皆さんは「ディクテーション」と呼ばれる英語学習法をご存じでしょうか?
ディクテーションは英語を母国語とする国ではごく一般的な英語学習の1つで、英語4技能をすべて鍛えることができる万能な勉強方法です。
当記事では、ディクテーションの学習効果や正しいやり方、そして受験勉強におけるディクテーションの活用方法についてご紹介します。
ディクテーションとは
ディクテーション(Dictaiton)とは、英文の音声を聞いて流れてきた英語を正しく書き取る学習方法です。
英語を聞いて正しい答えを選択する一般的なリスニング問題とは異なり、自分で聞いた英語を書き取る必要があるため、より集中して英語を聞く能力やリスニング力が求められます。
また、正しくディクテーションを行うことでリスニング以外にもライティングやリーディング、そしてスピーキングの能力までも向上させることが可能です。
では、ディクテーションをすることで他にどのような学習効果が得られるのでしょうか?
ディクテーションの効果
ディクテーションを行うことで、以下のような学習効果を得ることができます。
- リスニング力UP
- 弱点や聞き取りづらい英語の把握
- 文章からどのような英語が来るのか予測する力
- 英語を早く正確に書き取る力
ディクテーションは聞こえてきた英語を書き取るため、「自分がどこの英語が聞き取りづらいのか」「どのような部分でミスを繰り返してしまうのか」という弱点を把握することができます。
通常の勉強ではあまり知ることができなかった自分の弱点を知ることができるだけではなく、「なぜこの英語が聞き取りづらいのか」といった弱点分析を合わせて行うことで次の勉強する内容が明確になり、より英語力の向上が見込めるのです。
さらに、ある程度ディクテーションに慣れてくると、次はどのような英語が来るのかという予測を立てられるようになり、この予測する力はリスニングはもちろん、英会話などで問われるスピーキング能力でも活かすことができます。
他にも、流れてくる英語を同じスピードで書き取ることが求められるため、英語を早く正確に書き取る力も身に付き、テストや受験などで活かすことが可能です。
ディクテーションとシャドーイングの違い
シャドーイングとは、聞こえてきた英語の後を追う形で正しく発音していく学習方法です。
一方、ディクテーションは聞こえた英語を正しく書き取る学習方法です。つまり、両者には「発音することでスピーキングを伸ばす」「書き取ることでリスニング・ライティングを伸ばす」という伸ばす英語技能に違いがあります。
しかし、どちらも英語力を鍛えることができる素晴らしい勉強方法ということは共通しているため、自分の伸ばしたいスキルに合わせて柔軟に学習方法を変えることが望ましいでしょう。
ディクテーションのメリット・デメリット
ここでは、ディクテーションのメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。
ディクテーションが気になるという方は、良い部分と悪い部分どちらも踏まえた上で実践に移すか検討してみましょう。
ディクテーションのメリット
ディクテーションのメリットは以下の5つが挙げられます。
- 集中して英語を聞く力が身に付く
- 自分の弱点を把握して対策を立てることができる
- 英語をアウトプットできる
- 分析力が身に付く
- 英語を予測する力がUPする
ディクテーションは、流れてくる英語を書き取らなければならないため、いつも以上に集中して英語を聞く力が身に付きます。
また、自分の弱点がはっきりとわかるため、その後のやるべき勉強や対策を立てやすいというメリットもあります。
その他、英語を分析する力や次の英文を予測するといった能力も身に付くため、総合的に英語力を向上させることが可能です。
ディクテーションのデメリット
ディクテーションのデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 時間がかかる
- リスニング音源を用意する必要がある
- 挫折しやすい
ディクテーションは、何回か英文を聞き直すことや間違いを理解できるまでしっかりと復習することを考えると、1つの英文でも一通り終わらせるのにかなりの時間がかかってしまいます。
特にはじめはなかなか英語を書き取ることができないため、進みが遅くなってしまい挫折しやすい勉強法でもあるのです。
そのため、時間にゆとりがある方や長期的に英語力を向上させたいという目的がある方におすすめの勉強法と言えるでしょう。
ディクテーションのやり方
それでは、ディクテーションの詳しいやり方についてご紹介してきます。
ディクテーションは大きく6つの手順で勉強を進めていきます。
①全文を通して聴く
②1文ごと音声を止めながら書き写す
③スクリプトと答案を照らし合わせる
④間違えた箇所を分析する
⑤全文を通して発音する
⑥3日後全く同じ内容をディクテーションする
1つ1つが大事なステップとなるため、順番に解説してきます。
ディクテーションの手順①全文を通して聴く
ディクテーションを行う前に、まずは英文を全文通して聴いてみましょう。
この際、答えとなるスクリプトは見ずに自分の耳だけを頼りに全体の内容を把握することが大切です。
ディクテーションをはじめて間もない頃は、全体の英文を把握することでこの後に行うディクテーションがやりやすくなるため、集中して行うようにしましょう。
ディクテーションの手順②1文ごと音声を止めながら書き写す
