こんにちは。
日進市 香久山 予備校・塾 といえば 武田塾 愛知日進校。
校舎長の井上です。
皆さん、工学部と理学部の違い、ご存じでいらっしゃいますでしょうか。
一般的には工学部の方がメジャーですから、そっちはなんとなくイメージが付くけど、理学部はじゃあ何をしているんだろう、と、思っている方
多いと思います。実際の理学部生からしても、しょっちゅうそんな質問をされるそうです。
そして、悉く返事に困るとのこと。
今回は、できるだけ分かりやすくするため、「名古屋大学」を例にして工学部と理学部の違いをわかりやすく解説していきたいと思います。
違い① 受験科目が違う
名古屋大学 工学部
入試科目
一次試験(共通テスト)
国語 |
200 |
数学1A・2B(簿記・情報)から2科目 |
100 |
物理・化学 |
100 |
英語 |
100(25) |
地歴(世・日・地)・公民から1 |
100 |
合計 |
600 |
二次試験
数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ |
500 |
物理・化学 |
500 |
英語(外国語) |
300 |
合計 |
1300 |
名古屋大学 理学部
一次試験
国語 |
200 |
数学1A・2B(簿記・情報)から2科目 |
200 |
物理・化学 |
200 |
英語 |
200(50) |
地歴(世・日・地)・公民から1 |
100 |
合計 |
900 |
二次試験
国語総合(現代文のみ) |
150 |
数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ |
500 |
物理・化学・生物・地学から2 |
500 |
英語(外国語) |
300 |
合計 |
1450 |
あまり大きく違うようには見えないかもしれませんが、大きく違うポイントがあります。
それは、1次試験(共通テスト)における国語の配分と、2次試験に現代文が有るか、無いかの違いがあります。
一見すると理学部の方が2次試験に国語があって重たい印象もありますが、
その分1次試験では国語の比重が一般的な国公立大学と変わらない比重となっています。
さらに古文や漢文ではなく現代文オンリーですし、合格した学生さんでも、対策をあまりしていない学生さんが多いと言われています。
反面、工学部は2次試験に「現代文」がないものの、1次試験における「国語」の比重が、
著しく高く設定されています。(なんと200/600が国語!)
おそらく、2次試験を実施しないかわりに、1次試験で比重を重くすることで、
国語力を推し量っているのだと予想されますね。
実は...
受験科目もこのように少し違うのですが、一般的には工学部の方が人気が高くなりやすく、
そのため難易度は工学部の方が高くなりやすいと言われています。
(もちろん、工学部の学科や年度にもよります。)
1次試験は共通テストで問題は一緒ですし、2次試験も名大は全て同じ問題で実施される以上、
学部ごとの人気は単純に倍率勝負となってしまいます。
違い➁ 研究対象が違う
工学部では主に...
名古屋大学 工学部の場合は、化学生命工学・物理工学・マテリアル工学・電気電子情報工学・機械・宇宙工学・エネルギー理工学・環境土木・建築学などが幅広く学ぶことができます。
その他の大学であっても、工学部であれば機械工学や化学生命、建築、情報工学などは学ぶことができるでしょう。
1~2年生のうちは、基本的な数学や物理などを学ぶことが多いので、正直理学部だからこう、工学部だからこうといったくくりの違いはあまりありません。
では何が違うかというと、「研究対象」、つまり3、4年生以降の専門分野及び研究室の研究対象などが大きく異なってきます。
細かい説明をしていてはキリがないので、ざっくりとした説明になってしまうのですが、
工学部は、「既に発見、実証できている現象を利用して、より社会に貢献できる発明へとつなげる。」
が主たるテーマとなります。
(もちろん、研究室によっては未知の分野の研究をしている所もあるかもしれませんが、ご容赦ください...。)
理学部では主に...
名古屋大学 理学部の場合、数理、物理、化学、生命理学、地球惑星科学などの分野を学ぶことができます。
いわゆる、高校で習う数学、物理、化学、生物、地学の分野に大別されるということです。
他の大学でもこの大別の仕方はおそらくかわらないでしょう。
こちらも1~2年生の間は数学、物理といった基本的なものを学ぶことが多いので、あまり工学部と大きく違うといったことはないようです。
よって、大きな違いになるのはまたしても「研究対象」です。
理学部では、
「既知の概念の見直しや、まだ実証できていない現象の研究をすることで、自然界の法則を新たに見つける研究」
が主たるテーマとなっています。
(「自然界の新たな法則を見つける」ではないですよ!我々が知らないだけです!)
ちなみにですが、名古屋大学 理学部の場合は素粒子や有機化学の分野の研究が強いようです。
「Quizknock」の須貝さんは超伝導の研究をしていることで有名ですが、大学ごとに得意な分野があるので、
自分の興味のある研究分野の大学を選ぶことが重要です。
つまりどういうことかというと...
