古文・漢文は文系・理系、私立・国立問わず大学入試で必須科目となってきています。しかし、「古文・漢文が好き!」というより苦手意識を感じている生徒さんのほうが多いのではないのでしょうか。英語のように単語や文法ができていれば解けるようになるわけではなく、古文・漢文では単語や文法に加えて読解のルールや法則、複雑な活用、変化の知識も必須となります。一見シンプルな科目のように思われる古文・漢文をできるようにするためには、膨大な量の知識を身に付ける必要があります。そこでこのページでは、古文・漢文に苦手意識を感じていて学習がなかなか進まない方を対象に、武田塾の先生がその攻略法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
古文攻略法①:人物を特定しよう
敬語に着目し主語を補おう!
古文が苦手だから対策をしっかり立てなければ!と思っていても、ほとんどの生徒さんは何から手を付けたらよいか迷っている方もいらっしゃるかと思います。そんな方はまず、文章の登場人物に注目しましょう。古文の文章問題を解く上でまず注意するべきことは、発話や行動が「誰の」行為なのか特定することが必要です。ほとんどの古文の文章の場合、精読しようとしてもある行為の主語がなかったり、省略されている単語が多くあるため、それらの穴埋めをする必要があります。
それに関して、主語を特定するには敬語に注目してみましょう。敬語とは、動作の主語を高める尊敬語、動作の受け手を高める謙譲語、そして丁寧語がありますが、特に重要なのは尊敬語と謙譲語です。そこで、尊敬語と謙譲語を使った主語特定の方法を紹介します。
古文読解の一般的なルールとして、動作の主体を高める表現である尊敬語が使われている場合、自然とその行為の主語は天皇や大名など身分が高い人になります。尊敬語の場合は「お~になる」「~なさる」と訳すことが多いです。尊敬語の主語を判断するときに注意することが一点あります。それは会話文と地の文の中の尊敬語の解釈が異なることです。会話文の場合、その発話をするのは登場人物のうちの誰かですが、地の文の場合、物語を述べているのは作者になります。つまり・・・
・会話文の尊敬語・・・・・発話主→ある動作の主語に対する敬意
・地の文の尊敬語・・・・・作者→ある動作の主語に対する敬意
ということになります。例えばAが天皇、Bが百姓、Cが作者の場合、ABCの順で位が高いので、会話文の中で尊敬語が使われていると自然に百姓Bから天皇Aに対する敬意で動作の主語は天皇であるということがわかります。一方地の文の場合、百姓の身分に尊敬語を使うことはほとんどないため、作者から天皇の行為に対する敬意であると判断できます。本番の試験問題でも、「傍線部~が尊敬語か謙譲語か答え、誰から誰に対する行為なのか答えなさい。」というような設問が多いため、対策としては、文章を一通り読み、すべての動詞の主語を特定するという練習をするとよいでしょう。
一方、謙譲語は動作の受け手を高める表現なのでこのようになります。
・会話文の謙譲語・・・・・発話主→ある動作の受け手に対する敬意
・地の文の謙譲語・・・・・作者→ある動作の受けてに対する敬意
このように、尊敬語と謙譲語の違いをしっかり理解したうえで、文章の登場人物を特定し、「誰が」「誰に対して」「何を」しているのかを判断しましょう。
古文に苦手意識を感じている生徒さんの多くの傾向として、主語などの省略箇所がわからないままいきなり全訳しようとしてしまうので意味が分からなくなってしまいます。以上で紹介した古文読解のルールを参考にしながら敬語を利用して省略箇所を補いながら、現代語訳と同じ長さの文章を作っていきましょう。
古文攻略法②:全訳する必要はない
訳すことではなく解くことに注目!
以上で古文長文の解釈・読解の方法を紹介しましたが、そもそも古文の長文問題を全訳する必要があるのでしょうか。結論から言ってしまうと、全訳する必要はほとんどありません。必要となってくるのは国立大学入試の二次試験など限られており、センター試験や私立入試では、「長文をそっくりそのまま訳せ」、というような問いは試験時間の都合上ほとんど出題されません。
武田塾教務主任の中森先生曰く、古文は読めることではなくて問題が解けることが最終目標なので、古文の問題で正解を導くための「解く」方法を伝授します。
まず、古文の文章読解問題の冒頭には、その物語のあらすじや登場人物、場面設定などの前分が現代語で書いてあり、それがヒントとなる場合があります。これらは本文を読んだだけではわからない重要な情報なので、問題を解き始める前に必ず確認しましょう。
また設問の選択肢もヒントになる場合があります。というのも、用語穴埋め問題などの選択肢はたいてい現代語で記されており、文章を解釈していくうえでその選択肢の意味を参考に読み進めていくことができます。しかし選択肢の中には、まったく関係のない用語が含まれている場合があるため注意しましょう。
以上で古文の攻略法を紹介しましたが、苦手意識を感じている方は是非一度実践してみください。しかし、これらの攻略法がすべての問題に当てはまるというわけではありません。これらの攻略法はあくまで古文問題を解くための導入的な攻略法であるため、難関大学の問題であったり、源氏物語などの特定のジャンルにはそれ専用の対策が必要となるからです。
漢文攻略法:漢文を始める前にまず
漢文には古文の知識が必要!
漢文は受験によって入試科目として選択しない人もいますが、勉強していない人には難しいと思われがちな科目です。しかし、漢文はやった分だけかならず結果として帰ってくるので満点を取りたい科目です。そんな漢文の勉強を進める上でまずすべきことが、古文の知識を習得することです。一見全く違う科目のように思われますが、漢文の書下し文は古文が基礎となっているので、古文の知識がなければ読解が不可能です。
武田塾的な考えとしては、漢文の設問や文章のレベルは、現代文や古文と比べて易しめです。冒頭でも述べた通り、漢文に対して苦手意識を感じている方は、実際に漢文の勉強をしたことがない方が多いです。苦手意識を感じてしまう理由として挙げられる一つが、文章がすべて「漢字」で書かれているからです。文章内に一切平仮名がないため、漢字だけですべて表現されており、普段私たちが使っている漢字がそのままの意味で使われているとは限らないため、多くの人が苦手意識を感じてしまいます。また漢文の書き下し文も古文のように省略が多いため登場人物の関係なども捉えられないというような状況に陥ってしまう可能性があります。
その対策として古文の知識を身に着ける必要があります。先ほども紹介した敬語による人物の特定や省略箇所を補うことで、漢文の書き下し文の場合でも間違った解釈のまま答えを導き出してしまうということを防止することができます。しかし、大前提としては書き下し文ができなければ意味がないので、漢文の参考書等で句法などの基礎的なことは身に付けておきましょう。
以上で古文と漢文の攻略法について紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。古文に関しては、尊敬語と謙譲語に注目し文章内の主語を明確にした後、誰が誰に何をしたかをしっかり把握できれば、これまで苦手だった人も解けるようになります。漢文も試験科目にある方は、まず古文の知識をしかっかりと身に着け、書き下し文ができることとそれを解釈できること、この二点に注意すれば漠然とした苦手意識もなくなります。これらの攻略法を参考に練習を繰り返し、実践でもできるように頑張ってください。
ありがとうございました。