今回は現代文を読むための武器の一つ。
語彙力・テーマ力についてです。
国語は論理を読み取る能力が必要ですが、前提知識がないと難しい科目でもあります。
例を出してみましょう。
例文
過去の事実をキリスト教的な終末史観に基づき解釈する。このように、聖書の出来事と歴史を連続的に見ることを普遍史観と呼ぶ。啓蒙主義以前に主流だった歴史観だ。
普遍史観のように実証に基づかない法則で過去を解釈することは前近代的な印象を持つかもしれない。しかし、現代でも占いの結果が悪かった場合、過去の出来事をその占いによって歪曲して解釈する。よって、呪術的な見方は人間にとって根源的な思考といえる。
ブログ作成者があえて難しい言葉使ってることは目を瞑って下さい。
上の文読んで、どんな内容か自分で自分に説明してみて下さい。
説明できる人は、現代文を読むための前提知識が結構豊富ですね。心配しなくていいでしょう。
一応、以下では上の文章を解説します。
テーマ力の例～キリスト教徒と啓蒙主義～
まず、前半の「キリスト教的な終末史観」。これ、キリスト教の教義が分かってないと何のことだ？？と考えると思います。
キリスト教は、ただ1つの神がその他全てを統治する世界観です。日本のように、トイレの神様やロマンスの神様が存在する世界観ではありません。（一神教⇔多神教）
その神が7日間で天地創造をした後、アダムとイヴという2人の人間を作りました。この人たちは、全人類の祖先なのですが、悪いことをしたせいで消えない罪を抱えてしまいます。
その後の人類もこの罪を抱えてしまいます。（原罪）
罪を抱えてしまった全人類は、世界の終わりに罪を赦されて天国に行くものと地獄に落とされるものに選別されます。神による最後の審判です。
これが、キリスト教における終末です。
新約聖書の最後に記述される黙示録では、終末の前に世界は未曾有の災害が起きるとされています。また、それ以前から世界は悪化すると書かれています。
これが終末史観に繋がる。キリスト教を前提とした歴史では、過去の出来事は、終末への序章として記述されることとなります。
キリスト教徒は最後の審判で天国に行くために、善行を行う訳ですが、まあそんな話はおいておきます。
次、啓蒙主義ですね。
啓蒙主義は18世紀ヨーロッパで流行した、理性を根拠とした人間の社会や在り方を目指す考え方です。
理性は、神話の物語を信じる普遍史観とは反対の意味ですよね。
というわけで、啓蒙主義以前と啓蒙主義以降が理性をキーワードとして対比されていることが分かります。
でも、それを読み解くためにはある程度知識が必要でした、という話です。
語彙力の例
後半はあえて、「実証」とか、「歪曲」とかややこしい言葉を使っていますね。
この言葉の意味が分からないとちょっと読み辛いんじゃないかなぁ～と思います。
どっちも別に人文社会系の専門用語ではありませんが、馴染みのない言葉かもしれません。
まあ、「実証」の意味は
「事実を証しする」から「事実に基づいて証明すること」
「歪曲」は
「歪めて曲げる」から「物事を歪めて曲げること」
といった感じで、使用されている漢字の意味を組み合わせたら予測できますが・・・。
「呪術」は物事の間に存在する実証できない法則のことです。
雨乞いしたら雨が降る。雨乞いと降雨との間に物理的な因果関係はありません。
でも、昔の人はこの実証できない因果関係を本気で信じていたわけです。
語彙力やテーマ力を鍛えるには？
語彙力やテーマ力を鍛えるにはどのような勉強が必要でしょうか。
まず第一に朝の時間のニュースを見ましょう。オススメはNHKのおはよう日本です。
筆者がNHK以外の朝のニュースをほとんど見たことがないのですが、他局はどうでもいいゴシップネタが多くて見る価値がないと思います。
知らない言葉や、背景が分からない時事問題は親に聞いたりネットで調べましょう。
これが、一番簡単な語彙力を増やす方法だと思います。
ニュースを通して政治や経済といった社会の構成も理解することができます。評論文は社会的背景があって書かれているので、社会のこと知らないと読めないです。
自分はあまり背景知識で現代文の読解に困ることがなかったですが、生徒を見ているとそこが弱点の子が多いです。
どこに差があったのか考えたら、ニュースを見てるときに気になることや知らない言葉があったら親に聞きまくっていたのを思い出しました。
あとは、手塚治虫作品結構読んでたからですかね。
『火の鳥』とか『ブラックジャック』とか、普遍的な問題に切り込んだ作品なので、中高生になったときに社会で習ったことと漫画の内容が結び付いて、理解の手助けになった気がします。
問題集や参考書だと、漢字帳とキーワード集をやるといいです。
漢字帳だったら『漢字マスター1800＋』とか『活きる漢字・語彙』とかがいいと思います。
キーワード集は『ことばはチカラだ』『現代文キーワード読解』あたりがオススメです。
あとは現代文の問題読むときに、知らない単語を毎回調べることですかね。
ノートにまとめておいて、定期的に見直せた方がいいです。
小説の場合は、感情を示す語句を調べておくことですね。よく、傍線部と同じ感情を表現している語句を選びなさい、みたいな問題があります。
感情だからフィーリングでは？と勘違いしている人も多いですが、語句の意味を知らずに当てずっぽうで選んでるからだと思います。
ちゃんとネットや国語辞典で調べたら載ってます。普段から調べましょう。
語句を選ぶ問題が来たら、知らない表現がたくさん知れてラッキー！くらいに思わないといけません。
これは評論文も同じです。
一つ重要なことを加えるなら、新しく知った語彙や知識が普段のニュースや授業のテキスト内に出てきたときに気づけるようアンテナを張ることです。
知識は自分の経験と結びつくと、より理解が深まり忘れづらくなります。
学んだことを活用するよう意識しましょう。
まとめ
・現代文の読解には語彙力が必要
・語彙力を鍛えるにはニュースを見よう
・単語帳＋検索で語彙力を増やす
上の3つをオススメします。
まずは朝のニュース見るのと、国語の教科書で知らない言葉を調べる習慣付けからしたらどうでしょうか。
1年で読む文章の量は高が知れているので、早めに習慣付けることを薦めます。
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