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【心理学28】あがり症にかかわる脳のしくみと対策

はじめに

緊張

受験生のみなさん!こんにちは!今までにない超絶個別指導の武田塾広島校です。

今回は、あがり症と脳のメカニズム、そしてその対策についてです。

 

目次
  1. はじめに
  2. ①あがり症に関わる脳のしくみ
    1. A.情報の選別
    2. B.選別した情報に対しての意味づけ
    3. C.脳の認知システム
  3. ②あがり症を悪化させる認知の癖
    1. D.極端な情報選別
    2. E.一般化
    3. F.自分が悪いと思い込む
    4. G.上手くいった点は無視し、失敗だけを過大評価
    5. H.根本原因、、、
  4. ③あがり症の治療はどうする?
      1. 1.誤った信念を取り去る。
      2. 2.適切な意味づけ(物事の捉え方、解釈)ができるようにする。
      3. 3.恐れを克服する。

①あがり症に関わる脳のしくみ

まず、人間の脳がどのようにして不安や恐怖を引き起こしているのかを知りましょう。
このことが治療の第一歩です。
あなたは「あがらされている」のではなく、自分自身で「あがっている」のです。
これは、あがり症が外部の要因によって決まるのではなく、
自身でコントロールできるものだということを意味します。
そのことを自覚することが大切です。

では、不安や恐怖を引き起こす脳のしくみについて見てみましょう。

A.情報の選別

 

あなたが、今、たくさんのものを視界に入れているとします。
パソコンの画面、文字、部屋の家具や時計、その他いろいろな視覚情報。
さらには、車の騒音、子供の泣き声、ラジオから流れる音楽、コーヒーの香りなど。

しかし、それら全ての情報に同等の注意を払っているはずではないはずです。
あなたの脳は全ての情報を受け入れることはしません。
そんなことをしたら、すぐに脳はパンクしてしまうでしょう。

人間の身体の器官が捉えた情報の多くは、意識にのぼる前に脳のフィルターに
シャットアウトされ、ごくわずかな情報だけを選別して受け入れているのです。

どんな基準で脳が情報を選別しているのかは、1人ひとりの価値観や信念、
過去の経験などが関わってきています。
そのときの感情や微妙な気分、体調の違いによっても基準は変わってくるでしょう。

この脳の情報選別のプロセスがまず1つです。

具体例をあげてみましょう。
大勢の人前で話すことを想像してみてください。大きな会場でたくさんの
聴衆がいます。その会場に入った瞬間、あなたはどんな情報を優先的にキャッチ
するでしょうか?

・こっちを見ている大勢の聴衆
・会場の照明の明るさ
・マイクの位置や壇上の高さ
・会場の空気感、雰囲気
・隅に置いてある植物
・胸やお腹あたりの緊張感、身体感覚

などの情報を選別し、1部の情報だけを受け入れた後は・・・

B.選別した情報に対しての意味づけ

 

情報を選別した後、脳はその情報に何かしらの意味を与えます。
これが、意味づけです。

先ほどの例で考えてみましょう。

あなたは大勢の聴衆を見て、「みんなが恐ろしい目で僕を見ている。
僕の失態に目を光らせているんだ。」と、思うかもしれません、、、
あるいは、「みんな、真剣な姿勢で聴いてくれているぞ!」というふうに
思うかもしれません。

これが情報に対する意味づけであり、この意味づけの違いこそが
あなたの感じる感情の違いなのです。
不安や恐怖を感じるのか、
それともヤル気や喜びを感じるかは、情報にどんな意味づけを行うかに
よって決まるのです。

C.脳の認知システム

 

このような、選別と意味づけのプロセスによって、あなたの感情は
形成されます。このような脳の認知のプロセスはほとんど一瞬で、
しかも無意識で行われるので、感情が突然向こうからやってきて、
勝手にあがってしまったように感じるのも無理はありません。

しかし、実際には不安や恐怖の感情を作り出し、緊張を生み出して
いるのはあなた自身の脳なのです。あなたはこの選別と意味づけの
認知のプロセスに変化を起こすことで、あがり症を手放すことができます。

②あがり症を悪化させる認知の癖


さらに、あがり症を形成し、そして悪化させる認知の癖について書きます。
これをよく理解しておくことで、あがり症を悪化させないようにするために
注意すべきことがはっきりとわかります。

D.極端な情報選別


あがり症になると、情報の選別が極端になることが多いです。
周りに1人でも批判的な目をしているような人がいると、
「みんなが僕のことを批判している」と捉えてしまうことがよくあります。
(実際にはほとんどの人が好意的な目で見ていたとしても)

