みなさんこんにちは!2023年3月開校!武田塾藤井寺校です!
「古文の勉強をしっかりしているのに、文章問題がなかなか解けない」
という悩みを持つ方は多いのではないのでしょうか?
単語・文法は大前提として、古文常識を知らないと解きにくい問題もあります。
古文に出てくる時代とは文化はもちろんですが、感性が今とはまるで違います。
なので、内容理解を問われる問題で今の感性で考えてしまうとなかなか正解できないという事態に陥るのです。
今回はそんな1000年前の常識についてまとめてみました!
宗教
現代の日本人は無宗教が多く、宗教と聞くとなじみがないと感じる方も少なくないかと思います。
しかし、昔の人たちにとっては仏教思想が道徳そのものでした。
仏様への祈りが足りないから病気になった!とみんなが当たり前にそう思っているような時代です。
古文の問題でも、仏教思想を前提として問われる場合もあります。
出家
問題集や過去問を見ていると、出家する話に一度は出会うかと思います。
坊主になって修行をするんだなーと思うかもしれませんが、昔の人にとって出家すると死んでしまうこととほぼ同義でした。(必ずではないです。)
出家するということは、この世との関係をすべて絶って仏に仕えることでした。
なので「出家する」となると家族とは永遠の別れになってしまいますし、自分で命を絶つことも少なくありません。
出家とは私たちの今の感覚よりも重たいものなのです。
昔の人は悲恋や出世争いに負けた時に出家をします。
それだけで?と思うかもしれませんが、これも仏教の考えが理由になっているんです。
功徳
功徳とは「善い行い」のことです。
今もいい行いをすると自分に返ってくるとか言いますよね。
昔の人たちは前世を信じていて、今悪いことが起きるのは前世の自分が何か悪いことをしたからだと考えました。
今悲しいことがあれば、来世のために功徳を積むしかない!来世では何の苦しみもなく生きたい!と考え、出家をしていたのです。
今の日本では「人は死ぬと天国に行く」と考える人が多いかもしれませんが、昔の日本の常識では、死んだ先に行きつく場所は「極楽浄土」でした。
出家をすれば、仏様のもとでいつまでも安心して幸せに暮らせます。
生まれ変わってまた苦しい思いをしたくなかったので、昔の人は「出家するぞ!目指せ極楽!」だったのです。
そのために、家族を遺して死んでしまう人も普通にいました。
今の感覚からすれば何で?となるかもしれませんが、古文の問題を解くうえではこの宗教観は覚えておきましょう!
貴族
貴族とは
古文の物語には貴族がよく出てきますが、文章の中には貴族という言葉は出てきません。
この時代の貴族とは、簡単に言えば「天皇と距離の近い人」です。
天皇の近くで仕事をし、いい領土ももらえるのでもちろんお金持ちです。
貴族は普通は血筋なので生まれた時からの身分です。都に宮殿を持っている人ですね。
有名な人であれば「藤原道長」などが貴族です。
成人
貴族が出てくる話を読んでいて、「初冠」という言葉を見たことはありませんか?
初冠とは「元服」と呼ばれる成人の儀式の中で行われるセレモニーのようなものです。
髪型をはじめて大人のように整え、冠を被る儀式です。
昔の人は今よりも寿命が短かったので、10代前半には成人の儀を執り行っていました。
今でいう中学生くらいの時にはもう成人だったのです。
そして成人した男性はすぐに結婚することが多くありました。
また、成人した男性は漢字を学びます。漢字を学ぶことを「才」と言います。
昔は平仮名はプライベートな文字で、きちんとした文書や仕事で使う文字は漢字だとされていました。
なので成人したらまずは漢字を学ばなくてはなりませんでした。ビジネスマナーのような感覚ですね。
和歌
古文を読んでいると度々和歌が出てきます。
昔の人は感情表現に和歌を使うことが多かったのです。
和歌においては、その内容よりもなぜその和歌を詠んだのか?という流れが大切になってきます。
修辞法ももちろん大事ですが、まずはその和歌をどういう感情で詠んだのか考えてみてください!
問題解決
昔は争いやもめ事があっても、和歌でその場が収まることがありました。
受験生からしてみれば、どういうこと!?と思うかもしれません。
問題が起きた時に、素晴らしい和歌を詠むことで周りの人を動かしていたのです。
和歌は身近な人だけではなく、貴族や自然までもを変えてしまっていたのです。
昔の人はそれだけ和歌の力を強く信じていました。
おとぎ話のようですが、当時は素晴らしい和歌であればあるほど力があると考えられていました。
素晴らしい和歌とは、修辞法が使われていることや、直接的ではない比喩や婉曲表現、その場に合った表現が即興でできているか、ということがポイントになっていました。
恋愛
恋物語には和歌は必須です!
今は片思いの相手がいたら連絡先を聞いたりするかと思います。
昔の人は和歌を送っていました。和歌のやり取りのみで結婚していたのです。
昔の恋愛は大半が一目惚れから始まります。
男性が家の中にいる女性を外から覗いて、一目惚れして、和歌を送って自分のことを知ってもらうという流れが一般的です。
知らない人にのぞき見をされて、会ったこともないのにラブレターが送られてくるなんて現代ではなかなか考えられないですが、それが昔の人の常識でした。
女性側の家の人たちが男性に見つけてもらえるようにわざと暖簾を上げたりしていました。
女性は送られてきた和歌には、和歌で返します。
女性が返す和歌には、相手を疑ったり拒否するような内容が多く見られます。
しかし、全く興味のない男性の和歌は無視するので、少しは相手のことを知りたいと思っているということです。
拒否する内容に対する男性の返答で、その人がどんな人かを見極めていたのです。
なので、私たちからしてみれば「拒否してたはずなのに結婚してる…?」となりがちなのです。ややこしいですね。
ちなみに古文の恋愛の話には「夢」がよく出てきます。
今は夢は自分の深層心理だと解明されていますが、昔の人は「夢にあの人が出てきたということは、自分のことを想っているんだ。だからわざわざ夢に現れたんだ。」という考え方をします。
これもわかっていないと混乱してしまうことがあるので、理解しておいてください!
まとめ
今回は古文常識についてまとめました。
今の感覚とは全然違うことがわかってもらえたかと思います。
読解が苦手な方は、現代の日本の常識ではなく、このような古文常識を念頭に置いて問題を解いてみてください!