マシュマロ実験
受験生のみなさん!こんにちは!今までにない超絶個別指導の武田塾広島校です。
今回は、※熟考システムを働かせて余計な情動を抑えられる人は、
生涯を通じて”勝者”となりやすいということを証明してしまった
心理学や脳科学の世界ではとても有名なマシュマロ実験の話しです。
(※は、前回のブログ「人間らしい判断力」を見てください)
これが最初に行われたのは1970年のことでした。
場所はアメリカのスタンフォード大学。
対象となったのは、4歳の子供たち186人でした。
まず、子供が1人ひとり部屋に呼ばれます。机にはマシュマロが1つ、
皿の上に置かれています。そして実験者は子供にこう伝えます。
「わたしはいまから用事があってこの部屋を出なくちゃいけない。
でも、15分後に帰ってくるよ。そこでもし君がマシュマロを食べずに
残しておくことができたら、そのときはもう1個マシュマロをあげよう。
でも、もし君が食べてしまったら、もうマシュマロはあげられないよ」
こうして実験員が部屋を出ていった後も、部屋の様子は監視カメラで
観察され続けました。すると子供たちは、マシュマロを触ったり、
匂いをかいだり、はたまた自分の目を手で覆ったり、後ろを向いてしまったりと、
さまざまな反応を示しました。
ただ、大半の子供はマシュマロをすぐに食べることはせず、少なからず
がまんしようという努力は見せました。果たして15分後の結果は・・・・・。
全体の約3分の2の子供はがまんできずにマシュマロを食べてしまいましたが、
残りの約3分の1の子供はなんとか15分間がまんして、2個目のマシュマロを
手に入れることができました。がまんできた子供の多くは、前述のように
マシュマロができるだけ目に入らないように工夫していた子たちでした。
さらに、この実験には続きがあります。
18年後、その子供たちが22歳になったときに追跡調査をしてみました。
するとマシュマロを食べてしまったグループより、食べなかったグループ
のほうが成績優秀者が多いという、統計的に有意な結果が出たのです。
さらにさらに、その23年後、つまり彼らが45歳になったときにもう1度、
追跡調査が行われました。するとマシュマロをがまんできたグループのほうが
明らかに社会的地位が高かった。いうなれば、より”成功”していたのです。
目先の欲望にとらわれることなく、長期的な利益を考えて判断できる人は、
人生で成功しやすいのです。
動物の進化の過程で古くからある部分といわれている大脳辺縁系は快感や喜び
、不安、恐怖といった情動を司る器官で、ここが働いた子供たちがマシュマロ
を食べたグループになります。ヒトにおいて最も発達した大脳。その表面を覆う
大脳皮質は進化において新しい部分で、とりわけ前頭葉は霊長類に比べてヒトで
最も大きくなった部分です。前頭葉の前頭前野(ぜんとうぜんや)は脳の
さまざまな領域から集められた情報に基づき判断する脳の最高中枢です。
この前頭前野が働き「熟考」できた子供たちがマシュマロを食べなかったのです。
この人間行動に関する検証で最も成功した実験の1つともいわれている
マシュマロ実験の結果を裏返せば、子供時代の自制が利くという資質は
大人になってからもずっと継続するということです。
ヒトの特権である「よく考える」ということを意識して行動してください。
自分でよく考えて、また、人とよく話しましょう。
ヒトの言語が、動物の信号と異なるのは、
文法を持っていることです。
言語をツールとして抽象的な思考もできるようになり、
言語を使うことで高い知能を得ることができたのです。
フィアネス・ゲージ
受験生のみなさん!こんにちは!今までにない超絶個別指導の武田塾広島校です。
今回は、有名なフィアネス・ゲージの事故でわかるヒトの前頭葉の役割の話しです。
フィアネス・ゲージとは、だれなのか。
前頭葉の機能は、19世紀にアメリカで起きた爆発事故に巻き込まれ、
脳に大けがを負った、フィアネス・ゲージの症例によって大きく注目されることに
なりました。爆発のあった工事現場で働いていた彼のけがは、鉄の棒が頭を貫通し、
前頭葉の大半を失ってしまうものでした。彼は奇跡的に命を取り留め、
鉄の棒を抜いて治療を行い、健康的な生活を送ることができ、運動機能や記憶は
失いませんでしたが、人格は大きく変わってしまいました。
事故前は、温厚で几帳面、熱心に仕事をしていたのですが、
事故後は、こらえ性がなく、粗暴で衝動的な行動をとるようになりました。
この出来事がきっかけで、人間の個性や性格、意識や心が前頭葉にあるのでは
ないかと考えられるようになりました。事故の前後で性格が激変し、
真面目で礼儀正しい好青年から、無責任かつ衝動的な人間となったことから、
前頭葉が情動の抑制や常識的な判断と深く関係するということがわかりました。