あるいは、自分の欠点だけに注目したり。

そんな人にできるアドバイスは、自分が見ている「怖い世界」は現実ではない
ということ。そして、もっと広い視野を持ってみるということです。

E.一般化

上の例、たった1人批判的な目をした人がいただけで、「みんな僕のことを
批判している」と捉えてしまったものですが、これが一般化と呼ばれるもの
です。たった1つの出来事、事象が「全て」だと思い込んでしまうのです。

・僕は”いつも”人前で話すことに失敗している
・”絶対に”あがってしまうに決まっている
・”みんなが”僕を馬鹿にしている

「いつも」「絶対に」「決して」「みんなが」、、、
こういう口癖、多くはないですか?

F.自分が悪いと思い込む


あがり症の人は、他人を責めるよりも自分を責める。
自分を正当化するために他人を必死に責めるようなことは愚かです。
しかし、自分を責めることは不要なことです。

「あの人が不機嫌になったのは自分が悪いからだ」

「みんなが無関心だったのは、僕の話しがヘタクソだったからだ」

それは、本当にそうだったからなのでしょうか?

G.上手くいった点は無視し、失敗だけを過大評価

上手く何かやったときは「たまたま成功しただけ」「運がよかっただけ」で
片付け、逆に失敗したときには「僕は本当にいつもダメだ、、、」と、
失敗したことだけを過大評価してしまうことが多く見られます。

この根底には、「自分は、どうせ何をやってもダメな価値のない人物だ」
という、あがり症の人に共通する信念が存在しています。

H.根本原因、、、

今、信念という言葉が出てきましたが、これまで見てきた
脳の認知の癖は、全て、この信念と呼ばれるものにコントロール
されているのです。

「自分は、どうせ何をやってもダメな価値のない人間だ」

このような信念が、心の奥底に深く根付いているからこそ

・自分の価値を下げるような批判的な人や言動にばかり意識がいってしまう
・「いつも人前で話すのに失敗してしまう」という結論を出してしまう
・自分のことばかり責めて、悪い方向に考えてしまう
・上手くいったことを無視して、失敗ばかりを取り上げて自分の価値を下げてしまう

③あがり症の治療はどうする?

 

これまでの脳の認知の仕組みや、信念の説明を前提として、あがり症の治療は
何をすればいいのでしょか?

非常にシンプルです。


1.誤った信念を取り去る。


2.適切な意味づけ(物事の捉え方、解釈)ができるようにする。


3.恐れを克服する。

 

④あがり症の根底にある、誤った信念を取り去る。

 

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」

この信念を取り去ることは、とても意義があります。
なぜならここの部分を変えることで、自動的に物事に対する意味づけ、
認知の仕方も変化するからです。逆に言えば、この信念を持ったまま
意味づけや認知を変えようとしても難しいのです。
(どんな意味づけや認知をするかは、信念に強く影響されるので。)

信念を変える、いくつかの方法を掲示します。

I.信念を変える

紙とペンだけで実行できる、簡単なエクササイズです。

1、あなたを制限している信念を疑う

「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」
これは、本当のことか、真実なのかと、自問します。
絶対に100%正しい客観的な真実であると断言できるのか、
それをよく自問してください。

答えを言ってしまえば、あなたの抱いてる信念は真実ではありません。
全くの勘違い、思い込みです。

2、その信念をなぜ真実だと信じているのか、その証拠を書き出します


思いつくものを書き出します。


3、その信念が真実ではないと、そう言える証拠は何かを自問し、
  書き出します

 

思いつくものを何個か書き出します。


4、もし、この信念を持ち続けていたら、どうなってしまうかを
  書き出します


5年後も、10年後も、この信念を持ち続けていたらどうなるか
想像してください。その感情的な痛みを信念に結び付けるのです。

5、もし、この信念を全く信じていなかったとしたら、
  どんな人間になれるかを書き出します


「自分はどうせ何をやってもダメな価値のない人物だ」
これを全く信じていなかったとしたら、あなたはどんなふうになれる
でしょうか?自由に書き出しましょう。


6、この信念を持ち続けるのか、それとも捨て去るのか、
  決断します


誤った信念を持ち続けて、痛みとストレスとフラストレーションに
耐えながら生きるのか、それともこれを手放して自由になるのか、
どちらを選ぶのか決断をしてください。


7、新しい信念を作る


例えば、「私は価値のある存在だ」「自分の価値は自分が決める」
「私は、ありのままで素晴らしい」「私には力がある」など。


8、新しい信念を体験する


新しい信念を持つことになったら、どんな物の見方や意味づけ、
感じ方、考え方をし、どんな行動をするだろうか。
それを想像し、書き出します。

また、日常の生活の中でも、新しい信念が既に定着したつもりになって、
その信念を持っているかのような思考や振る舞いをしてみましょう。
それを続けていくと、だんだんと新しい信念が定着していき、
古い誤った信念は剥がれ落ちていきます。

