何故、繰り返し学習すると記憶が定着するのか
受験生のみなさん!
こんにちは!今までにない超絶個別指導の武田塾広島校です。
記憶を定着させるには、繰り返し学習することだということはわかっていますよね。
では、何故、繰り返し学習すると記憶が定着するのでしょうか。
ブログで何回か書いていると思いますが、記憶の定着を司るのは海馬ですが、
海馬は、ヒトや霊長類の脳の特徴である大脳新皮質ではなく、その内側にある
古くからある領域の大脳辺縁系にあります。大脳辺縁系は、海馬、扁桃体、
帯状回、脳弓などの部位で構成されています。
大脳辺縁系は、本能や恐怖といった
無意識にわく原始的な感情や、物事に対する意欲、記憶、自律神経系の活動などに
かかわっています。
記憶は勉強などによって意識的に行っていると思うかも
しれませんが、好きなことは早く覚えられたり、苦手なことはなかなか覚えられ
なかったりします。これは、こうした原始的な脳の働きによるものです。
大脳辺縁系は、動物脳といわれていて、動物が生きていくうえで欠かせない部分を
担っていると考えられています。
動物脳にある海馬は、記憶を整理して覚えるべきものとそうでないものとを区別し
覚えるべきものと判断した記憶は大脳皮質に送られるのですが、海馬が覚えるべき
ものと判断するのは、人間(動物)が生きていくうえで必要なものになります。
腐ったものを食べるとお腹が痛くなるとか大きな動物に襲われたら危険とか
そういうものです。ですから、英単語などを記憶しようと思っても必要な情報とは
判断されないのです。英単語を繰り返し繰り返し記憶することによって、
こんなに同じ情報が繰り返し来るのだから必要な情報に違いないと海馬が判断する
ようになります。そして、大脳皮質に保存されます。
大脳皮質で記憶が長期保存されるといっても、記憶専用の特別な細胞でコンピュータ
のデータのように貯蔵するのではありません。
記憶は、シナプス(神経細胞同士のつなぎ目)が組み合わされて回路を形成し、
持続することによってつくられると考えられています。
海馬から送られてきた記憶の情報は、電気信号として大脳皮質の神経細胞を刺激
します。その記憶の刺激が強くなるほど、多くのシナプスが組み合わせられて
伝達の効率が増し、特定の電気信号が通りやすい特別な回路ができる。
その回路が長時間にわたって持続することで記憶が保たれるのです。
記憶を引き出すときは、その記憶の回路に電気信号が流れて思い出します。
★記憶のカギを握るスパイン
近年、記憶を定着させることにかかわる神経細胞の構造が明らかになりました。
それが神経細胞の樹状突起にあるスパイン;spineです。
スパインとは「棘(とげ)」の意で、シナプスの情報を受け取る側にできた
突起です。
繰り返し学習によって同じ情報を何度もインプットすると、同じスパインに
繰り返し情報が伝えられます。すると、特定のスパインが大きくなっていく
ことがわかってきました。スパインが大きくなると、信号を効率的に受け取る
ことができるようになるといいます。
また、スパインは、学習機会の有無にかかわらず変動をしていて、
小さいスパインのうちは、さまざまな要素で自然消滅しやすくなっています。
しかし、繰り返し情報が入り、スパインが大きくなると消滅しにくくなります。
つまり、繰り返し学習してスパインを大きくすることで、記憶が安定化するのです。
このようなヒトの脳の記憶のしくみからわかるように、
復習効果はあくまでも同じ対象に対して現れるのです。
1度決めた参考書は最後まで使い切りましょう。
意志を変えずに何度も繰り返し勉強するのです。
決断せよ。そして、いったん決心したことは必ず実行に移せ。
初志貫徹
人間らしい判断力
次は判断力の話しです。
人間がなんらかの判断を下すときには、主に脳の2つのシステムを使っています。
まず1つ目が、ものごとを迅速に判断する「反射システム」と呼ばれるものです。
その名のとおり反射的にものごとを素早く判断できることが特徴です。
よく”即断即決”などといいますが、それをするには「反射システム」が不可欠です。
そのかわりマイナス面もあります。それは速いだけに間違いやすいことです。
そして、”決断力がありすぎることによる弊害”もあります。
何ごともスパッと決められるのはいいけれど、深い思慮や緻密な計算が欠けている
ため、後になって大きな問題が発生してしまうこともあるからです。
この「反射システム」が働いているのは、脳の大脳辺縁系という部分です。
大脳辺縁系は、海馬や扁桃体があるところで、快感や喜び、不安、恐怖といった
「情動」を司る器官で、”情動脳”や”動物脳”などとも呼ばれます。
ある意味、とても”動物的”な器官なのです。
スピードは速いが大きな過ちを起こしかねない「反射システム」に対処するには
どうすればいいのでしょうか。
そこで注目したいのが、人間が意思決定をする際のもう1つのシステム
「熟考システム」です。
こちらの特徴は、「反射システム」に比べるとずいぶんスピードが遅いかわりに、
ものごとを慎重に判断できることです。たとえば「反射システム」なら
「あの人は悪い人だ」と拙速に判断するところを、「熟考システム」なら
「いや、ちょっと待てよ。あの人は悪い人に見えるけど、じつはいいところも
あるんじゃないか」と考え直すことができます。
いうなれば、ものごとを長期的な視野に立ってより正確に、合理的に判断できる
システムなのです。
1つ例を挙げてみましょう。多くの人が関心を集める「ダイエット」です。
じつはダイエットこそ、成功するかしないかはまさにこの「熟考システム」に
かかっているといっても過言ではないのです。
たとえばダイエット中に目の前に食べ物がある状況で、「反射システム」に
頼ってしまえば、「うまそうだ」「おなかがすいた」という情動が勝ってしまい、
すぐに「よし、食べよう」という判断を下してしまいます。
これが「熟考システム」ならどうでしょう。
「ここで食べたら、絶対に”食べなければよかった!”と後悔するだろうな」と
考えることができます。その結果、目の前の食べ物をなんとか我慢することが
できます。
”決断力のある人”と聞くと、とても頼もしくかっこよく見えます。
”優柔不断な人”と聞くと、なんだか頼りなくだらしない感じがします。
でも、日々の生活では、情動に任せてどんどんものごとを決めていくよりも、
長い目で見て慎重に判断したほうがいい結果となることがはるかに多いものです。
優柔不断は決して悪いことではなく、じっくり考えている証拠ともいえるのです。
ちなみに、「熟考システム」が働いているのは、脳の前頭前野という部分です。
その前頭前野のなかでも、主に背外側部(はいがいそくぶ)というところが
担っています。より人間らしい脳の部分です。前頭葉の前頭前野(ぜんとうぜんや)
は、脳のさまざまな領域から集められた情報に基づき、目標を定め、計画し、
目標が十分に達成されているか判断する、最高中枢としての役割を担っていると
考えられています。「熟考システム」を使ってじっくり考え判断するほうが、
つねに即断即決の「反射システム」を使う人よりも、人間らしく人として
知能が高いと、脳の使われる部位からもいえるのではないでしょうか。
そしてじつはある実験で、この「熟考システム」を働かせて余計な情動を
抑えられる人は、生涯を通じて”勝者”となりやすいということが
証明されているのです。
その実験については、また、次回のブログで
おわりに
いかがでしたか?
今回の2つのテーマの共通点は、「大脳辺縁系のはたらき」でした。
端的にいうなれば、合理での行動の蓄積は、本能での行動の蓄積に負けるはずがない、と言ったところでしょう。
受験まであと100日前後となってきました。
武田塾広島校は、頑張るすべての人を応援しています!!