こんにちは!調布駅から徒歩5分!逆転合格「武田塾調布校」のO講師です!
みなさん、とあるお笑い芸人のこのネタを覚えていますか?
「ピカソより〜、普通〜に、ラッセンが!好っき〜!!!!」
一世を風靡していましたよね。僕の世代がバレてしまいそうです。
「確かに、ピカソの何がすごいの?」
「ただの落書きじゃん」
このように某芸人さんに共感を覚えた方も多いと思います。僕もそうでした。ご存知の方も多いと思うのですが、もしピカソもラッセンも知らない方がいれば調べてみてください。ピカソは何ていうか、ぐちゃぐちゃしてる絵で、ラッセンは、イルカが可愛いパズルで使われていそうな絵です。
ネットで調べた情報なので、正確かはわかりませんが、ラッセンの原画は数十万円〜200万円程度で購入できるそうです。では、一方のピカソはどうでしょうか?
ピカソの最高額作品は『アルジェの女たち(バージョンO』という絵だそうで、価格はなんと215億円です!とんでもないですね。これだけのお金があれば何回人生を送れるのでしょうか。
今回はこのトピックについて、世界史と文化史、現代文の近代や芸術分野の観点からお話ししていこうと思います!
絵画の世界(前半)
絵画も元々は、キリスト教の布教と共に発展してきました。詳しくは前回のブログのこちらをご覧ください。サイゼリヤに行くと天使とか女神の絵が飾ってありますよね?あのような絵が主流でした。世界一有名な絵、『モナリザ』や『最後の晩餐』などはルネサンス期の絵です。the完璧、みたいな絵をしてます。この頃からキリスト教以外の主題の絵も描かれ始めます。
この頃のキリスト教は分裂期でした。ルターによる宗教改革で、プロテスタントが生まれます。彼らの台頭に危機を感じたカトリックが、信者を呼び戻すために劇的でインパクトのある作品を求めました。これがバロック美術の始まりです。ちなみにバロックとは「歪な真珠」という意味です。
その後、官能性を帯びた軽薄なロココ美術、そのロココへの反発としての新古典主義と時代は流れます。新古典主義とは、ルネサンスと同様、古代ギリシャの美術を理想とするものです。ナポレオンの絵などが有名です。
ついてこれてますか?我慢してください。
この新古典主義と対を成すのがロマン主義です。彼らは正確さ、統一性を重視せず、感性や想像力を重視します。この動きは音楽や文学も同様な広がりを見せました。当時の社会体制への反発、自然への憧れ、情熱的な恋、このようなある種「主観的」な作品が多く発表されました。
「いやいや、理想とか非現実だけじゃなくて、現実見ようぜ」
と、異議を申し立てたのが写実主義です。彼らは労働階級や、神でも英雄でもない、ただの人間にスポットを当てた作品を制作しました。
絵画の世界(後半)
ここから美術史の動きはどんどん早くなっていきます。
19世紀後半、印象派の登場です。彼らは当時のフランス美術界に疑問を抱いていました。理由は美術界は、技術だったり、ジャンルをとても重視していたからです。そしてその基準は絶対的なものでした。そこで彼らは光が煌めく、その一瞬を絵にしようと試みました。そのため、ぼんやりとした、柔らかい絵が多いです。
ここが美術史の転換点のひとつです。なぜだかわかりますか?
理由は、絵画が再現ではなくなったからです。
(印象派は現実の再現だという主張はここではおいておきます)
今までの絵画は、宗教のためだったり、歴史を伝えるものであったり、写真の代わりとして使われてきました。現実の再現という役割が大きかったのです。しかし、この現実では捉えることの難しい「光」を描くことによって絵画は元の役割からどんどん離れていきます。芸術となっていくのです。
ここからピカソまでもう少しです。少し駆け足で行きます。気になったところは自分で調べてみてくださいね!
『ひまわり』のゴッホなどが有名なポスト印象派。
科学進歩による生活の変化から生まれる不安を、神話や文学から描いた象徴主義。
ムンクの『叫び』が有名な表現主義。
心理学者フロイトの理論をもとに、夢や潜在意識から絵を描こうとしたシュルレアリスム。
20世紀初頭、ようやく登場です。ピカソさん。
だいぶ長い前置きでしたね。ここまでの流れを頭に入れながら読んでください。
ピカソの凄さ
それでは一体、ピカソは何が凄かったのでしょうか?
答えは、その常識を打ち破った革新的な画法にあります。
先ほど話した内容と少し重なりますが、絵画はこの時代になると、再現の必要がなくなります。理由は写真の登場です。写真の写実性には、どのような優れた画家でも勝てるわけがありません。
そこでピカソ(本当はもう一人いるのですが割愛します)が編み出した技法が「キュビズム」といったものでした。
普通、絵を描く時は、固定した一つの視点で描きますよね?
「何を当たり前のことを。それ以外何があるんだい?」
その当たり前をぶち壊したのです。
ピカソの絵をイメージしてください。なんなら見てみてください。
なんか、カクカクした、出鱈目な、統一感のないような絵に感じます。
しかしこれはただはちゃめちゃに、適当に書いているのではありません。
別々の角度、視点から見たイメージを一つの絵の中に落とし込んでいるのです。
……..
難しいですよね。例えば、目の前に男の人が立っています。
彼のことを
正面、右側、左側、斜め上、などなど、あらゆる視点から描き、それを一個の絵にまとめたのです。
これによりあのわけのわからない、難解な絵が生まれました。
スマホやパソコンで見るとあまり実感できませんが、美術館で現物を見ると確かに異様な立体感を感じることができます。ぜひ機会があったら足を運んでみてください。
芸術に与えた影響
ピカソは新しい絵を生み出しました。この時代の前後から、彼の影響力も相まって芸術の動きが変わってきます。
それまでは「美しさ」が美術作品の要素だったのに対し、「新しさ」「それを作る理由」が最重要になってきます。そこに「美しさ」は必要とされなくなったのです。
ダダイズムという動きの中心となったデュシャンという人はまさしくその権化でしょう。彼は美術館に、男性用便器に自分のサインを書いただけの『泉』という作品を展示しました。わけがわからないですよね。しかしこの作品も美術史においてはとても重要な作品です。
「美術館に飾られるから優れた作品なのか」
「優れた作品だから美術館に飾られるのか」
彼はこのような問いを立てました。
そして展示を行うことで価値の転換を起こしたのです。
音楽でも同じようなことが起きます。
綺麗な音を奏でるルールのようなものを無視して、汚い音を使ったり、リズムをめちゃくちゃにしたりしました。緊張感や恐怖を覚えるような楽曲が増えていったのです。こちらも「新しさ」が重要視されたのです。
結果、みんなはどっちが好き?
これを聞いた上で、皆さんはどちらが好きですか?僕はラッセンとピカソならピカソですが、モネやダヴィンチとピカソだったら前者を選びます。
正直、先ほど述べたような「新しさ」「それを作る理由」に特化した現代芸術はあまり好きではありません。
ただ「楽しいもの」「すごいもの」「美しいもの」でよくないですかね?
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