J.深い傷を癒すために

 


「自分はどうせ何をやってもダメな、価値のない人物だ」
そんな信念を取り去る別の方法があります。
これは、感情を強く刺激するので、途中で辛くなったら中断しても
かまいません。でも、それだけ大きな変化を心身に起こす可能性が
あるということです。

ポイントとしては、何も考えないことです。頭であれこれ考えません。
ただ、感じていてください。自分の感情、気持ちになるがままに
まかせていてください。

静かな場所に、1人、こもってください。
楽な姿勢で椅子やソファーに腰かけましょう。
そこで、あなたの目の前に、1人の人物がやってくるのを
想像してください。それは、小さな子供のころのあなたです。
その子供とあなたが対面します。

しばらく、その子供といっしょにいて、そしてどんな気持ち、
感情があなたに沸き起こってくるか、それを充分に感じていてください。
ただ、感じていてください。

⑤意味づけ(認知の仕方)を変えてあがり症を治す

意味づけの力は重要です。あなたに影響を与えるのは、
出来事そのものではなく、あなたがその出来事にどんな意味を与えたか
なのです。

どんな意味づけをすればいいのか?答えは単純で、都合のいい意味づけを
するということです。あなたにとって都合のいい解釈をするのです。
そして、これは大切なのですが、都合の悪いことは無視できるように
なることです。

もちろん、いつも上手くできるわけではありません。
状況によっては、それが難しいこともあるでしょう。
ですが、訓練と習慣化によって、あがり症を生むような
ネガティブな意味づけをする癖を弱めて、自分にとって
都合のよい解釈をする癖を強化することはできます。

K.失敗を無視してうまくいったことだけに注目する

 

あがり症を悪化させる悪習は、うまくいったことは無視して、
失敗だけに注目することです。なら、その反対のことをやれば
いいのです。
事実、失敗に注目して、なぜうまくいかなかったのか、
その原因を探ってもあがり症は治りません。悪化するだけです。
失敗の感情を脳が強く記憶してしまうからです。

失敗には注目しません。掘り下げません。放っておけばいいのです。
失敗に注目することはあなたを惨めな気持ちにさせて、あがり症を
醜くさせるだけです。なので、うまくいったことだけに注目するように
しましょう。

うまくいったことには大いに注目し、取り上げ、喜び、
その感情を脳に記憶させるのです。

L.あがり症の症状は自然な反応

 

あがり症における様々な身体症状、例えば心臓がドキドキする、
声が震える、赤面する、大量の汗をかく。
それらの症状を異常なものとみなしていませんか?
確かにあまり心地の良いものではないでしょう。
ですが、それはおかしなものではありません。
自然な身体の生理現象ですし、あなたは正常です。

あがり症ではない人でもそのような症状は起こります。
ただ、あがり症の人は少し神経が敏感なのです。
だから、恐怖や不安などの刺激に身体が反応しやすいのです。
それだけのことです。程度の差があるだけなのです。

そんなふうな視点から過去のことを見つめ直してみましょう。

「あのときは、声が震えて手も足もガタガタだったけど、
敏感な神経を持っているだけで、別におかしなことではなかったんだ」

都合のいい解釈でうまく過去の経験を再構築することは、
次に同じような場面に遭遇したときのあなたの思考や行動を変える
ことができます。

M.広い視野を持つこと

 

あがり症の人は、視野が極端に狭くなりやすい傾向にあることは、
すでに言ってますが、視野が狭いと、現実的な思考ができなくなったり、
偏った結論を下しやすくなります。

たった1つのできごとから、全てを決めつけてしまわないようにする
ことです。

1、不安や恐怖を感じる状況でいつも思うことを書き出す

 

例えば、人前で話すときに声が震えてしまったり、言葉に詰まったりした
状況。そのとき、どんな思考が頭を巡るかを書き出すのです。

・声の震えにみんな気づいたに違いない

・おかしな人だと思われたかな

・話しが下手だと酷評されてしまうだろうな


2、その状況で別の考え方はできないか?

