【高2生向け】数Ⅲってどれくらい難しい?
みなさんこんにちは。
武田塾 愛知日進校の田中です。
今回は、文理選択時に、理系選択しようかなと思っているけど「数ⅢCは大変だからやめときな!」と聞いてどうしようかな…と悩んでいる高校生に向けて、数Ⅲってどれくらい大変なの?という疑問に答えていきます!
筆者は理系学部の1つである工学部の出身です。そんな筆者から、大学受験、そして、大学入学後の話も交えつつお話していきますので、参考にしてください。
数Ⅲの範囲
数Ⅲの単元一覧
まず、数Ⅲの範囲にどんな単元があるの?というのを知りたいですよね。
そこで、数Ⅲの教科書の一例を下記の表にまとめてみました。表中の「新規」は数Ⅲで完全に初めて習う、「発展」は数ⅠA・ⅡBで習った内容をさらに発展させた内容を習うという意です。
章 | 単元名 | 内容 | 新規 / 発展 |
1章 | 式と曲線 | だ円、双曲線、放物線といった2次曲線(円の発展版) | 発展 |
極座標(x, yの普通の座標ではない座標系) | 新規 | ||
2章 | 複素数平面 | 横軸が実数(普通の数)、縦軸が虚数(i)の平面 | 新規 |
3章 | いろいろな関数 | 分数関数・逆関数・合成関数など | 発展 |
4章 | 極限 | いわゆるリミット計算、無限大・ゼロに限りなく近いなど | 新規 |
5章 | 微分法 |
数Ⅱでは扱わなかった関数の微分 (三角関数や指数・対数関数など) |
発展 |
6章 | 積分法 |
数Ⅱでは扱わなかった関数の積分 (三角関数や指数・対数関数など) |
|
(※あくまでも一例です。)
数ⅠA・ⅡBの発展となる単元
上記の表で”発展”と分類した単元は、「式と曲線」「いろいろな関数」「微分」「積分」の4つです。
これらの単元は、数ⅠA・ⅡBで学習した「円の式・性質」や「多項式の微分計算・接線」「多項式の積分計算・面積」が発展した単元で、数ⅠA・ⅡBまでの範囲が理解できていることが前提となっています。
そのため、理解できていないまま放置して数Ⅲに入ってしまうと、完全に授業に置き去りにされます!
今回は特に数Ⅲの中でも比重の大きな単元である、「微分・積分」について取りあげて解説します。
大変さ その1:数ⅠA・ⅡBまでの範囲で理屈を理解していないと詰む
これらの分野で一番大事なことは、とにかく数Ⅱの段階で”微分や積分の理屈を分かっておくこと”です!
数Ⅱの微積分も数Ⅲの微積分も、扱う関数は違えど全く同じ理屈で計算しています。
つまり、”考え方”の部分は全く一緒なのです。
それならば、数Ⅱの簡単な多項式の微積分を扱う中で考え方を理解してしまわないと、数Ⅲに入ってからでは、計算も煩雑になるため、理解するのはなおさら困難になります。
正直に言って、微積分の計算だけであれば、とりあえず計算のルールを覚えてしまえばなんとかなります。
では、理屈を理解していないとなぜ詰むのかというと、最大最小問題や面積の問題、さらには体積といった応用問題に全く対応できなくなるからです。
特に区分求積や回転体の体積といった積分の後半で出てくる範囲は、そのまま入試問題になってもおかしくないレベルで、それまでの面積の求め方や考え方がしっかり分かっていることが求められます。
だからこそ、数Ⅱの微積分の基礎をしっかりと理解している必要があります!
大変さ その2:膨大な時間を要する
突然ですが、最もコスパの悪い科目は数学だと思います。その中でも最もコスパが悪いのが数Ⅲです。
そんな数Ⅲの中でも時間を要するのが微積分で、膨大な練習量が必要になります。
特に、様々な関数や積分法が出てくるため計算のルールや公式を覚えるのに時間がかかりますし、さらに結構な計算量が求められるため、1問を解くのにも時間がかかかります。
しかし、数Ⅲの微積分は、国立大学の主要な学部・学科の二次試験や中堅以上の私大の入試問題では、ほぼ必ず出題されるため、理系選択者にとって避けては通れない単元となっています。
そのため、膨大な時間をかけざるを得ず、文理選択時に理系が選ばれにくい理由の1つとなっています。
大変さ その3:試験対策が間に合わない
中高一貫の進学校であればいざ知らず、普通の高校であれば、数Ⅲの範囲を習い終わるのは高3の秋ごろが多いと思います。
しかし、年が明けてすぐに共通テストがあるため、国立大学志望者は共通テストの勉強をしなければなりません。が、その共通テストには数Ⅲは含まれていないため、数Ⅲの勉強をしている時間がありません。
このように、数Ⅲの出題される二次試験や私大の一般入試の試験対策が間に合わなくなるという現象が、毎年、現役生に数多く見られます。
(しかも、物理や化学・生物もギリギリにしか終わらないというダブルパンチが待っています…)
現役生は特に、習った瞬間に自分のものにしていく意識をもちながら勉強を進める必要があるため、非常に大変です。
数Ⅲで完全に新たに習う単元
上記の表で”新規”と分類した単元は、「式と曲線」「複素数平面」「極限」の3つです。
これらの単元は、数ⅠA・ⅡBで学習した「三角関数」や「複素数」・「ベクトル」・「数列」などの知識を前提にしつつ、完全に新たな概念として「極座標」「複素数平面」「極限」といったものが登場します。
完全に新たに習うとは言えど、やはり数ⅠA・ⅡBで学習した単元を理解していることが必須になります。
今回は特に「複素数平面」と「極限」について取り上げます。
大変さ その4:新たな概念を理解する必要がある
複素数平面がその典型ですが、数ⅠA・ⅡBまででは見たこともない概念を受け入れなければなりません。
