の病院に就職したい方は、活動が早めです。
6年生
広島大学の病院実習は
全ての診療科を1週間または2週間ずつまわるポリクリと、
各自で選択した科を2週間または4週間ずつまわり、
より深く学ぶアドバンスに分かれています。
4年生の1月からポリクリを、5年生の1月からアドバンスを行います。
実習では、外来や検査の見学・講義に加えて、
手術に参加させて頂いたり、実際に器具を使って、
模型や動物の臓器で縫合などの手技の練習をすることができます。
また各科で1人の患者さんを担当させていただき、
その方についてのレポートを実習の最後に提出することもあります。
地域医療実習では、
広島県内の山間部や島にある病院に1週間滞在し、
地域ならではの訪問診療や診療所・グループホーム等での実習を行うことができます。
今まで座学で学んできたことを実際に目の当たりにすることで、
より印象付けられ覚えることができたり、さらに興味がわいて勉強する意欲が高まります。
アドバンスでは、広島県内の様々な病院での実習を選択することもできます。
大学病院とは異なる市中病院の雰囲気を感じることができたり、
医師となり研修を行う病院を選択する際の決め手を見つけることもできます。
さまざまな実習の中でも私が特に印象に残っていることは、
総合診療科での実習で、初診の患者さんの問診をとらせていただいたことです。
患者さんの話を聞きながらどんな病気か考え、
そのうえで質問をしたり、必要な検査を考えたりと、
同時進行で様々なことをする事がとても難しかったです。
以上のように実習では知識、技術を学ぶだけでなく、
実際の病院の様子を身を持って体験し、
医師という職業について、将来について考えるきっかけになります。