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実生活にも生かせる?現役医学生が語る!数学を学ぶ3つの意義

「国語・数学・英語・理科・社会の中で実生活において最も使わないと思う科目は何?」と聞かれたら何と答えますか?

おそらく「数学」と答える人が多いのではないかと思います。

確かに、簡単な方程式や確率とかならまだしも、三角関数や微分積分などは日常ではあまり使いませんよね。

ゲームや3Dプリンターなど様々なものに応用されている事を知っているかもしれませんが、専門家だけが学べばいいじゃないかって思う人も少なくないでしょう。

自分は今医学部という理系学部にいますが、その立場から言わせてもらうと、数学を使う場面は殆どないといっていいでしょう。

今話題のPCRなどで感度・特異度といった言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、それも簡単な確率の話なので難しい数学は出てきません.

その為、なぜあんなに難しい数学を解かされたのかは甚だ疑問ではありますが、それでも数学自体は学んでおいて良かったなと思う場面は数多くあります。

日常生活でどう生かせるのかを僕個人の意見として3点述べていきたいと思います。

 

1点目:文章を図や式に、図や式を文章に表す事が出来るようになる

「はい、来た!結局お前も数学が好きな人間なんだろ!俺の気持ちなんか分かるかよ!」って思ったかもしれませんが、少しだけ待って下さい…。話せばわかります…。

皆さんも文章題の問題を式に直して解いた事があるかもしれませんが、それは物事をできるだけ単純に分かりやすくする為です。

例えば、1個150円のリンゴを3個・1房300円のブドウを5房買った時の値段と、1個150円のリンゴを6個・1房300円のブドウを5房買った時の値段、1個150円のリンゴを3個・1房300円のブドウを4房買った時の値段を計算してって言われた時。

1個150円のリンゴをx個・1房300円のブドウをy房買った時の値段は150x+300yだから、xとyにそれぞれ代入していく方が、シンプルではないでしょうか?

「ん?そうか?」って思った方も数多くいると思うので、もう1つ例を。

ニュースで「経済成長率は前年度に比べ6.3ポイント上昇した」っていうような言葉を聞いたことはありませんか?

これって実際経済成長しているのでしょうか?

聞こえはいいですが実際そうとは限らないのです。

前年度の経済成長率がマイナス10%だったとしたら、6.3ポイント上昇したとしてもマイナス3.7%。

つまり減少の程度が緩やかになったよって意味にしかなっていないわけです。

これはグラフをみればすぐ分かりますが、大事なのは聞こえのいい日本語を聞いて頭の中でグラフを考えられたかという事なのです。

逆も然りで、世の中には自分たちの都合の良いように、作られたグラフが数多く存在します。

それを頭の中で日本語として解釈した時おかしいことに気付けるかというのも重要です。

こういったことに限らず、様々な物事を自分のやりたい事・やりたくない事、しなければいけない事・しなくてもいい事という基準で、グラフや表で分類すると整理されて分かりやすいと思います。

この様に、文章を図式化、あるいは図式を文章化するというのは色々な面で有用であり、数学はその一つの訓練になると思います。

 

2点目:説得力のある説明が出来るようになる

これも例を出しますね。

ある統計によると「アイスクリームの消費量が多い日は、溺死しやすい」らしいです。

アイスクリームを食べると溺死しやすい……そんな訳ないですよね。

いやそうとも言い切れませんが、原因がアイスクリームを食べる事で、結果が溺死というのは、かなり説得力に欠けるのではないでしょうか。

こう考えるとどうでしょう。

アイスクリームの消費量が多いのは夏の暑い日ですよね。

また、夏の暑い日はプールや海に行きやすく、溺死の機会も多くなってしまうでしょう。

つまり、アイスクリームを食べる事と溺死はどちらも結果で、夏の暑い日というのが共通の原因。

こっちの方がしっくりくるのではないでしょうか?