★ゲージの事故
1848年9月13日、25歳のゲージは、作業員の職長として、バーモント州
の町カヴェンディッシュの外れで、ラットランド・アンド・バーリントン鉄道の
路盤を建設するための発破を行う任務にあたっていました。爆薬を仕掛けるために
岩に深く穴を掘り、火薬・ヒューズ・砂を入れて鉄の突き棒で突き固める作業が
ありました。ゲージはこの仕事を午後4時半ごろ行っていましたが、突き棒が岩に
ぶつかって火花を発し、火薬が爆発して、彼がそのとき扱っていた
直径1と4分の1インチ、長さは3フィートと7インチの道具が彼の頭部を貫き
ました。鉄の棒は彼の顔の横から入り、左目の後ろを通り抜け、頭頂から抜け出し
ました。
重量が6kgあったこの鉄の棒は、血液と脳にまみれて25mほど先に落ちたと
いわれています。
驚くべきことにゲージは数分も経たないうちに口を利き、ほとんど人の手も借りずに
歩き、街にある自宅への1.2kmを荷車に乗っているあいだ背筋を起こしたまま
座っていました。
最初に彼のところへ到着した医師はエドワード・H・ウィリアムズ博士でした。
「私は馬車から降りるより先に彼の頭部の傷口に気がついた。脳の血管の拍動が
はっきりと見てとれた。ゲージ氏は、私がこの傷口を調べているあいだ、周囲の人
に自分がけがを負ったときの様子を語っていた。私はそのときゲージ氏の述べる
ことを信じず、彼は騙されたのだと思った。ゲージ氏はその棒が頭を貫通したのだ
と言い張った。・・・ゲージ氏は立ち上がり嘔吐した。嘔吐しようと力んだため、
ティーカップ半杯ほどの脳が押し出され、床にこぼれ落ちた。」
ジョン・マーティン・ハーロウ医師が1時間ほど後にこの症例の担当となりました。
「こう評しても皆さんお許しくださるでしょうが、私の見せられた状態は、
軍隊の外科処置に慣れていない者が見たら、まさにおぞましいといえるものでした。
しかし患者は、最も英雄的な断固さをもってその苦痛に耐えていました。
彼は私が誰だかすぐ認識し、けががあまりひどくないと良いがと言いました。
彼の意識は完全に清明であるようでしたが、出血のため体力を消耗していました。
脈拍は60で整。彼の身体も、横になっていたベッドも、文字通り一塊の血糊と
なっていました。」
ハーロウの熟達した診療にも関わらず、ゲージの回復には時間がかかり困難を
伴いました。脳圧が高かったため、ゲージは9月23日から10月3日まで
なかば昏睡状態にあり、話しかけられないかぎりほとんど口も利かず、
返事も1シラブル(音節)のみでした。友人や看護の者は彼が数時間のうちに
亡くなるであろうと予想しており、棺と死装束を準備していました。
しかし、10月7日にはゲージは起き上がることに成功し、一歩歩いて椅子に
たどり着きました。1ヵ月後には彼は階段の上り下りができ、家の周りを
歩いたり、ベランダに出たりすることができました。そして、ハーロウが
1週間留守にしているあいだゲージは、日曜以外は毎日通りに出ていました。
彼は、すぐに熱を出したが、11月半ばまでには「あらゆる点で以前より良好で、
再び家の周りを歩いている。頭は全く痛くないとのこと。」
この時点でのハーロウの予見は以下のようでありました。
「ゲージは回復の方向に向かっているようである。ただし、制御できるならばだが。」
★事実の歪曲と症例の誤用
ゲージが事故後に何らかの行動様式の変化を起こしたことは間違いありません。
しかし、書籍や新聞記事などは、ハーロウやその他のゲージと関わりのあった
人物が話したよりもはるかに大袈裟な言葉で、この変化について述べています。
心理学者のマルコム・マクラミンは、著作「奇妙な種類の名声ーフィアネス・ゲージ
の物語」の中で、この症例の評価の程度を(科学的な面と大衆文化的な面の両方から)
調査し、評価がまちまちで一致せず、特に確証にはたいして基づいておらず、
ときには全く逆の事すら述べていることを見出しています。
ゲージが行ったと記述されている行動で、実際の事実の裏づけが無かったり反して
いたりするものには、酒酔い、妻や子供への虐待(ゲージには妻も子供もいなかった)
、先見の明の完全な喪失、仕事に対する無能さや拒否、自慢癖、自分の傷跡をやたらと
見せびらかしたがる癖、嘘言、賭け事、口論、威張り散らす癖、窃盗などが
挙げられます。ある医学部の教材では、ゲージを「幼い子供たちに性的な悪戯をした
件で告発された」と紹介しているものすらあります。これらの行動のうちのどれ1つ
として、ハーロウも含む実際にゲージと知り合いであった者や家族の者によって
報告されたものはないのです。
マクラミンは、ゲージが仕事に就くことができなかったことを言い表していると
誤って解釈されがちな文章~「さまざまな職場で働き続けた」、仕事をこなしきれず