少し難しい話になってしまいますが...
自然界の法則を新たに発見ができたとしても、それが実用化できるかどうかというのはまた別の話です。
工学部では、例えば高校の物理で習うファラデーの電磁誘導の法則というものがあります。
この法則を基にモーターや発電機といったものは、実はなりたっているんです。
もちろん、実験でやるような形式では馬力の問題や消費電力の問題、物質の耐久度などの様々な問題があることは
容易に想像がつくと思います。それをどうすれば実用化できるのか、又は効率化できるのか等、
そういったものを研究するのが工学部です。
(実際はもっと複雑で難解な研究をしてますよ!あくまで一例です。)
理学部では、その現象が後々役に立つから研究する、というスタンスというよりは、
この研究をするとどうなるのだろうか、という好奇心や学術的価値をモチベーションに研究することが多いです。
ですがその研究は科学の発展には欠かせないものです。そして、その研究が後々おおいに役立つことも、
往々にしてあります。時代を少し遡ってしまいますが、19世紀の複素解析学(数学の学問)という分野の発見が、
20世紀ごろになって量子力学(原子や電子等に働く力の学問)の分野に多いに貢献し、今日でも「半導体」といった
日用生活に欠かせない物質に役立っているという例があります。
※最近の発見でもこのような例はあるにはありますが、複雑すぎて難しいため今回は昔の例にさせていただきました。
このように、工学部では技術の発展、理学部では科学の発展に大きく貢献しています。
違い③ 就職先が違う
工学部では主に...
機械・航空学科であれば、自動車、航空機、工作機械などの製造業をはじめとし、
建築・環境土木ならゼネコンや設計事務所、都市開発やインフラ整備などの建築業界、
情報工学、エネルギー工学などはIT業界・エネルギー業界、
さらには地方自治体の公務員や、国家公務員の理系就職など、本当に幅広い就職先があります。
幅広い学科がありますが、それぞれそこに応じた就職先というのは数多くありますから、基本的に就職先に困る、
ということはないように見受けられます。
特に、愛知県の場合はトヨタやデンソーなど、大手企業の本社がありますから、雇用の面でも有利に働くことが多いでしょう。
理学部では主に...
専攻にする学問によって大きくかわってきますが、数学科の場合は保険業界やIT業界、教師などが多いです。
保険業界というのは意外かもしれませんが、「アクチュアリー」という職業があり、仕事内容としては、確率論や統計学などを用いて保険料の算出や保険商品の生成などを担っています。
生物・化学科の場合、食品業界、製造業界や化粧品、製薬業界などが人気で、物理学科の場合は、名古屋大学の場合は量子力学を専門に取り扱う学生が多いためか、半導体メーカー、電機メーカーなどに努める方が多くいるようです。
地学科の場合は建設・土木業界・エネルギー業界などで、測量や地質調査などを行う職業に就く方も見えるようです。
学科によるところは大きいですが、理学部の場合は大手企業の開発部といったようなコアで枠の狭い職種になってしまうことから、就職先には悩まされることが多いように見受けられます。
まとめ
☆工学部は、既に発見、実証できている現象を利用して、より社会に貢献できる発明へとつなげる学問を学び、研究する。
☆全国的にも数多くの学部数を誇り、日本全国大体どこでも学ぶことができる。
☆実用的な側面が強いため、就職にも一般的に強いとされている。
☆理学部は、既知の概念の見直しや、まだ実証できていない現象の研究をすることで、自然界の法則を新たに見つける研究をする。
☆全国でも数少なく、希少な学部なため、国公立や学校規模の大きな大学でなければないことが多い。
☆実用的な側面は弱いが、科学の発展のためには無くてはならない学部。
☆大学によっては世界をけん引する研究をしている大学もある。
どちらがいい、悪いというわけではありません。
どちらも人生や社会を豊かにする学問ということには違いありません。
ですから、大学に入った後何を学びたいか、というのを明確にしておくことが本当に重要になります。
大学ごとに、研究の内容なども違ったりします。自分なりに調べて、本当に興味のある学問を、見つけておくことをおすすめします。
この記事を読んで、行きたい大学が明確になった、あるいは名古屋大学の工学部・理学部に行ってみたい!
と思った方は、ぜひ一度、武田塾 愛知日進校にお越しください。
受験に向けてのスケジュールや、何をどう勉強すべきかなど明確にお伝えさせていただきます。
お申込みは下記のフォームから。
ではまた、次のブログでお会いしましょう。
※本記事は名古屋大学 工学部・理学部の学生さんに協力してもらいながら執筆させていただきました。
ご協力いただいた方ありがとうございました。
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