「そんなん言われんでも分かるわ!」って思われるかもしれませんが、意外と日常の中でもこういったもので溢れています。

これは「相関関係は因果関係を必ずしも意味しない」という話に繋がっていきますが、その話は置いておきます。

また、数学の記述問題で「この部分の記述抜けているから減点!」と言われたり、減点された答案が返ってきたりした経験があると思います。僕もあります…。

なんでだよって思ったこともありましたが、これは自分の答えが正しいっていう事を相手に伝え切れなかったって事なんですよね。

これは日常生活でも言えて、自分がやりたいことを相手に説明する時「俺がやりたいから!」だけの理由で通ることは徐々に少なくなっていきます。

なぜやりたいのか、やるとどういうメリットがあるのか、デメリットがあったとしてそれでもなおやるべき理由は何なのかなど、これらをきちんと説明できなければ(特に大勢の集団の中では)自分のやりたい事を実現させるのは難しいでしょう。

その訓練として数学はいいのかなって思います。

数学でいう場合分けを、自分の都合の良い場合以外も考えられているかをみる訓練として。

結論を導き出すまでの過程は、‘だから’、‘なので’といった接続詞で繋げても自分の説明は成り立っているかをみる訓練として考えてみるのはどうでしょうか。

 

3つ目:問題における解決策について優先順位をつけながら考えられる

こちらは数学の話でまず具体例を出します。

例えば、三角関数の問題をみたらまず何をしますか?

sin,cos,tanのいずれかに統一できないか、あるいは角度を統一できないかを考えると思います。

ベクトルの問題を見たらまず何をしますか?

始点を揃える、また一次独立なベクトルを平面ならば2本、立体ならば3本用意する、でしょうか。

また分野関係なしに、図形問題を見たらどうしましょう?

幾何の問題として解くのもいいですが、座標に置き換えたり、ベクトルの問題として見たり、また回転なども関わってくると数Ⅲで習う複素数平面(あるいは行列)で考えなければなりません。

「何言ってんの?」って思われた方はいずれ習うので安心してください。

とにかく僕が言いたいのは、数学というのは問題を解決する為の道具をどのように利用するのかを学ぶもの(あるいは道具そのもの)だという事です。

どんな問題集にも解説の一番初めあるいは一番最後に、‘方針’・‘考え方’などが書かれていると思いますが、実はこれこそが数学の醍醐味なのではないかと思います。

まず問題がどういう状態なのかを理解して、何をしないといけないかを優先順位をつけて考え、実践していく。

これは日常生活でも十分生かせるのではないかと思います。

医学生の端くれなので、それに関連したものから1つ例を挙げますね。

例えば、意識がなくて呼吸をしておらず脈も触れていない患者さんが運ばれてきた時にまずすべきことは何でしょうか。

こういった状況になるにも色々な原因があります。有名なのは心筋梗塞ですね。

では、まずすべき事はこの患者が心筋梗塞かどうかを確かめる事でしょうか。

違うって事は多分わかると思います。

まずは呼吸をしていない状況、脈が触れていない状況をなんとかしないと手遅れになってしまうからです。

心臓マッサージ(胸骨圧迫)や人工呼吸、電気ショックなどを行い、状態が安定してから原因を調べるべきです。

これは医療の話になりましたが、身の回りにも解決せねばならない問題で溢れていると思います。

まず問題がどういう状態なのかを理解して、何をしないといけないかを優先順位をつけて考え実践していく。

これは非常に重要で、その練習としても数学は学ぶ価値があるのかなと考えます。

 

長々と最後までお付き合い頂きありがとうございました。

あと一言だけ言わせて下さい。

このように偉そうに述べてきましたが、こういった事は受験を終え講師になってから感じた事です。

勿論今まで述べてきた3点を意識しながら数学を学んで下さるならば、これ程嬉しい事はないのですが、大抵の方は分からないと思います。

数学に限らず、色々な科目に言えることではありますが、まずは問題を解いていきましょう。

分からなければ問題の解法を覚えて類題を解きましょう。

何回も何回も繰り返す頃には自然と本質が、そしてその意義が理解出来るようになっていると思います。

今分からないからといって立ち止まったり、諦めたりするのは勿体無いです。

険しい道のりかも知れませんが、その先の輝かしい未来へと突き進んで下さい。

応援しています。

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