 

続けて、「もっと、楽になれる考え方はできないかな?」と
自問しましょう。同じ状況で、もっと広い視野の柔軟な思考は
ないかどうか、、、それを見つけて、書き出していきます。

・別にたいして気が付いていないだろう。多くの人間は鈍感だし。

・おかしいやつだと思う人なんて、全体の1割もいない。

・たいして、気が付かれたくらいの震えではなかった。誰も
 気が付いていないだろう。

⑥あがり症の恐怖を克服する

 

④と⑤で、それぞれあなたの中にある信念と、あなたの物の捉え方、
認知の仕方を修正する方法を考えました。これでも症状は大きく緩和
され、気持ちも楽になっていくでしょう。
ですが、それだけでは十分ではありません。

あがり症の恐怖、つまりは「また、あがってしまうのではないだろうか」
という恐怖心を克服して、思考レベルではなくて感覚レベルで
「怖くない」ということを理解する必要があります。

それには、頭で考えているだけでは不十分です。実際に不安や恐怖心
を抱く対象に立ち向かい、その実体験の中で「なんだ、それほど
怖くないじゃないか」と脳に思い込ませていくのです。
これによって、不安や恐怖は確実に軽減されていきます。

N.不安を感じる状況をいくつかピックアップ

 

あなたがどんな場面で、どんな状況で不安や恐怖を感じるのかを
ピックアップしましょう。
「あがってしまうのではないか?」と不安を感じて、
行動を躊躇してしまうような場面は、どんな場面ですか?

・お店に電話をかける

・映画館でチケットを買う

・100人の前でスピーチをする

などなど。

O.難易度順に並べ替える

 

ピックアップしたものを難易度順に並べ替えます。
必ず、不安や恐怖の低いものから順番に実践していく
必要があるからです。

P.易しいものから少しずつ実践していく

 

実際に難易度の低いものから実践していきます。
不安や恐怖を感じる対象に勇気をもって立ち向かうのです。
必ず、易しいものから実践してください。
それほど、抵抗がないものから行うことです。

そして、「繰り返し」も大切です。同じ対象であっても
何度も何度もその場面を体験することで、恐怖心は
その繰り返しの回数に比例して薄まっていきます。

あがり症の治療において、この「実際の体験」に勝るものは
ありません。実際に不安に立ち向かい、その体験の中で
「これは怖くない」と体感覚レベルで実感すること。
これが、あがり症の恐怖を拭い去ってくれるのです。

あがり症、極度に緊張してしまう原因を考えて、その原因と向き合い、
脳の中にある情報の意味づけを上書きしてやるのです。
そして、実践していく。ここ1番のときは、誰でも緊張するものです。
意外と緊張していても他人から見たら緊張しているように見えないことが
多いと思います。それに、緊張してもいいと思います。
私の尊敬する経営者の方で、ものすごくあがり症の方がいるのですが、
「私は、極端なあがり症でわかるでしょう?」といつも言われています。
震えながら大勢の前で話されているのを聞いてたことがありますけど、
話しの内容に感銘を受けて、社長が思われているとは逆に一所懸命さが
伝わってきて、流暢に話す方よりも感動しました。
緊張しているのがわかるのは問題ではないと思います。
こういう場合、内容は問われると思いますが。
受験生が入試本番で緊張してしまうのをどうすればいいか?
「自分はできる」「自分は合格する」などのプラスな言葉を
紙に書いて、毎日見ることです。脳は、自分が思ったとおりのことを
しようとします。ここで大切なのは、頭で思うだけではなく、
必ず紙に書くということです。簡単に実践できることなので、
ぜひ、やってみてください。

 

 

 

終わりに

いかがでしたか?

 

目次
  1. はじめに
  2. ①あがり症に関わる脳のしくみ
    1. A.情報の選別
    2. B.選別した情報に対しての意味づけ
    3. C.脳の認知システム
  3. ②あがり症を悪化させる認知の癖
    1. D.極端な情報選別
    2. E.一般化
    3. F.自分が悪いと思い込む
    4. G.上手くいった点は無視し、失敗だけを過大評価
    5. H.根本原因、、、
  4. ③あがり症の治療はどうする?
      1. 1.誤った信念を取り去る。
      2. 2.適切な意味づけ(物事の捉え方、解釈)ができるようにする。
      3. 3.恐れを克服する。

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