今までは何の疑いもなくx軸もy軸も実数しか扱いませんでしたが、数Ⅲの「複素数平面」ではy軸が虚数を表す虚軸になり、複素数(〇〇+△i みたいな形)を座標平面上に表そうとします。
掛け算なのに回転を表したり、大きさと角度があったり、絶対値の扱いが違ったりと、平面を複素数にまで拡張したからこその新たな計算のルールが出てくるため、結構苦労する人が多いです。
文系数学なら、高3の序盤には一通り学び終わって、入試問題に向けた演習を重ねられます。しかし、理系数学の場合、高3でも新たな概念が出てきて、それを短期間で理解し、使いこなせるようになるという非常に高いハードルを要求されます。このあたりも大変な要素と言えるでしょう。
大変さ その5:問題が難しい
例えば、極限自体はそれほど難しい概念ではありません。変数を限りなくどこかの値に近づけたとき、関数の値がどの値に近づくのか(もしくは、無限大になるのか)を計算してみようというだけです。
しかし、その大変さは、極限にかかわる入試問題の難しさにあります。極限は証明問題として出題されることが多いですが、短い問題文や手前の小問からヒントを見つけ出し、不等式をうまく変形して証明していく必要があります。これには、経験から来る勘のようなものがいりますが、それを会得するためには問題をたくさん解いて経験を積まなければなりません。
先ほども言ったように、時間が限られている中で練習量をこなすのは難しいですし、出題者にとっても極限の証明問題を難しくするのも簡単なので、受験生にとっては苦労する分野の一つと言えます。
そもそもの話…ライバルが強くね?
大変さ その6:ライバルたちの数学力が高い
そもそもこれが一番大変になる要因かもしれません。”ライバルの数学力が高いこと”。
もちろんですが、数ⅢCを受験科目に使用する理系選択者は、数学を得意科目としている人の割合が文系選択者に比べて高いです。
しかも、最も点数に差がつく科目は数学です。ということは、数学をあまり得意としていない人は、数学を得意とするライバルにそれほど差をつけられない程度に食らいつきつつ、他の科目でその差を抜き返す必要があります。
たとえ数学が得意でないとしても、ある程度数学でも点数を取れるようにしつつ、他の科目でガッツリ点数を稼げるようになるというのは、並大抵のことではありません。
かなりの努力が必要になります。
その努力を貫けるなら、数ⅢCをものにできると思いますし、そういった泥臭い努力ができる人は理系に向いていると断言できます!
(どっちみち、大学に入ってからも実験レポートや卒業論文・修士論文のための研究などで泥臭い努力が求められます。)
数ⅢCはやっぱり無理だ…けど理系に進みたい!
以上の話を読んで、やっぱり数ⅢCまではやりきれる気がしないや、理系に進みたかったけど文系にしようかなと思っている高校生!
諦めるのはまだ早いです。一口に理系といっても、大きく分けて、
・工学系(機械・電気電子・材料・土木・建築・応用化学…)
・情報学系(コンピューター・統計・情報システム…)
・理学系(数学・物理・化学・生物・地学)
・農学系(農作物・森林・生命科学・環境・食品…)
・教育系(数学・理科・技術…)
・医学系(医学科・看護学科…)
・薬学系
というようにたくさんの領域があります。
その中でも、工学系や情報学系、理学系や教育学部の数学・物理、医学部医学科・薬学系などは、ほとんどの国公立大学で数ⅢCが必須となります。
(私立大学ならば、数ⅢCを必要としない大学の数は増えます。)
一部、極少数ながら、数Ⅲを必要としない大学もありますので、数Ⅲをどうしてもやりたくないという方は考えるのもアリでしょう。
ただし、工学系や情報系、理学や教育の数学・物理系では数学の基礎学力がない場合、大学に入ってからかなり苦労することが容易に想像されますので、よく考えたうえでの受験をオススメします!
一方で、農学系、理学系及び教育系の化学・生物・地学、医学部の看護系などの学科は理系であっても、大学に入ってから数学や物理を必要としないことも多いため、数学が苦手でも問題がない場合が多いです!
国公立・私立問わず、数ⅢCを必要としない大学が多数存在しています。
「工学部の化学・生物系」と「農学部の生命科学系」が実は似たような研究をしているというようなこともあります。そのため、同じ分野に興味があったとしても、自分の得意科目に合わせて大学入学のアプローチ(学部学科)を決めるというのは大事な受験戦略と言えます。
まとめ
とりあえず理系に進もうとしている高校生や「理系はやめとけ」と周りに言われて悩んでいる高校生の皆さん。
数ⅢCの大変さを知った上で数Ⅲをやりきるのか、数Ⅲは使わないけど理系に進むのか、文系に進んで数ⅠA・ⅡBまでをじっくり理解していくのか、一人ひとりにとっての最適解があると思いますので、よく悩んで調べた上で決断してほしいです。特に、文系に進んでからの理転は非常に大変ですので、悔いのないように選択することが大切です。
武田塾では、生徒一人ひとりの状況に合わせて、志望校合格までの筋道をはっきりさせ、そのための勉強の計画を立てたり、そのやり方、習慣化などを生徒さんに実施しています。
もし、一人でやっていくことが不安という方は、いつでも武田塾に相談しに来てください。
もちろん費用は頂かないですし、入塾を強制するものでもありません。
一人ひとりの状況をヒアリングし、しっかりと親身になって相談に乗らせて頂きます。
ぜひ、興味の出た方はお近くの武田塾まで、ご連絡ください!
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