ここからディクテーションの肝とも言える英文を書き取るステップに移ります。
先ほど聞いた英文を1文ずつ音声を止めながら書き取ります。一語一句書き取ることが望ましいですが、最初は聞こえた英文を正しく早く書き取ることを意識しましょう。
本来は1回限りしか聞くことはできませんが、はじめのころは2回~3回程度同じ文を聞いても構いません。
この作業を全文通して行います。長い英文は集中力の維持が難しいため、短めの英文でディクテーションすることをおすすめします。
ディクテーションの手順③スクリプトと答案を照らし合わせる
一通りディクテーションすることが出来たら、次はスクリプトを見ながら自分が書き取った内容を見比べます。
ディクテーションでは間違いや弱点を知ることが1つの目的でもあるため、間違えていた部分は赤ペンなどで正しい英語を埋めましょう。
もし曖昧で書いたけど合っていたところがあれば、後日復習した際に自信を持って書き取ることができるか試す目的で青ペンなどでチェックを入れておきしょう。
ディクテーションの手順④間違えた箇所を分析する
答えを確認した後は、「なぜこのような間違いをしてしまったのか」という間違いの分析を行います。
分析を行うことで、「英語が速くて聞き取れなかった」「文法を間違えて理解していた」「知らない単語が出てきた」など、多くの原因が浮かび上がってきます。
自分なりに間違えた原因を突き止め、それを改善するためには今後どのような勉強を行っていく必要があるのかというところまで考えることが大切です。
ディクテーションの手順⑤全文を通して発音する
最後に、全文を通して発音します。
発音する際は、文法や単語それぞれの意味などに着目して行うことが大切です。自分だけで全文発音した後、音声のスピードに合わせて発音しましょう。
ディクテーションの手順⑥3日後全く同じ内容をディクテーションする
3日後くらい時間を空けてから①~⑤の内容をもう1度行いましょう。
それまでの期間は、先ほど分析した自分の弱点を克服する時間に充てます。ここでは答えを知っている同じ英文を扱うため、満点を取らなければ意味がありません。
もし2回目で満点が取れなければ、再び分析を行った上で3~5日後にまた同じ英文でディクテーションをし、満点が取れるまで繰り返しましょう。
受験勉強におけるディクテーションの活用方法
ここまで、ディクテーションのやり方についてご紹介してきましたが、ディクテーションは高校受験や大学受験の英語学習でも活用することができます。
「高校受験」と「大学受験」の2つに分けて、普段の英語学習にディクテーションをどのように取り入れていくのか解説していきます。
高校受験におけるディクテーション活用方法
志望する高校にもよりますが、高校受験はそこまで高度な英文法やリスニングは問われません。
そのため、「キクタン」や「学校の教科書」などを用いて、基本的な英文を完璧にディクテーションできるようにしましょう。
ディクテーションに慣れてくるとリスニングの得点も比例して上がっていくため、自信へと繋がります。
基本的な問題を書き取ることができるようになった後は、自分が志望する高校の過去問を使ってディクテーションしてみましょう。
大学受験におけるディクテーション活用方法
大学受験の場合も基本的な英文や英単語をしっかりと理解することが重要ですが、高校受験よりもリスニングのスピードやトピックの難易度が上がります。
大学によってはリスニングが記述形式になっているところもあるため、普段からディクテーションを行うことで英文を素早く書き取る力が身に付き、他の受験生と大きな差を付けることができます。
まずは高校受験レベルの英文を「ゼロからスタート リスニング」などでディクテーションのやり方を含めて復習し、次に「関正生の英語リスニング」や「文法・構文・構造別リスニング完全トレーニング」といった英語リスニングの参考書を使ってディクテーションしましょう。
また、大学受験は高校受験に比べて本屋などで気軽に志望校の過去問を入手できるため、志望校の過去問を使ってリスニング問題をディクテーションしやすい点も特徴です。
過去問をディクテーションした上で自分なりに志望校の傾向を把握し、文法などに注意しながら正しく書き取れるようになるまで何度もディクテーションを行いましょう。
大学受験向けの英語リスニングのおすすめ参考書については、以下の記事で詳しくご紹介しています。合わせてご覧ください。
⇒【大学受験】英語リスニングの参考書おすすめ5選と効果的な勉強法
ディクテーションは受験にも効果的?効率のいい英語学習方法|まとめ
今回は、ディクテーションの効果や詳しいやり方、そして受験におけるディクテーションの活用方法についてご紹介しました。
重要なポイントをもう1度おさらいします。
- ディクテーションは英語4技能を向上させることができる
- 弱点を把握することでその後の英語学習に活かすことができる
- ディクテーションは分析やその後の復習が大切
- 受験では簡単な英文でディクテーションしてから過去問に移る流れがおすすめ
ディクテーションは主にリスニング能力を高める英語学習法ですが、使い方次第で英語4技能を向上させることができる万能な勉強法です。
受験では、基本的な英文でディクテーションのやり方を掴んでから、志望する高校や大学などの過去問を中心にディクテーションを行いましょう。
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