しばしば転職し、「どの職場で働こうとしても彼はうまくやっていけそうにない
理由を見つけ出してばかりいた」~の中で、ハーロウはゲージの事故後の生活全体に
わたってのことを述べているのではなく、痙攣が始まった死の直前数ヶ月のみに
ついて述べているのだと指摘しています。(事故から12年後1860年に死亡)
頻繁に引用されている文献上の記録の誤りを訂正するという当然ながら重要なことの
ほかにも、マクラミンは「フィアネスの話しは、小さな事実の積み重ねがいかに
簡単に、大衆的なまたは科学的なお伽話としてまかり通るようになってしまう
かということを具体的に示しているという事からも、覚えておくべき価値がある」
また確証の貧弱であることが「我々の手元にあるわずかな事実に、ほとんど
あらゆる理論が当てはめられてしまっている」ことに結びついていると述べています。
同様の疑念点が、古く1877年にも述べられています。
英国の神経学者デイヴィッド・フェリアは、「この問題をはっきり結論づける」意図
で米国に手紙を書き、「脳の疾患や損傷に関する報告書を研究するうちに、私は、
お得意の理論なぞを抱える人々によって押し付けられる不正確さと歪曲に
驚きっぱなしになった。事実がとてもひどい扱いを受けている。」と訴えました。
かくして、19世紀に生じた多様な精神機能は脳の特定の部位に局在しているのか
どうかを巡っての議論は、どちらの派も自分たちの理論を支持するために
ゲージの症例を引用する方法を見つけました。
ケージの一件から生まれた術式ー「ロボトミー手術」
骨相学者たちもゲージの症例を利用しました。
しばしば言われることですが、ゲージの身に起きたことは後の精神外科の多様な形式
の発達、とりわけ※ロボトミーの発達に一役買っています。
ゲージの症例が精神外科に直接貢献したという確証は存在しません。
彼の症例からわかったことは、彼が事故から生きながらえたという事のみに由来
しています。必ずしも死に至るような結果を出さず、たいていの脳の手術は可能
なのです。
※ロボトミーとは
人を「ロボット(robot)」のようにしてしまうからロボトミーという誤解が
日本において1部あります。
ロボトミー(lobotomy)は、肺や脳などで臓器を構成する大きな単位である
「葉(lobe)」を一塊に切除することを意味する外科分野の術語です。
ロベクトミー(lobectomy、葉切除)と同義です。
ここでいうロボトミーとは「前頭葉切除」を意味し、「大脳葉にある神経路を
1つ以上分断すること」と定義されます。
肺がんなどのため肺の1部を葉ごと切除することもロボトミーの1種であるが
臨床ではロベクトミーのほうが用いられます。
フィアネス・ゲージの事故がきっかけで、人格の形成と前頭葉の関係に
注目が集まり、脳の研究(脳科学)が始まったとされることだけは
間違いなさそうです。
そして、その後の研究で前頭葉や海馬のしくみが明らかになりつつ
あるのです。
ロボトミー手術の今
上記で述べたように、ロボトミー手術は、重度の精神疾患を持つ重篤な患者に対する根本的治療であるとして、一躍脚光を浴びました。
この処置を最初に考案したポルトガルの神経学者エガス・モニスは「ある種の精神病症状に対するロイコトミーの治療的価値の発見」に対して1949年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞しました。
しかし、
前頭葉の機能がさらに明らかになるにつれて、この手術は、てんかんや昏睡を生じさせる原因としても明らかになり、この副作用は、ノーベル賞の受賞についても、方々から撤回する要請があるほどで、現在では、一切行われていない術式である。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回のテーマは「前頭葉のはたらき」についてでした。
前回は、大脳の深いところに位置する「大脳辺縁系のはたらき」についてでしたが、
脳のはたらきには、中々興味深いものがありますね。
実は、今回の2つのテーマには、もう一つ共通点があります。
それは、英語のルート内に含まれる「とある」参考書の長文の内容であることです。
受験本番に、こうした内容が、英語で出てきたら、読むことが出来るでしょうか?
多くの受験生は専門的な単語に対してだけでなく、
論展開やストーリーの流れを追うことに対しても、難しいと感じていると思います。
その時に、こうした背景知識が、合否を分けるカギとなることもあるのです。
共通テストまであとおよそ100日となってきました。
単純な知識だけでなく、周辺知識も含めて、
より多くのことを学び本番を迎えられるよう、
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