みなさんこんにちは!
武田塾姫路校です。
今日は、「エビングハウスの忘却曲線」を紹介して、効果的な学習方法について考えていきたいと思います。
エビングハウスの忘却曲線とは?
人間は忘れる...悲しき生きもの
みなさん、「忘却曲線」という言葉は聞いたことがあるのではないかと思います。
「エビングハウス」というのは、人間の長期記憶について研究した、ドイツ人心理学者です。
この実験では、被験者に意味のないアルファベットを記憶してもらった後、どれだけ記憶を保持できているかを実験したもので、20分後には42%、1時間後には56%、一週間後には76%、一か月後には79%を忘れている、という結果が出ています。
つまり、一度学習しただけで何の振り返りやフォローもしなければ、遅かれ早かれ、人間はその8割を忘れてしまうのです。
もちろん、これは「意味のないアルファベットの羅列」の暗記ですから、私たちが行っている受験勉強と完全に一致するわけではありません。
しかし、彼が実験によって示した忘却曲線は、簡単に説明すると「人間は覚えたことを忘れ続ける」ことと、「復習をすることで定着率が高まる」ことを確実に表しています。
ということは、「人は皆、忘れる生き物」という大前提の下で、「新しいことを学習すること」と等しく、「適切なタイミングで復習すること」が重要ということですね!
また、これは意外と知られていないと思うのですが、忘却曲線が示すもう一つの大切なことは、「節約率」です。
これは人が一度覚えたことを再度覚えるためにかかる時間を表しており、「節約率=節約された時間÷初回覚えるのにかかった時間」という式で表すことができます。
例えば、英単語の暗記を初回で60分かけて行ったとして、次に復習するときに30分で出来れば、節約された時間は30分となり、節約率は30÷60=30、50%となります。
この節約率が高ければ高い程、「効率よく学習出来ている」ことになるわけです。
「覚えにくい」と自分が感じるところほど、節約率の高い学習と、完全な定着を目指していきましょう!
どんな工夫が必要か
しかし人間は工夫と努力ができる!強き生きもの
では、受験勉強においてはどのようにこれを活かすことができるでしょうか。
エビングハウスの実験のような「意味のないアルファベットの羅列」の暗記がしづらいのは、「ストーリー性」が全くないためと言えます。
関連の深い、一連の情報の暗記の方が、思い出しやすいのです。
(筆者は、以前に見た映画の大体のストーリーは覚えているのに、登場人物の名前が思い出せないとか、よくあります^^)
また、カナダの大学の研究では、「24時間以内に復習すれば、10分の復習で100%の記憶に戻る」ことが示されています。
つまり、受験勉強において、「ストーリー性が高いか低いか」は復習のやり方や回数に大きな影響を及ぼすわけです!
関連性の無い、あるいは低い項目、例えば英単語や古語、数学や理科の公式の暗記などは、忘れやすいわけですから、早く、かつ頻繁に復習を行うべきです。
反対に、ストーリー性の高い読解問題や演習問題などは、短い期間に何度復習を行っても、覚えていられる量に大きな差は出ません。
つまり「節約率」が低くなるのです。時間の使い方としてはイマイチです。
上記のようなことを踏まえて、自分の学習時間のうち、「復習に使う時間」をいつ、どれくらいとるのかを、考えてみてください。
例えば武田塾の英語なら
武田塾では、英語の学習を5本のラインの組み立て(それぞれ別のテキスト)で行っていきます。
①単語②熟語③文法④構文⑤長文読解、の5つです。
そして、まさにこの順に、関連性・ストーリー性が高まっていきます。
また、1週間のなかで、「4日間進めて、2日間は復習(7日目が次の指導日)」というスケジュールで進めていきます。
この2点を踏まえて、どのような工夫ができるかというと…!!!
●単語・熟語は、一日あたりの暗記範囲を、間を空けて2周行う+前日の復習+復習日2日間の復習
(続けて同じ単語をじーっと見るよりは、朝、昼、夜のご飯後などにさくさくと2周・3周と繰り返す方が定着しやすい)
●文法・構文は、翌日に「前日間違った箇所」の復習を15分程度行う+復習日2日間の復習
●長文読解は、「初見、一発勝負!」とじっくり内容理解を大切にする+復習日2日間での復習のみ
総合すると、ストーリー性の高いものは復習の回数が少なくて良い→低いものは復習の時間ではなく回数を増やす、ことが大切です。
また、同じ「4日間進めて、2日間は復習(7日目が次の指導日)」でも、①~⑤の英語の5つの要素の学習を、どれくらいのバランスで行っているか、によって復習の時間の取り方については変わってきます。
学習を始めたばかりの人は①~③、基礎ができてきて読解や演習にほとんどの時間を取っている人は④や⑤に力を入れていきますので、一日の学習時間の中でいつ、どれくらい復習を行うのが良いかは、学習の段階やレベルによって適宜調節が必要です。
このように効果的な復習を繰り返していくことで「見たことあるけど解けない問題」を減らしていくことが、点数を伸ばしていくために最も大切なことなのです。
おわりに
最後にもう一つ、武田塾の学習方法で大切な復習に対する考え方があります。
それは、「一冊のテキストをやりぬく」という方法です。
特に英単語や文法、古語、漢字などのストーリー性の低い暗記系のテキストは、一週間で定められた範囲を覚えていくことの積み重ねの先に、「一冊の完成度」が求められます。
やり終えたテキストは、どこから、どんな問われ方をしてもしっかり答えられる!という状態になるまで、1か月、3か月などの長いスパンで何度も繰り返して覚え直しを行います。
受験勉強が深まって、大学の過去問に立ち向かえるレベルになってきたら、これまで取り組んできたテキストからランダムに問題を選ぶなどして、絶えず「記憶を更新する」ことにも、ある程度時間を取っていく必要があるでしょう。
学習の仕方についても、いつでもご相談くださいね^^
教室でお待ちしています!